感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ワッピー
5
もともとは国書刊行会の探偵クラブ版で知り、もっと読むには元の室町書房版を探すしかないかと思っていたところ、思いがけずもこの出版芸術社版を見つけました。昭和20年代にこのような着想の小説群を語る言葉としては「ふしぎ小説」というしかなかったのでしょう。今の視点で見れば、彫像と人間の交わり、生まれ変わり、ドッペルゲンガー、並行世界、タイムスリップなど、SFの要素を盛り込みながら、ふしぎな温かさのある稀有な作品世界です。解説では様々な作家との比較を示唆していますが、ワッピーはジャック・フィニィを連想しました。2016/12/30
makersat
3
二十三篇も収録されているため、一篇一篇に触れるのは避けるが、「不思議小説」という分類の仕方には頷かざるを得ない。どこか不気味なようで、どこか心の芯が温かくなるようで、不思議と懐かしさや切なさが込み上げてくる、味のある物語が揃えられていた。特に心に響いた三篇を挙げる。「トーガの星」:現実的には、悲劇を紛らわすための一抹の希望なのだろうが、事実そうなのだと思いたい童話的結末。「まぼろし部落」:(この世)は、主体に依るまぼろし世界。「親友トクロポント氏」:普通であるが故に失敗し、普通でないが故に幸福と成り得る。2016/05/03
パット長月
2
見知らぬ作家で、図書館で偶然手に取った本。ふしぎというより、世の中とうまくやっていけない、不幸な人たちが、(実際に現実がそうであるように)不幸なまま、静かにあるいは自暴自棄の行為の末、亡くなっていく、何とも哀しい話が多い。終戦後間もない、国民のほとんどが生きることに必死で、国全体が異常なエネルギーにあふれていたとき、この本に出てくるような人たちは、同情も共感も得られず、ひっそりと消えていくしかなかったのかもしれない。ふと(なぜかしら)、子供のころ観た、ウルトラセブンや怪奇大作戦のいくつかの話を思い出した。2013/08/04
Lighthouse Keeper
1
「ふしぎ小説」掌編23編。「脳味噌製造人」「まぼろし部落」「達磨あざ」2015/02/15
氷沼
0
再読した際にコメントします。
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- 和書
- 菊池寛と大映