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自己組織化ポリマー表面の設計

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  • サイズ A5判/ページ数 248p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784882318569
  • NDC分類 578
  • Cコード C3043

出版社内容情報

(1998年『自己組織化ポリマー表面の解析と機能設計』普及版)

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 蛋白質や多糖などの天然高分子にみられるように,種々の分子間相互作用により形成される高次構造は,生体内での情報伝達・変換・増幅といった種々の機能発現において中心的な役割を演じていることが知られている。近年では,こうした分子間相互作用に基づく自己組織性を,積極的に利用あるいは制御した幾多の合成ポリマーや分子集合体が設計され,新しい構造材料や機能材料としての展開が期待されている。
 例えば,合成ポリマーに見られる特徴のひとつである結晶性はポリマー鎖の自己組織化の典型であり,ポリマーの結晶化挙動と結晶構造は多くの研究者によって明らかにされてきた。また,近年では線状ポリマーのみならず幾何学的に特異な構造を有するポリマーが,超分子科学の対象として脚光を浴びるようになってきており,ポリマーの自己組織化による構造特異的な機能設計への関心が広まりつつある。
 しかしながら,実際にこうしたポリマーの自己組織化を利用した材料の機能設計を考える際,その多くがポリマーの表面という外界とのインターフェイスをもとに設計される必要がある。そのような意味で,自己組織化ポリマー表面の設計は応用上の重要な局面といえる。ところが,一般には外界と接しているポリマー表面はポリマー内部(バルク)とは異なる構造を形成しており,そのために自己組織化ポリマーの表面となると未解決の問題が多く残されているのが実状である。
 本書では,このような背景を元に自己組織化ポリマーを取り上げるにあたり,特にその表面の設計と機能に注目して構成した。具体的には,とりわけ自己組織化が期待される表面として,多成分系および結晶性ポリマーに着目して編集した。産業界で御活躍の諸兄にとって,最新の動向を把握できる自己組織表面の機能設計を行うバイブルとなれば幸甚である。
1998年11月 由井信彦,寺野稔

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 本書は,1999年に『自己組織化ポリマー表面の解析と機能設計』として刊行されました。このたび普及版を刊行するにあたり内容は当時のままであり,何ら手を加えておりません。ご了承ください。
2005年5月 (株)シーエムシー出版 編集部


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由井伸彦 北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 教授
寺野 稔 北陸先端科学技術大学院大学 材料科学研究科 教授
草薙 浩 水産大学校 水産情報経営学科 教授
石川 潔 日立建機(株) FA事業部
(現) メガテクノ 代表取締役 
新田晃平 北陸先端科学技術大学院大学 新素材センター 助教授
(現) 金沢大学大学院 自然科学研究科 教授 
西岡利勝 出光石油化学㈱ 樹脂研究所
(現) 出光興産㈱ 総合開発センター 材料研究所
千秋和久 テルモ(株) 研究開発センター 研究員
松田武久 九州大学大学院 医学系研究科 医用工学分野 教授
国立循環器病センター研究所 生体工学部
青井啓悟 名古屋大学大学院 生命農学研究科 応用分子生命科学専攻 助教授
岡田鉦彦 名古屋大学大学院 生命農学研究科 応用分子生命科学専攻 教授
(現) 中部大学 応用生物学部 教授
手塚育志 東京工業大学 有機材料工学科 助教授
(現) 東京工業大学 大学院理工学研究科 有機・高分子物質専攻 教授
岸田晶夫 鹿児島大学 工学部 応用化学工学科 助教授
(現) 東京医科歯科大学 生体材料工学研究所 教授
明石 満 鹿児島大学 工学部 応用化学工学科 教授
(現) 大阪大学 大学院工学研究科 分子化学専攻 教授
山岡哲二 京都工芸繊維大学 繊維学部 高分子学科 講師
(現) 国立循環器病センター研究所 先進医工学センター生体工学部 部長員
木村良晴 京都工芸繊維大学 繊維学部 高分子学科 教授
中前勝彦 神戸大学 工学部 応用化学科 教授
(現) (財)高輝度光科学研究センター 利用研究促進部門Ⅱ コーディネーター 
関 隆広 東京工業大学 資源化学研究所 助教授
(現) 名古屋大学 大学院工学研究科 教授
甲本忠史 群馬大学 工学部 材料工学科 教授
正田 勲 (株)トクヤマ 樹脂研究所 主任
(現) (株)トクヤマ RC研究所 主任研究員
川本尚史 チッソ石油化学(株) 高分子研究所 主任研究員
(現) 旭電化工業(株) 樹脂添加剤開発研究所 主任研究員
辻井 薫 海洋科学技術センター 深海環境フロンティア チームリーダー
(現) 北海道大学 電子科学研究所 附属ナノテクノロジー研究センター 教授 
桑野一幸 トヨタ自動車(株) 第2材料技術部 担当員
(現) トヨタ自動車(株) 第3材料技術部 主担当員
亀山泰弘 三菱化学(株) 横浜総合研究所 画像研究所 主任研究員
青山真人 三菱化学(株) 筑波研究所 副主任研究員
(現) (株)三菱化学科学技術研究センター ポリマー合成研究所 プロジェクトリーダー 
本多 卓 住友化学工業(株) 基礎化学品研究所 主任研究員
(現) 住華科技股?有限公司 研發技術處 協理 
菊池明彦 東京女子医科大学 医用工学研究施設 助手
(現) 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 助教授
岡野光夫 東京女子医科大学 医用工学研究施設 教授
(現) 東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 所長,教授
(執筆者の所属は,注記以外は1998年当時のものです。)


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第1章 序論(由井伸彦,寺野稔)

第2章 自己組織化ポリマー表面の解析

1. 吸着水からみたポリマー表面の解析(草薙浩)
1.1 はじめに
1.2 分光法による高分子中の水の構造分析
1.2.1 赤外からみた高分子と水との相互作用の強さ
1.2.2 NMRからみた高分子中の水の運動性
1.2.3 相互作用の強さと運動性
1.3 ポリマーモデル化合物と水分子との相互作用の量子化学計算
1.3.1 孤立系モデルによる計算
1.3.2 表面とバルクモデルの計算
1.4 高分子中の水の構造と物性変化
1.5 おわりに

2. 超音波顕微鏡によるポリマー表面の解析(石川潔,新田晃平)
2.1 はじめに
2.2 超音波顕微鏡の概要
2.3 超音波顕微鏡による高分子材料の観察
2.3.1 表面観察
2.3.2 粒子分散系プラスチック複合材料の評価
2.3.3 繊維強化プラスチック複合材料の評価
2.3.4 結晶性高分子材料の内部観察
2.3.5 微小領域の音響インピーダンスの測定
2.4 おわりに

3. 赤外分光法による高分子材料のデプスプロファイル(西岡利勝)
3.1 顕微赤外分光法による塗装界面の相互作用の解析
3.1.1 緒言
3.1.2 実験
3.1.3 結果及び考察
3.1.4 結論
3.2 ラミネートフィルムの滑り性低下機構の解析
3.2.1 緒言
3.2.2 実験
3.2.3 結果及び考察
3.2.4 結論

4. 透過型電子顕微鏡による表層部断面観察(千秋和久)
4.1 はじめに
4.2 試料調整法1(乾燥条件下における膜表面の観察)
4.3 試料調整法2(水和状態での表面構造)
4.4 試料調整法3(その他の染色剤)
4.5 親水性‐疎水性ブロック共重合体の表面構造と環境変化に応答した表面構造再構築
4.6 まとめ

第3章 多成分系ポリマー表面の自己組織化

1. 高分子表面における精密構造化(松田武久)

2. デンドリマーの超分子組織化を基盤とする機能材料の分子設計(青井啓悟,岡田鉦彦)
2.1 はじめに
2.2 デンドリマーの特徴
2.3 デンドリマーに基づく超分子組織体の設計概念
2.4 分子認識能をもつデンドリマーの精密合成と自己組織化
2.5 球状頭部/線状尾部からなるtadpole型新規ブロック共重合体の精密合成と自己組織化
2.6 表面ブロック型デンドリマーの合成法の開拓と分子集合体形成
2.7 両親媒性ツインデンドリマーの設計
2.8 超分子球状素構造のサイズ制御
2.9 球状素構造による新しい「ナノ環境」
2.10 おわりに

3. ポリウレタン系グラフト共重合体の表面形成と環境応答(手塚育志)
3.1 はじめに
3.2 マクロモノマー法によるポリウレタン系グラフト共重合体の合成
3.3 ポリウレタン系グラフト共重合体の表面形成
3.4 ポリウレタン系グラフト共重合体表面の環境応答
3.5 3成分グラフト共重合体による表面設計
3.6 おわりに

4. アラミド・シリコーン・マルチブロック共重合体の表面特性(岸田晶夫,明石満)
4.1 はじめに
4.2 PASの合成
4.3 PASキャストフィルムの表面及びバルク構造の解析
4.4 熱処理の影響
4.4.1 DSCによる検討
4.4.2 バルク分析
4.4.3 表面分析
4.5 表面特性に及ぼすキャスト溶媒の効果
4.5.1 バルク分析
4.5.2 表面分析
4.6 まとめ
 
5. 乳酸系ポリマーの表面修飾と自己組織化(山岡哲二,木村良晴)
5.1 はじめに
5.2 ポリ乳酸の化学修飾と組織・細胞親和性表面の構築
5.2.1 ポリ乳酸側鎖への官能基の導入と細胞接着因子による表面修飾
5.2.2 PLLAの表面反応による組織・細胞親和性の付与
5.3 ポリ乳酸‐ポリエーテルブロック共重合体の自己組織化
5.3.1 ポリ乳酸‐ポリエーテルブロック共重合体の合成
5.3.2 ポリ乳酸‐ポリエーテルブロック共重合体ナノカプセル・ナノ粒子
5.3.3 ポリ乳酸‐ポリエーテルブロック共重合体マトリックスの応用
 
6. エチレン‐ビニルアルコール共重合体の表面特性とその機能膜への応用(中前勝彦)
6.1 はじめに
6.2 エチレン‐ビニルアルコール共重合体の結晶構造と表面物性
6.3 EVA膜の表面構造の制御と機能化
6.4 OH基を利用した触媒固定膜に関する応用例
 
7. 光応答性表面分子膜の設計と機能(関隆広)
7.1 はじめに
7.2 水面単分子膜の光応答形態変化
7.3 固体基板上での界面膜の光誘起形態変化
7.4 表面レリーフグレーティングの形成
7.5 単分子膜による分子組織状態の光制御
7.6 おわりに

第4章 結晶性ポリマー表面の自己組織化
1. 結晶性高分子表面の電子顕微鏡による観察(甲本忠史)
1.1 はじめに
1.1.1 高分子の結晶化と高次構造形成
1.1.2 共重合体,ブレンド物等の構造形成
1.1.3 高分子結晶の表面
1.2 重合結晶化物
1.3 高分子単結晶
1.4 バルク結晶化物
1.4.1 表面観察
1.4.2 内部観察
1.5 高分子摩擦表面
1.6 おわりに

2. 二軸延伸PPフィルムの表面構造と物性(正田勲)
2.1 緒言
2.2 実験
2.2.1 BOPPフィルムの作製
2.2.2 フィルム物性の測定
2.2.3 光散乱測定
2.2.4 表面形態観察
2.3 結果と考察
2.3.1 透視性
2.3.2 耐ブロッキング性
2.4 結論

3. 動的粘弾性測定によるポリプロピレンシートの表面解析(新田晃平,寺野稔)
3.1 緒言
3.2 原理
3.3 解析例
3.3.1 試料
3.3.2 動的粘弾性測定結果
3.3.3 解析結果と考察
3.4 終言

第5章 自己組織化ポリマー表面の応用
1. 血液適合性ポリプロピレン表面(川本尚史,由井伸彦,寺野稔)
1.1 はじめに
1.2 医用材料としてのポリプロピレンの現状と可能性
1.3 材料表面における血栓形成反応
1.4 ポリプロピレンの表面層構造
1.5 ポリプロピレン表面の物理化学的特性
1.6 ポリプロピレン表面への血漿タンパク質の吸着とその抑制機構
1.7 ポリプロピレン表面における血小板活性化の抑制
1.8 優れた血液適合性が獲得でる可能性
1.9 おわりに

2. フラクタル表面‐超撥水/撥油材料への応用‐(辻井薫)
2.1 はじめに
2.2 複雑さの定量的表現としてのフラクタル次元
2.3 フラクタル構造と固体表面の濡れ
2.3.1 濡れを決める2つの因子
2.3.2 フラクタル表面の濡れ
2.4 超撥水/撥油表面の実現
2.4.1 アルキルケテンダイマー(AKD)の超撥水表面
2.4.2 AKDフラクタル表面を使った理論の検証
2.4.3 超撥油表面の実現
2.5 フラクタル表面の自己組織的形成と設計
2.6 おわりに
 
3. 星型ポリマー塗料(桑野一幸)
3.1 はじめに
3.2 塗料ハイソリッド化の原理
3.3 星型ポリマーの合成
3.3.1 合成方法
3.3.2 合成結果
3.4 合成星型ポリマーを用いた溶液粘度測定と塗料のハイソリッド耐候性
3.5 星型ポリマーの耐候性
3.5.1 耐候性試験と劣化解析
3.5.2 劣化メカニズム解明と耐候性向上手法
 
4. 化学増幅型レジスト(亀山泰弘)
4.1 はじめに
4.2 化学増幅ポジ型レジスト
4.3 化学増幅ネガ型レジスト
4.4 化学増幅レジストの問題点
4.5 化学増幅レジストの高解像力化
4.6 ArFエキシマーレジスト
4.7 おわりに
 
5. グラフト共重合体を用いた表面改質(青山真人)
5.1 はじめに
5.2 撥水性付与グラフト共重合体と親水性付与グラフト共重合体
5.3 類似の考え方に基づく他の改質例
5.4 帯電防止剤
5.5 帯電防止剤と撥水化剤の併用
 
6. 高屈折率/低屈折率複合体(本多卓)
6.1 はじめに
6.2 作製方法と相分離構造
6.2.1 原料樹脂組成物
6.2.2 正面散乱型
6.2.3 斜め散乱型作製方法
6.3 相分離構造形成機構
6.3.1 屈折率変調型ホログラムの形成機構
6.3.2 LCF作成時の照射光強度分布
6.3.3 LCF相分離構造形成速度
6.3.4 LCF相分離構造形成機構
6.4 応用分野
6.4.1 LCD視野角拡大フィルム
6.5 おわりに

7. 温度応答型表面による細胞培養制御(菊池明彦,岡野光夫)
7.1 はじめに
7.2 ポリ(N‐イソプロピルアクリルアミド)(PIPAAm)の温度応答特性とそのバイオメディカル分野への応用
7.3 PIPAAm修飾表面の培養細胞の回収システムへの応用
7.4 PIPAAm表面で培養した細胞シートの二次元マニピュレーション
7.5 結語  

目次

第1章 序論
第2章 自己組織化ポリマー表面の解析(吸着水からみたポリマー表面の解析;超音波顕微鏡によるポリマー表面の解析 ほか)
第3章 多成分系ポリマー表面の自己組織化(高分子表面における精密構造化;デンドリマーの超分子組織化を基盤とする機能材料の分子設計 ほか)
第4章 結晶性ポリマー表面の自己組織化(結晶性高分子表面の電子顕微鏡による観察;二軸延伸PPフィルムの表面構造と物性 ほか)
第5章 自己組織化ポリマー表面の応用(血液適合性ポリプロピレン表面;フラクタル表面‐超撥水/撥油材料への応用 ほか)

著者等紹介

由井伸彦[ユイノブヒコ]
北陸先端科学技術大学院大学材料科学研究科教授

寺野稔[テラノミノル]
北陸先端科学技術大学院大学材料科学研究科教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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