出版社内容情報
【執筆者一覧(執筆順)】
越島哲夫 京都大学 木材研究所
(現)京都大学 名誉教授
甲斐 昭 東京都立大学 工学部
上出健二 旭化成工業(株) 繊維加工研究所
(現)奈良産業大学 経済学部
岡島邦彦 旭化成工業(株) 繊維加工研究所
(現)旭化成(株) 研究開発本部
石津 敦 東京大学 農学部
(現)東京大学 名誉教授
磯貝 明 東京大学 農学部
(現)東京大学 大学院農学生命科学研究所
石井 清 ダイセル化学工業(株) 総合研究所
本田善次郎 ダイセル化学工業(株) 総合研究所
(現)マーベックス
浪越 肇 ダイセル化学工業(株) 総合研究所
柴田 徹 ダイセル化学工業(株) 総合研究所
平戸 勝 チッソ(株) ファインケミカル事業部
前田和生 日本たばこ産業(株) 中央研究所
志水一允 林業試験場 林産化学部
(現)日本大学 生物資源科学部
(執筆者の所属は,注記以外は1985年当時のものです。)
【構成および内容】
第1章 セルロースバイオマスの現状と将来 越島哲夫
1.はじめに
2.セルロースの生産量と消費量
3.起源によるセルロースの違い
4.セルロースバイオマス利用の将来へ向けて-マイクロ波の利用-
4.1 リグノセルロースの酵素糖化に対するマイクロ波照射効果
4.1.1 マイクロ波加熱のリグニンに及ぼす効果
4.1.2 マイクロ波加熱のヘミセルロースに及ぼす効果
4.1.3 マイクロ波加熱のセルロースに及ぼす効果
4.1.4 セルロースの酵素糖化に及ぼすリグニンおよび酢酸の効果
4.1.5 他のリグノセルロースバイオマスに及ぼす効果
4.2 リグノセルロースのマイクロ波を用いる酸糖化
第2章 セルロースの生合成と繊維構造 甲斐 昭
1.はじめに
2.セルロースの生合成
2.1 無細胞系におけるセルロースの合成
2.2 細胞系におけるセルロースの生合成
3.ミクロフィブリルの構造
3.1 エレメンタリーフィブリルとミクロフィブリルの関係
3.2 形成過程から見たミクロフィブリルの構造
3.3 ミクロフィブリルにおける分子鎖形態とその充填状態
4.セルロースの集合構造
5.おわりに
第3章 セルロースの誘導体 上出健二,岡島邦彦
1.はじめに
2.セルロース誘導体の種類と製造法
2.1 セルロースの一般的反応性
2.1.1 無機エステル
2.1.2 有機エステル,カーバメイト
2.1.3 エーテル,アセタール
2.1.4 グラフト化
2.1.5 デオキシセルロース化
2.1.6 セルロースの酸化
2.2 商業的に重要なセルロース誘導体
2.2.1 セルロースエステル類
2.2.2 セルロースエーテル類
3.セルロース誘導体の置換度分布と特性
3.1 置換度分布の定義
3.2 置換度分布の評価方法
3.2.1 TLCによるg<F3>の評価例
3.2.2 NMRによる<<fk>>の評価例
3.3 置換度分布とセルロース誘導体の性質と相関
3.3.1 硫酸セルロース(NaCS)の抗凝血性急性毒性
3.3.2 CMCの吸液特性
3.4 セルロース誘導体の全置換度<<F>>と性能の関係
3.4.1 溶解性
3.4.2 ゲル化性
3.4.3 分子特性
4.セルロース誘導体の応用
4.1 分野別応用
4.1.1 繊維分野
4.1.2 製紙分野
4.1.3 食品分野
4.1.4 化粧品,家庭用品
4.1.5 塗料分野,接着剤分野
4.1.6 土木,建材分野
4.1.7 医薬品工業
4.1.8 その他
4.2 新しい機能
4.2.1 光学異性体の分割
4.2.2 イオン交換体,吸着剤
4.2.3 金属捕捉剤
4.2.4 医薬品
4.2.5 生物学的に活性な誘導体
第4章 セルロースの新しい溶剤 石津 敦,磯貝 明
1.はじめに
2.溶剤系の種類
2.1 アルデヒド系
2.2.1 ホルムアルデヒド系
2.2.2 クロラール系
2.2 SO2-アミン系
2.3 ニトロシル化合物系(NO-X系)
2.4 塩化リチウム系
2.5 アミンオキシド系
2.6 含硫黄系
2.7 含窒素系
2.8 その他
3.溶解機構
3.1 アルデヒド系
3.1.1 ホルムアルデヒド系
3.1.2 クロラール系
3.2 SO2-アミン系
3.3 NO-X系
3.4 塩化リチウム系
3.5 アミンオキシド系
3.6 含硫黄系,含窒素系,その他
4.新しい溶剤系の応用
4.1 均一反応によるセルロース誘導体の調整
4.1.1 エステル化
4.1.2 エーテル化
4.1.3 ハロゲン化
4.2 再生繊維の新しい製造法
4.2.1 ホルムアルデヒド系
4.2.2 SO2-アミン系
4.2.3 NO-X系
4.2.4 塩化リチウム系
4.2.5 その他の落剤系
4.3 ブレンド,グラフトポリマーの製造
4.3.1 ホルムアルデヒド系
4.3.2 SO2-アミン系
4.3.3 NO-X系
4.3.4 塩化リチウム系
5.おわりに
第5章 セルロースの機能化
1.機能性セルロース膜 石井 清,本田善次郎
1.1 はじめに
1.2 機能膜素材としてのセルロース系ポリマー
1.2.1 分離膜の備えるべき条件
1.2.2 膜素材の適性判定
1.2.3 セルロース系ポリマーの特徴
1.3 逆浸透(reverse osmosis,Ro)膜
1.3.1 セルロースアセテート膜
1.3.2 その他のセルロース系膜
1.3.3 合成高分子膜
1.4 限外濾過(ultratiltration,UF)膜
1.4.1 セルロースアセテート膜
1.4.2 セルロース膜
1.5 精密濾過(Microfiltration,MF)膜
1.5.1 再生セルロース膜
1.5.2 セルロースアセテート膜
1.5.3 ニトロセルロース膜
1.6 透析(Dialysis,D)膜
1.6.1 再生セルロース膜
1.7 気体分離膜
1.7.1 セルロースアセテート膜
1.7.2 その他のセルロース系膜
1.8 パーベーパレーション膜
1.8.1 再生セルロース膜
1.8.2 セルロースアセテート膜
1.8.3 ブレンド膜
1.9 おわりに
2.光学異性体分離 浪越 肇,柴田 徹
2.1 はじめに
2.2 セルロースによる光学分割
2.3 微結晶三酢酸セルロース(MCCTA)
2.4 結晶性と光学分割力
2.5 担時型セルロース誘導体
2.5.1 分割力を有する多糖誘導体
2.5.2 分割特性に影響する物理的要因
2.5.3 分割例
2.5.4 相互作用の実質について
3.セルロースイオン交換体 平戸 勝
3.1 はじめに
3.2 発展の歴史
3.3 その種類
3.4 その用途と使用法
3.4.1 イオン交換体の選択
3.4.2 緩衝液の選択
3.4.3 カラムへの充填
3.4.4 イオン交換体の平衝化
3.4.5 試料の平衝化と添加
3.4.6 溶出
3.4.7 イオン交換体の再生
3.5 球状セルロースイオン交換体について
4.たばこ煙用フィルター 前田和生
4.1 はじめに
4.2 フィルターの素材とその形態
4.3 たばこ煙の改質
4.4 アセテートフィルター
4.5 紙パルプフィルター
4.6 活性炭の利用
4.7 開孔フィルター
4.8 おわりに
第6章 セルロース系物質の酵素加水分解 志水一允
1.はじめに
2.木材加水分解工業
3.酸加水分解
3.1 希酸加水分解法(ショーラー法,改良マジソン法)
3.2 濃酸加水分解法(北海道法)
3.3 フッ化水素(HF)加水分解法
4.酵素加水分解
4.1 木材化学成分と酵素
4.1.1 セルロースとセルラーゼ
4.1.2 ヘミセルロースとヘミセルラーゼ
4.1.3 リグニンとその分解酵素
4.2 セルラーゼ生産菌
4.3 酵素加水分解のための前処理
4.3.1 木材細胞壁の微細構造
4.3.2 前処理法
5.酵素加水分解工程における問題点
6.成分の利用
6.1 ヘミセルロースの利用
6.2 リグニンの利用
6.3 発酵(微生物タンパクとアルコール)
6.4 反芻動物用粗飼料
7.おわりに
内容説明
セルロースは天然高分子として人類が古くから利用してきた素材であるが、近年、この素材を生かした新しい機能性高分子を合成する試みが活発である。イオン交換クロマトグラフィー、固定化酵素の担体、分離膜、高分子医療用素材、光、電気関連素材など、その応用分野は拡大している。本書はこの機能性セルロースをテーマに新しい誘導体、溶剤の開発、セルロースの酵素分解と新しい応用をとり挙げ、今後の展望をまとめたものである。
目次
第1章 セルロースバイオマスの現状と将来
第2章 セルロースの生合成と繊維構造
第3章 セルロース誘導体
第4章 セルロースの新しい溶剤
第5章 セルロースの機能化
第6章 セルロース系物質の酵素加水分解