出版社内容情報
(1998年11月『機能性顔料の技術と応用展開』普及版)
【刊行にあたって】
本書は“顔料の機能性”に焦点をあてて,製造から応用製品の開発動向をまとめた。
第1章「無機顔料の研究開発動向」では,機能性をもたせる製法について重点をおいてまとめた。また,無機顔料の場合,機能性発揮には顔料粒子の形状因子,結晶構造,化学構造などが考えられており,その点からの製法,機能性,用途などについてもふれた。
第2章「有機顔料の研究開発動向」では,一般的な用途(印刷インキ,塗料,プラスチック,繊維等)に対する品質要求の変化への対応や,機能性を発揮させるための製法についてまとめた。
特に,微粒子化,透明化(カラーフィルター用途,インクジェット用途など染料から顔料への移行に伴う)への粒子形状の調整,表面処理,さらには,機能性発揮のための新規結晶型の調整や既存顔料をモディファイした化学構造などにふれた。また,新規色相を呈する顔料として固溶体顔料についても紹介した。
第3章「用途展開の現状と将来展望」では,機能性顔料を使用した機能性製品開発に重点をおき,その現状と将来展望を各用途別にまとめた。最後に顔料一覧を付した。
2004年9月 (株)シーエムシー出版 編集部
【執筆者一覧(執筆順)】
坂井 章人 石原産業(株) 応用研究所
(現)石原産業(株) 機能材料営業部
寺田 裕美 大日精化工業(株) 顔料技術本部
堀石 七生 戸田工業(株) CS本部
(現)戸田工業(株) 東京ヘッドオフィス 技術顧問
齋藤 記庸 三菱マテリアル(株) 鹿島工場
三田 宗雄 日本化学工業(株) 研究開発本部
新田 勝久 メルク・ジャパン(株) 顔料事業部
(現)メルク(株) 顔料事業部
尾藤 哲也 (元)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株) コーティング機能材セグメント
松沢 隆嗣 根本特殊化学(株) 営業統括本部
大西 敏行 石塚硝子(株) セラミックス事業室
(現)石塚ガラス(株) プラスチックカンパニー
小野 明夫 大同化成工業(株) 技術部
高見 尚徳 大日精化工業(株) 顔料事業部
髙橋 正好 大日本インキ化学工業(株) 顔料技術グループ
(現)大日本インキ化学工業(株) 鹿島工場 顔料製造二部
船倉 省二 大日本インキ化学工業(株) 顔料技術グループ
品川 幸夫 大日精化工業(株) 顔料事業部
大倉 研 大日精化工業(株) 顔料事業部
高尾 道生 東京インキ(株) 第一生産本部
品田 登 (元)サカタインクス(株)
重森 義浩 大日精化工業(株) 化学品技術本部
髙橋 裕介 大日精化工業(株) 化成品応用技術部
田中 宗男 (株)資生堂 顧問
熊谷 重則 (株)資生堂 コスメニティー研究所
岩崎 政幸 富士写真フイルム(株) 富士宮研究所
(現)富士写真フイルム(株) ディジタル材料研究所
吉田 明男 大日精化工業(株) 技術研究センター
佐々木正臣 (株)リコー 化成品事業本部
(現)(株)リコー 中央研究所
柴田 正三 名古屋造形芸術大学 造形芸術学部
杉山 豊彦 工業技術院 名古屋工業技術研究所
相原 次郎 相原技術士事務所
(執筆者の所属は,注記以外は1998年当時のものです。)
【構成および内容】
第1章 無機顔料の研究開発動向
1.超微粒子酸化チタンの特性と応用技術 坂井章人
1.1 はじめに
1.2 酸化チタンの基本物性
1.3 超微粒子酸化チタンの基本的性質
(1)物理的,化学的性質
(2)光学的性質
(3)超微粒子酸化チタンの製造方法
1.4 一次粒子経,分散強度と光学的特性の関係
1.5 超微粒子酸化チタンの分散
(1)分散度を変えた時の塗料の電顕写真
(2)分散強化に伴う諸物性の変化
(3)分散性の改良処方
1.6 超微粒子酸化チタンの耐候性
(1)粒子径の影響
(2)耐候性の改良
1.7 超微粒子酸化チタンの用途
1.8 おわりに
2.複合酸化物系顔料 寺田裕美
2.1 はじめに
2.2 種類,構造および性質
2.3 製造法
2.4 用途
2.5 複合酸化物系顔料の開発動向と機能性付与
(1)無公害化対策
(2)微粒子複合酸化物系顔料
(3)蛍光体付着用顔料
(4)近赤外線反射材料
(5)酸化触媒
(6)その他
3.酸化鉄顔料 堀石七生
3.1 はじめに
3.2 着色顔料と光学特性
(1)コンクリート着色
(2)アスファル ト着色
(3)光学特性
3.3 磁性酸化鉄粉
(1)高周波誘導加熱
(2)バイオテクノ ロジーへの応用
3.4 化学的活性
(1)脱臭機能能
(2)助燃機能
(3)排煙脱塩効果
(4)ダイオキシン抑制効果
3.5 まとめ
4.チタンブラック 齋藤記庸
4.1 はじめに
4.2 製法
4.3 特性と用途
5.硫酸バリウム 三田宗雄
5.1 はじめに
5.2 製造方法
5.3 性質
5.4 用途
5.5 開発動向
6.パール顔料の研究開発動向 新田勝久
6.1 はじめに
6.2 パール光沢の発色の原理
(1)パール光沢
(2)干渉色
(3)粒子経
6.3 パール顔料と一般の無機顔料との違い
6.4 パール顔料の種類と製法
6.5 表面処理タイプの開発
(1)耐候性パール顔料
(2)耐黄変性パール顔料
(3)耐プレートアウト処理パール顔料
(4)ウェルドマークフローライン対応パール顔料
6.6 パール顔料の機能
(1)バリヤー効果
(2)熱線反射性
(3)レーザーマーキング増感効果
(4)偽造防止
(5)除虫効果
(6)液晶表示パネルのバックライト用光散乱剤
6.7 機能性材料への展開
(1)化粧品用体質顔料
(2)導電性顔料
6.8 新規なパール顔料,色彩効果顔料
(1)レッドパールの発展
(2)緑色系パール顔料
(3)黒色系パール顔料
(4)金属調光輝性顔料
(5)雲母のかわりに他の薄片状物質をベースにして金属酸化物を被覆したもの
(6)雲母に酸化チタンを被覆した後雲母の一部または全部を溶解除去したもの
(7)光学薄膜を作成した後にフレーク化するもの
6.9 おわりに
7.最新の新規無機顔料(ビスマス・バナデート) 尾藤哲也
7.1 はじめに
7.2 製法
(1)沈降法
(2)焼成法
7.3 諸物性
(1)物理特性
(2)色相
(3)耐候性
(4)耐化学品性
(5)毒性
(6)鉛・クロム代替処方
7.4 おわりに
8.蛍光顔料と畜光顔料 松沢隆嗣
8.1 はじめに
8.2 蛍光顔料
(1)蛍光顔料の種類
(2)蛍光顔料の製法
(3)蛍光顔料の用途
8.3 畜光顔料
(1)畜光顔料の種類
(2)畜光顔料の製法
(3)畜光顔料の特性
(4)畜光顔料の用途
9.抗菌顔料・防黴顔料・防臭顔料 大西敏行
9.1 はじめに
9.2 抗菌(防臭)・防黴材の種類
9.3 無機系抗菌(防臭)防黴材
9.4 抗菌ガラスとは
9.5 抗菌ガラスとの複合化
9.6 抗菌(防臭)・防黴効果
9.7 抗菌ガラスの応用例
9.8 今後の展望
第2章 有機顔料の研究開発動向
1.溶性アゾ顔料(アゾレーキ) 小野明夫
1.1 はじめに
1.2 研究開発動向
(1)オフセット適性
(2)油性グラビア-特グラビア適性
(3)水性グラビアーフレキソ適性
(4)新規顔料・その他
1.3 おわりに
2.不溶性アゾ顔料 高見尚徳
2.1 はじめに
2.2 βナフトール系不溶性アゾ顔料
2.3 ナフトールAS系(モノアゾ, ジスアゾ)
(1)ナフトールAS系不溶性モノアゾ顔料
(2)ナフトールAS系ビス(ジス)アゾ系顔料
2.4 アセト酢酸アリリド系(モノアゾ,ジスアゾ)
(1)アセト酢酸アリリド系(モノアゾエロー)
(2)アセト酢酸アリリド系(ジスアゾエロー)
2.5 縮合アゾ系顔料
3.フタロシアニン系顔料 高橋正好
3.1 はじめに
3.2 銅フタロシアニン顔料の種類と用途
3.3 各用途における要求品質と開発動向
(1)印刷インキ
(2)塗料
(3)プラスチック
(4)カラーフィルターとインクジェット
3.4 おわりに
4.縮合多環系顔料 船倉省二
4.1 はじめに
4.2 新規構造顔料の開発動向
4.3 固溶体顔料の開発動向
4.4 蛍光材料への開発動向
4.5 光導電材料への開発動向
4.6 おわりに
5.樹脂ビーズ顔料 品川幸夫
5.1 はじめに
5.2 意匠性着色剤
5.3 艶消し剤
5.4 光拡散剤
5.5 その他の応用展開
5.6 おわりに
第3章 用途展開の現状と将来展望
1.機能性顔料の用途展開の現状と将来展望 大倉 研
1.1 はじめに
1.2 顔料の持つ機能性
(1)堅牢性
(2)無機顔料
(3)特異な光吸収波長をもつ顔料
(4)多π電子系化合物(有機顔料)としての分子物性
(5)有機金属化合物(有機顔料)としての分子物性
(6)平板状構造をもつ有機分子よりなる有機顔料の結晶物性
1.3 顔料の機能と用途展開
(1)染料から堅牢性を活かした顔料への移行
(2)特異光吸収特性を活かした用途
(3)有機顔料の光半導体特性を活かした用途
(4)有機金属化合物の特性を活かした用途
1.4 おわりに
2.印刷インキ 高尾道生
2.1 はじめに
2.2 印刷業界の動向と印刷インキ業界の関連
2.3 オフセットインキ
2.4 グラビアインキ
(1)出版用グラビアインキ
(2)包装用グラビアインキ
2.5 印刷用インキの製造と顔料
(1)グラニュールタイプの顔料
(2)フタロシアニンブルーの結晶転換
(3)高濃度顔料分散体の流動性改良
(4)フラッシング工程の速化
(5)簡素化されたオフセットインキの製造方法
2.6 環境問題と顔料
2.7 おわりに
3.塗料 品田 登
3.1 はじめに
3.2 顔料の種類
3.3 顔料の性質
(1)色
(2)隠ぺい力
(3)着色力
(4)分散性
(5)耐光(候)性
(6)耐熱性
(7)耐溶剤性
(8)耐薬品性
(9)耐水性
(10)無毒性
3.4 色・特性・用途
4.プラスチック 重森義浩
4.1 はじめに
4.2 プラスチックの着色目的
4.3 プラスチック用色素(染料・顔料)
4.4 着色剤の種類と特徴
(1)粉粒状着色剤
(2)マスターバッチ(カラーコンセントレート)
(3)液状カラー(ペーストカラー/リキッドカラー)
(4)その他の着色方法と着色剤
4.5 プラスチック用着色剤の「色ブレ」原因と顔料の分散
(1)顔料の粒子と分散
(2)プラスチックの表面と透過色
(3)色ブレとその原因
4.6 プラスチックに分散した顔料粒子の状態と色の変化
(1)分散処理を施さない着色剤の分散
(2)分散処理を施した着色剤の性能
4.7 おわりに
5.繊維 高橋裕介
5.1 はじめに
5.2 繊維の分類と製法
(1)化学繊維の種類と製法
5.3 繊維の着色
5.4 顔料捺染
(1)捺染糊の構成
(2)捺染用顔料の種類と要求性能
(3)顔料捺染の動向
5.5 原液着色(原着)
(1)着色剤形態
(2)着色剤性能
(3)原着方法
(4)原着用顔料
(5)各種繊維の原着
(6)原着繊維の用途
5.6 顔料による繊維への機能性付与
(1)光学特性
(2)電気特性
(3)衛生特性
5.7 おわりに
6.化粧品 田中宗男
6.1 はじめに
6.2 化粧品用顔料の種類
6.3 機能性顔料と用途展開
(1)使用感触の改良効果
(2)紫外線防止効果
(3)吸着効果
(4)メーキャップ効果
(5)表面処理技術
(6)顔料複合化技術
6.4 おわりに
7.カラーフィルター 岩崎政幸
7.1 カラーフィルター形成法
7.2 顔料分散型カラーフィルター
7.3 カラーレジストに使用される顔料
(1)赤色画素(R)用顔料
(2)緑色画素用顔料
(3)青色画素用顔料
7.4 顔料微粒子化の試み
(1)顔料の表面処理
(2)分散剤
(3)分散溶媒
(4)分散方法
(5)一次粒子の製造方法の改良
7.5 今後の課題
8.インクジェット(IJ)用インク 吉田明男
8.1 はじめに
8.2 IJインクの素材および分散の技術
(1)顔料の易分散化
(2)IJインク用顔料種の選択
(3)水性インク用高分子分散剤
(4)油性インク用分散剤
(5)界面活性剤
(6)バイ ンダー
(7)ホットメルトインク
8.3 新しい着色剤
(1)超微分散性カーボン
(2)マイク ロカプセル顔料
(3)顔料誘導体(Latent Pigment),固溶体顔料の応用
(4)超微粒子化顔料
8.4 顔料IJインクの今後の展望
9.OPC(電子写真用有機感光体) 佐々木正臣
9.1 はじめに
9.2 OPCの変遷
9.3 電荷発生用顔料
9.4 アゾ顔料
(1)アニリド環上の置換基効果
(2)カップラーによる分光感度の制御
(3)結晶多型など
9.5 フタロシアニン顔料
9.6 今後の展開
10.セラミックス 柴田正三,杉山豊彦
10.1 はじめに
10.2 現状と将来
10.3 燃焼合成法(self propagating high-temperature synthesis,SHS)による顔料の製造とSHS顔料の特性
(1)SHSの作業工程
(2)SHS顔料の諸性質
(3)SHS法と従来法との比較
10.4 易分散性顔料の開発
10.5 希土類元素含有顔料
10.6 ゾルーゲル法による顔料の合成
11.絵の具 相原次郎
11.1 はじめに
11.2 絵の具に使用されている顔料
11.3 近年になって絵の具に用いられるようになった顔料
(1)複合酸化物顔料
(2)リン酸コバルトリチウム(PV47)CoLiPO4
(3)バナジン酸ビスマス(PY184)BiVO4
(4)チタン酸ストロンチウム
(5)パール顔料(雲母チタン)
(6)ベンズイミダゾロン顔料
(7)縮合アゾ顔料
(8)アントラキノン顔料
(9)イソインドリノン顔料およびイソインドリン顔料
(10)キナクリドン顔料
(11)ペリレン顔料およびペリノン顔料
(12)ジオキサジン顔料
(13)ジケトピロロピロール(DPP)顔料
(14)金属錯体顔料
(15)昼光蛍光顔料
11.4 ヒューまたはノーバが表示されている絵の具に用いられている顔料
11.5 おわりに
付表 顔料一覧 相原次郎
内容説明
本書は、“機能性”に焦点をあてて第1章、第2章では顔料を作る立場から機能性の開発研究の動向を述べ、第3章では、機能性顔料を使用して機能性製品を開発する立場からまとめている。
目次
第1章 無機顔料の研究開発動向(超微粒子酸化チタンの特性と応用技術;複合酸化物系顔料;酸化鉄顔料;チタンブラック;硫酸バリウム;パール顔料の研究開発動向;最新の新規無機顔料(ビスマス・バナデート)
蛍光顔料と蓄光顔料
抗菌顔料・防黴顔料・防臭顔料)
第2章 有機顔料の研究開発動向(溶性アゾ顔料(アゾレーキ)
不溶性アゾ顔料
フタロシアニン系顔料
縮合多環系顔料
樹脂ビーズ顔料)
第3章 用途展開の現状と将来展望(機能性顔料の用途展開の現状と将来展望;印刷インキ;塗料;プラスチック;繊維;化粧品;カラーフィルター;インクジェット(IJ)用インク
OPC(電子写真用有機感光体)
セラミックス
絵の具)