内容説明
文庫未収録作品集、堂々の完結!表題作をはじめ、「人面瘡」「車井戸は何故軋る」他、金田一シリーズの原型作品を一挙5編+戦時下のレア作品を収録。
著者等紹介
横溝正史[ヨコミゾセイシ]
明治35年、神戸に生れる。大正10年4月、19歳で処女作「恐ろしき四月馬鹿」を「新青年」に発表。以後、新青年の名編集長として腕をふるい、江戸川乱歩らとともに日本探偵小説黎明期の、中心人物として活躍した。早くから時代小説も手がけ、「人形佐七捕物帳」をはじめとするシリーズが多数ある。昭和8年、作家専業となった直後、喀血して闘病生活を余儀なくされるが、「鬼火」「真珠郎」など鬼気せまる作品を次々と発表、みごとに再起をはたす。戦後いちはやく『本陣殺人事件』の連載を開始し、昭和23年、同作品で第一回日本探偵作家クラブ賞を受賞した。昭和20年代から30年代にかけて、『獄門島』『八つ墓村』『悪魔の手毬唄』等、金田一耕助の活躍する本格推理小説を数多く発表、昭和40年代に入ってしばらく沈黙するが、40年代後半、旧作の文庫化、映画化などの影響による爆発的な横溝正史ブームに応え、『病院坂の首縊りの家』『悪霊島』等の新作を発表した。昭和56年、79歳で他界する
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
18
逆境をいつの間にかプラスに転じてしまう柚木準一「金襴護符」物語の中心を鎖国中の江戸時代に遡らせた「海の一族」「ナミ子さん一家」明治33年の北清事変・義和団の乱を背景とした「剣の系図」「竹槍」「聖女の首」「車井戸は何故軋る」「人面瘡」「悪霊」「肖像画」少年もので犯人探しの企画による水準作「黄金の花びら」収録。「聖女の首」→『七つの仮面』(現行本・角川文庫『七つの仮面』)「車井戸は何故軋る」→『車井戸は何故軋る』(現行本・角川文庫『本陣殺人事件』)2005/03/04
Kouro-hou
16
戦時中作品や伝奇物、後に改稿長編化した原型作品を集めた短篇集。表題作は、金田一耕助の出番が入って事件を増やして長編化した「七つの仮面」の原型。怪奇幻想作品としてはなかなかで、個人的には「聖女の首」の方が好きだったりします。「人面瘡」「車井戸は何故軋る」「悪霊(「首」原型)」と金田一さんなんか要らんかったんや!と割と身も蓋もない気分になれます。横溝世界に時空を越えて侵食する金田一さんの恐怖をかんじたり。「金襴護符」は時事柄設定が戦時色かなり強めですが、意外と爽やかな展開が面白い。2014/12/30
yukiko.k
5
金田一シリーズを順番に読んで行きたかったが、利用している図書館に金田一耕助シリーズの『人面瘡』が無かった。横溝正史・人面瘡で、検索したらこちらの本が出てきたので、金田一シリーズの人面瘡が、入ってるかと思い借りてみたら人面瘡には金田一耕助はでてこず、更に本書は短編集で「車井戸は何故軋る」も収録されていたがそちらにも、まったく金田一耕助は出てこない…。 金田一耕助が出てくるのは最後の「黄金の花びら」のみ。 戦時中の話が多く、今まで読んだおどろおどろしい横溝正史さん作品とは違った印象。2022/08/18
私的読書メモ3328
3
発表順を基本に編まれているシリーズの三冊目。前二冊と比べて、各段に面白かったです。大作家でありながら異例の遅咲きでもある著者ですが、それは時節によるものだけでなく、本人の力量の向上に拠るところが大きいと感じられました。「良いものが売れる」という理想的な状態の実例として、ほっとさせてくれます。表題作『聖女の首』は怪談としても秀逸で、中編『車井戸は何故軋る』は「これぞ横溝正史」という一般的なイメージに合致した佳作でした。2020/01/03
カムリン
3
「金襴護符」あのオチにはずっこけた気分。落語じゃないんだから、あんなもん埋める先祖も先祖だが、埋めなおすなよ、子孫。ていうか探偵小説なんだから、疑え。きっと最初は財宝が入ってて、それを一番に掘り出したやつがあの紙を代わりに入れといたんだよ。二番目からはあの紙見てムカついて、埋めなおして次に掘り出すやつに八つ当たり…ってなると星新一だよ。まったくもう。2015/08/09