CMCテクニカルライブラリー
インクジェットプリンター

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  • サイズ A5判/ページ数 311p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784882318590
  • NDC分類 548.25
  • Cコード C3054

出版社内容情報

(1998年『インクジェットプリンター技術と材料』普及版)

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 近年のパソコンの普及は目覚ましく,遠からず一人一台の時代がやってくるものと思われ,テレビやラジオのように生活に密着した家電製品,あるいは万年筆,ボールペン,定規の類のごくありふれた文具製品と同じ感覚で取り扱う時代が来ると思われる。パソコンを使用する場合,表示画面を見ながら情報の確認やデータの解析を行い,結果をメモリーに保存し,必要な時に取り出して見る事が出来る。此れで何も問題はなさそうであるが,電子媒体に情報やデータを保存しておく事に不安を感じたり,物足りなさを感ずるのは私ばかりではなかろう。結果を固定画像,あるいは書類として手元においておきたいと言うのは,ごく当たり前な感覚である。ひところコンピューターの普及に伴ってペーパーレスの時代が来るといわれたが,結果はご存知のように紙の消費量が増えてしまった。このような傾向がある限り,パソコンの普及とプリンターの普及は一体である。
 言うまでもなく,現在インクジェットプリンターは個人使用のプリンターとしての王座を占めている。それはインクジェットプリンターが安価で小型,印字,画像品質もそこそこ満足のいく結果が得られるからである。しかしインクジェット記録技術がここまで来るにはたゆまぬ技術革新があった事を無視する事は出来ない。先行のドットプリンター,溶融熱転写プリンターから一歩抜きんでたのは,ジェットの発生メカニズムからインクの定着に至る迄の諸工程を基礎科学,基礎工学のレベルにまで堀り下げ研究,改善した関係各社の技術戦略があったからだと考えられる。
 科学技術の更なる発展が期待される21世紀において,インクジェットプリンター技術もそれ相応の発展が期待される。日進月歩の技術革新に適応するには,それぞれの分野における技術の発展の経緯を体系化し,基盤となる基礎科学を十分理解しておく必要がある。そのような背景を考慮しつつまとめられた本書は基礎理論編,プリンター編,インク編,用紙・記録材料編からなり,それぞれの分野で活躍しておられる科学者,技術者の方々にご執筆いただいた。ご協力いただいた関係各位に深く感謝すると共に,本書が画像技術,プリンター技術に携わっておられる多くの方のお役に立つ事を期待するものである。
                                                                         1998年7月 千葉大学教授 甘利武司
普及版の刊行にあたって
 本書は,1998年に『インクジェットプリンター技術と材料』として刊行されました。普及版の刊行にあたり,内容は当時のままで手は加えておりませんので,了承願います。 なお,本書をご監修された甘利武司先生は,2002年12月にご逝去されました。ここに心よりご冥福をお祈り申しあげます。


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甘利武司 千葉大学 工学部 教授
古澤邦夫 筑波大学 化学系 助教授;(現)筑波大学産学リエゾン共同研究センター シニア・コーディネータ;筑波大学 化学系 元教授
松尾一壽 福岡工業大学 情報工学部 情報工学科 助教授;(現)福岡工業大学 情報工学部 情報工学科 教授
空閑重則 東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物材料科学専攻 助教授
吉村茂 キヤノン㈱ B製品事業本部 B化成品事業部 Bコンポーネント開発センター 副所長
碓井稔 セイコーエプソン㈱ 情報画像事業本部 要素開発部 部長;(現)セイコーエプソン㈱ 取締役
福田隆 (現)富士ゼロックスプリンティングシステムズ㈱ マーケティングセンター プロダクトマーケティンググループ マネージャー     
清弘智昭 山梨大学 工学部 電気電子システム工学科 助教授;(現)山梨大学大学院 医学工学総合研究部 教授
武藤正行 シルバー精工㈱ 研究開発部 チーフマネージャ
門池文武 昭和情報機器㈱ 販売促進部 第2システム推進 第2グループ 課長
山口和治 ㈱日立製作所 電化機器事業部 多賀本部 産業機器設計部;(現)㈱日立産機システム 省力システム事業部 IJP設計グループ 主任技師
加藤孝行 コニカ㈱ 事業開発推進部 開発Gr. 主任研究員;(現)コニカミノルタIJ㈱ 開発統括部 第3開発部 担当課長
若杉雄司 コニカ㈱ 事業開発推進部 販売Gr. 課長
三浦眞芳 松下電器産業㈱ ドキュメント技術開発センター 主席技師
田林勲 大日本インキ化学工業㈱ MCプロジェクト 主任研究員
前川勉 日立工機㈱ 勝田研究所 研究員;(現)リコープリンティングシステムズ㈱ インクジェット開発プロジェクト技師
佐川明美 日立工機㈱ 勝田研究所 研究員;(現)リコープリンティングシステムズ㈱ 事業統括本部 知的財産権部 技師
角田敦 日立工機㈱ 勝田研究所 主管研究員;(現) 千歳科学技術大学 光科学部 教授
山口義和 クレストン 代表
佐藤俊之 キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク インクジェット 着色剤事業部
大嶋明博 キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク インクジェット 着色剤事業部;(現) キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ・インク 新規ビジネス開発部
千賀孝雄 三菱製紙㈱ 総合研究所 東京研究センター 部長研究員
斎藤洋一 コニカ㈱ 中央研究所 主任研究員;(現) コニカミノルタフォトイメージング㈱ 開発センター
松原俊哉 旭硝子㈱ 中央研究所 主席研究員
近藤雅弘 ㈱トクヤマ ソーダ薬品製造部 技術課;(現) ㈱トクヤマ Si製造部 技術課 主任
岩室義之 三晶㈱ 第一営業本部 本部長;(現) 三晶㈱ 営業業務部 部長
(執筆者の所属は,注記以外は1998年当時のものです。)


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<総論・基礎理論編>

第1章 インクジェットプリンターの現状と今後(甘利武司)
1. はじめに
2. インクジェットプリンターの分類
3. プリンターヘッドとインク滴形成
4. ジェットインク
5. 記録用紙
6. 特殊なインクジェット記録
7. 今後の予測

第2章 希薄コロイド系の化学(古澤邦夫)
1. コロイドの定義と分類
2. コロイド分散系の特性
3. 電気二重層の性質
4. 動電現象とゼータ電位
5. DLVO理論と分散・凝集
6. 高分子の吸着と分散・凝集作用

第3章 希薄分散系のレオロジー(甘利武司)
1. レオロジーとは
2. 粘性と弾性
3. 粘弾性
4. 希薄分散系レオロジーの特徴
5. 希薄分散系のレオロジー測定

第4章 インクジェットの飛翔特性(松尾一壽)
1. はじめに
2. インクジェット飛翔
3. インクジェット飛翔の観測
4. おわりに

第5章 記録用紙とインクの浸透特性(空閑重則)
1. はじめに
2. 紙の構造と顔料塗工の役割
3. インクジェットにおける受容層の役割
4. 紙への液体浸透とサイズ度の評価
5. 動的走査吸液計による液体吸収性の評価
6. 表面の走査電顕観察
7. おわりに


第6章 インクジェット記録における印字適性(甘利武司)
1. はじめに
2. インクの浸透の解析・評価
3. インク浸透とパーコレーション理論
4. 紙の性質とインクの浸透
5. 印字パターンの量的評価

<プリンター編>
第7章 サーマルジェットプリンター(バブルジェットプリンタ)(吉村茂)
1. はじめに
2. BJの原理
3. ヘッドの加工
4. インクの供給
5. 本体の差別化
6. キャリッジ送り
7. 紙送り
8. モーターの制御
9. 回復系
10. 環境への適応性
11. 結び

第8章 ピエゾ方式インクジェットプリンター(MACH-JETプリンタ)(碓井稔)
1. はじめに
2. インクジェット記録方式の特徴
3. 信頼性,耐久性の確保
4. MACH方式の特徴
5. インクの開発
6. インクカートリッジの開発
7. 記録メディアの開発
8. 終わりに

第9章 ソリッドインクジェット・プリンター(福田隆)
1. はじめに
2. ソリッドインクジェット・プリンターとは
3. 各エンジン方式の比較
4. ソリッドインクジェット・カラープリンター
5. ソリッドインクジェットの将来性
6. おわりに

第10章 ERFインクジェットプリンター(清弘智明)
1. ER流体
2. ERFインクジェット
3. ERFインクジェットの原理
4. インキ流路およびインキ粘度の理論検討
5. 交流電界特性
6. ER流体インキの応答特性
7. 流量解析
8. 噴出インキ流量の測定と解析結果
9. まとめ

第11章 プルーフ用プリンター(武藤正行)
1. はじめに
2. ディジタルプルーファーに要求される特性
3. 記録原理と描画性能
4. ディジタルカラープルーファーSRjet
5. 高画質化と安定化のための主要技術
6. むすび

第12章 ワイドフォーマットプリンター(門池文武)
1. はじめに
2. 大判カラーインクジェットプリンター印刷システムの開発動向
3. 大判カラーインクジェットプリンター印刷システムの利用状況
4. おわりに

第13章 産業用マーキングプリンター(帯電制御式インクジェットプリンター)(山口和治)
1. はじめに
2. 帯電制御式インクジェットプリンターの原理
3. マーキングのための基本構成
4. 産業用インクジェットプリンターの用途
5. 産業用インクジェットプリンターの性能・機能および技術動向

第14章 捺染用プリンター(加藤孝行,若杉雄司)
1. はじめに
2. 捺染と印刷
3. 捺染用インクジェットプリントシステムの例
4. 本システムの主要技術
5. まとめ

第15章 インクジェット記録ヘッド(三浦眞芳)
1. はじめに
2. 各種インクジェット方式
3. インクジェット関連技術の動向
4. インクジェットの工業応用
5. おわりに

<インク編>
第16章 インクジェット記録用水性インク(田林勲)
1. はじめに
2. インクに要求される特性
3. インクの物性
4. インク組成
5. インクの製造方法
6. インクの安全性と環境への影響

第17章 インクジェット記録用油性インク(シーエムシー編集部)
1. はじめに
2. 油溶性染料
3. 特定油溶性染料とインク組成
4. 一般油溶性染料とインク組成
5. 顔料インク
6. インクの製造

第18章 インクジェット記録用ソリッドインク(前川勉,佐川明美,角田敦)
1. 概要
2. 転写記録方式のインク
3. 顔料を色材としたインク
4. 刷版装置への利用
5. 今後の方向

第19章 インクジェットインク用染料(山口義和)
1. 水溶性染料と公開特許の動き
2. 水溶性染料の分類と特徴
3. ブラック系水溶性染料
4. イエロー系水溶性染料
5. マゼンタ系水溶性染料
6. シアン系水溶性染料
7. その他
8. おわりに

第20章 インクジェット用顔料(佐藤俊之,大嶋明博)
1. インクジェット用顔料
2. 顔料の分散機構
3. インクジェット用水系顔料インクの開発動向
4. 今後の顔料タイプ着色剤の展開

<用紙・記録材料編>
第21章 インクジェット記録用コート紙(千賀孝雄)
1. 紙ベースのインクジェット塗工紙の設計
2. 紙ベースの光沢塗工紙
3. 最近の開発動向と今後の展開

第22章 インクジェット記録用光沢紙(斎藤洋一)
1. はじめに
2. 光沢紙に要求される特性
3. 光沢紙の区分
4. 膨潤型光沢紙
5. 空隙型光沢紙
6. フォトジェットペーパー・フォトライクQPの技術と特長
7. おわりに

第23章 インクジェット記録用媒体-アルミナ微粒子を中心に-(松原俊哉)
1. はじめに
2. ピクトリコの構造と特性
3. ピクトリコ印刷物の特徴
4. まとめ

第24章 インクジェット用紙用顔料(近藤雅弘)
1. はじめに
2. インクジェット専用紙
3. 非晶質合成シリカ
4. シリカのスラリー特性
5. シリカの吸液特性
6. コート層の表面強度とシリカの粉体物性
7. 保存性とシリカの粉体物性
8. 写真画質インクジェット紙用顔料
9. まとめ

第25章 インクジェット用紙用サイズ剤(岩室義之)
1. はじめに
2. 表面サイズ
3. インクジェット印刷用のサイズ剤の懸念
4. インクジェット印刷適性
5. おわりに  

内容説明

科学技術の更なる発展が期待される21世紀において、インクジェットプリンター技術もそれ相応の発展が期待される。日進月歩の技術革新に適応するには、それぞれの分野における技術の発展の経緯を体系化し、基盤となる基礎科学を十分理解しておく必要がある。そのような背景を考慮しつつまとめられた本書は基礎理論編、プリンター編、インク編、用紙・記録材料編からなり、それぞれの分野で活躍しておられる科学者、技術者の方々にご執筆いただいた。

目次

総論・基礎理論編(インクジェットプリンターの現状と今後;希薄コロイド系の化学 ほか)
プリンター編(サーマルジェットプリンター(バブルジェットプリンタ)
ピエゾ方式インクジェットプリンター(MACH‐JETプリンタ) ほか)
インク編(インクジェット記録用水性インク;インクジェット記録用油性インク ほか)
用紙・記録材料編(インクジェット記録用コート紙;インクジェット記録用光択紙 ほか)

著者等紹介

甘利武司[アマリタケシ]
千葉大学工学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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