出版社内容情報
★2004年は「電子ペーパー元年」!電子書籍の販売がいよいよ開始!
★表示媒体の最新開発動向,市場として期待される電子書籍,電子新聞,オフィス文書への適用見通しを詳述!
★開発最前線の執筆陣による,電子ペーパーの全貌を解説した成書!
【刊行のねらい】
電子ペーパーに対する期待は昨今急速な高まりを見せ,大きな関心を集めています。今やその関心は表示媒体製作メーカーに限らず,媒体への素材提供メーカー,新しいビジネスとしての展開をめざす企画サイド,表示コンテンツ供給サイド,早く使ってみたいとするユーザーサイド等,多方面から寄せられています。これらの期待に対して,2004年は「電子ペーパー元年」とも呼ばれ,そのコンセプトに基づく商品の発売が一部でいよいよ開始されます。
本書は,ますます関心と期待の盛り上がりを見せつつある電子ペーパーの最新動向と今後の見通しについて次のような複数の観点から整理しようとするものです。
1)電子ペーパーに対して何が期待されているのか
2)紙のような読みやすさをどう確保すれば良いのか
3)表示媒体の最新開発動向はどうなっているか
4)販売が開始される電子書籍リーダーの技術とビジネス思想はどのようなものか
5)市場として期待される電子書籍,電子新聞,オフィス文書への適用見通しはどうか
6)ユビキタス社会との関連はどのように考えられるか
本書は以上のような観点から電子ペーパーの全貌を解説し,現状のみならず将来への見通しについても一定の見解を示すことを本書は意図しています。
この分野への取り組みを検討中の方々,すでに取り組みを開始された方々,あるいは今まさにその展開に頭を悩まされている方々,等々各段階の読者の方々にとって本書が恰好の道標や地図の役割を果たすものとなることを期待するものです。
2004年7月 面谷 信(東海大学)
【執筆者一覧(執筆順)】
面谷 信 東海大学 工学部 応用理学科 光工学専攻 教授
小清水 実 富士ゼロックス(株) 研究本部 先端デバイス研究所 副主任研究員
眞島 修 (有)マジマ研究所 代表
高橋 泰樹 工学院大学 工学部 電子工学科 講師
都甲 康夫 スタンレー電気(株) 研究開発センター
水野 博 コニカミノルタテクノロジーセンター(株) システム技術研究所
プリント技術開発室 課長
前田 秀一 王子製紙(株) 研究開発本部 新技術研究所 上級研究員
有澤 宏 富士ゼロックス(株) 研究本部 先端デバイス研究所 マネジャー
重廣 清 富士ゼロックス(株) 研究本部 先端デバイス研究所 マネジャー
町田 義則 富士ゼロックス(株) 研究本部 先端デバイス研究所
檀上 英利 凸版印刷(株) 次世代事業推進本部 電子ペーパー事業推進部 課長
藤沢 宣 大日本インキ化学工業(株) 総合研究所 R&D本部 情報材料開発センター 主任研究員
林 正直 大日本インキ化学工業(株) 総合研究所 R&D本部 情報材料開発センター 主任
丸山 和則 大日本インキ化学工業(株) 総合研究所 R&D本部 情報材料開発センター 主任研究員
高見 学 ナノックス(株) 技術開発部 取締役部長
土田 正美 パイオニア(株) 研究開発本部 総合研究所 表示デバイス研究部 第三研究室長
加賀 友美 松下電器産業(株) パナソニックシステムショリューションズ社 電子書籍事業グループ
開発チーム チームリーダー
越知 達之 松下電器産業(株) パナソニックシステムショリューションズ社 電子書籍事業グループ
開発チーム 主任技師
宇喜多義敬 ソニー(株) パーソナルソリューションビジネスグループ ネットワークサービス部門
e-Bookビジネス推進室 統括部長
桒田 良輔 米国 E Ink社 販売・市場開発 担当副社長
嵩 比呂志 (株)東芝 マーケットクリエーション部 セキュアデジタル・ビジネス推進プロジェクト
マネジャー
小林 静雄 産経新聞社 役員待遇デジタルメディア局長
川居 秀幸 セイコーエプソン(株) テクノロジープラットフォーム研究所 主任研究員
橋場 義之 上智大学 文学部 新聞学科 教授
宮代 文夫 (社)エレクトロニクス実装学会 顧問;IMAPS フェロー
歌田 明弘 評論家
【構成および内容】
第Ⅰ編 総論
第1章 電子ペーパーへの期待 面谷 信
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.電子ペーパーに対する期待とその多様性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・3
3.電子ペーパーの狙い ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6
3.1 電子ペーパーに対する様々な立場
3.2 電子ペーパーの狙い
3.3 電子ペーパーの達成目標
3.4 電子ペーパーの実現形態
4.電子ペーパーの候補技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
4.1 候補技術の整理
4.2 液晶技術の動向
5.電子ペーパーの用途 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11
6.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12
第Ⅱ編 電子ペーパーのヒューマンインターフェース
第2章 読みやすさと表示媒体の形態的特性に関する検証実験 小清水 実
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
2.読みやすさと表示媒体の諸特性に関する研究例 ・・・・・・・・・・・18
3.各種表示媒体を用いた文書読解性の評価実験 ・・・・・・・・・・・・19
3.1 評価タスク
3.2 実験に用いた表示媒体
3.3 評価の進め方・被験者
3.4 評価結果
3.4.1 行動観察
3.4.2 主観評価の因子分析
3.4.3 パフォーマンス評価
4.電子ペーパー媒体の形態受容度の評価実験 ・・・・・・・・・・・・・・22
4.1 評価タスク
4.2 モックアップ表示媒体
4.3 評価の進め方・被験者
4.4 評価結果
4.4.1 行動観察
4.4.2 主観評価の因子分析
5.実験結果のまとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
6.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
第3章 ディスプレイ作業と紙上作業の比較と分析 面谷 信
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
2.実験方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
3.実験結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32
3.1 主観評価
3.2 客観評価(読取速度)
4.考察 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34
5.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35
第Ⅲ編 表示方式の開発動向
第4章 新規表示方式の最新開発動向
1.カラー化・リサイクル可能な超薄型磁気感熱式電子ペーパー「サーモマグ」・・・39 眞島 修
1.1 はじめに
1.2 電子ペーパーの定義と分類
1.3 電子ペーパーの開発
1.4 微粒子泳動型ディスプレイ
1.4.1 電気泳動型
1.4.2 磁気泳動型
1.5 磁気感熱式電子ペーパー「サーモマグ」
1.6 おわりに
2.異方性流体を用いた微粒子ディスプレイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・52 高橋泰樹 都甲康夫
2.1 はじめに
2.2 Mobile Fine Particle Display(MFPD)開発にあたり
2.3 異方性流体を用いた微粒子ディスプレイ(Mobile Fine Particle Display:MFPD)
2.3.1 MFPDの構造及び表示原理
2.3.2 MFPDにおける微粒子移動現象
2.4 おわりに
3.交番磁場を用いたトナーディスプレイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・65 水野 博
3.1 はじめに
3.2 開発した表示方式の概要説明
3.2.1 開発目標
3.2.2 乾式方式の選定
3.2.3 メディアの構成
3.2.4 使用現像剤
3.2.5 メディアの想定
3.3 予備実験
3.4 振動磁場の効果
3.5 現像剤粒子の改良
3.6 実機使用による実験
3.7 メディアの仕様
3.8 画出し実験結果
3.9 おわりに
4.鞘エンドウ型表示方式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78 前田秀一
4.1 はじめに
4.2 発想の原点
4.3 構成
4.4 原理
4.5 製造方法
4.6 材料
4.6.1 表示素子(エンドウ)
4.6.2 透明中空繊維(鞘)
4.7 応用分野
4.8 おわりに
5.光アドレス電子ペーパー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87 有澤 宏
5.1 はじめに
5.2 基本原理
5.3 コレステリック液晶の電気光学応答
5.4 両側電荷発生層型有機光導電層
5.5 白黒表示媒体
5.6 カラー化に向けて
5.7 おわりに
6.摩擦帯電型トナーディスプレイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・95 重廣 清,町田義則
6.1 はじめに
6.2 基本原理
6.2.1 基本構成
6.2.2 表示駆動原理
6.3 表示特性
6.3.1 表示コントラスト
6.3.2 電圧印加方法と表示特性
6.4 カラー表示
6.4.1 カラー表示の基本構成と表示駆動原理
6.4.2 カラー表示特性
6.4.3 プラスワンカラー表示
6.4.4 マルチカラー表示
6.5 特長
6.6 応用
6.6.1 電子掲示板
6.6.2 情報表示板
6.7 今後
7.マイクロカプセル型電気泳動方式 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・105 檀上英利
7.1 はじめに
7.2 電子ペーパーとは
7.3 E Inkについて
7.4 表示原理と特長
7.5 電子ペーパーの商用化
7.6 研究開発課題
7.7 おわりに
8.海外の技術動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・118 前田秀一
8.1 はじめに
8.2 電子ペーパー研究開発の原点
8.2.1 マイクロカプセル電気泳動方式(E Ink)
8.2.2 ツイストボール方式(ジリコン)
8.3 E Inkの課題とその対応
8.3.1 応答速度
8.3.2 フレキシビリティ
8.3.3 カラー化
8.3.4 視認性
8.4 特長ある新規な候補技術
8.4.1 エレクトロウェッティング方式-応答速度
8.4.2 マイクロカップ方式-フレキシビリティ
8.4.3 コレステリック液晶など-カラー化
8.4.4 繊維ベースのエレクトロクロミック方式など-視認性
8.5 おわりに
第5章 液晶とELの最新開発動向
1.ポリマーネットワーク液晶による電子ペーパー ・・・・・・・・・・・・・127 藤沢 宣,林 正直,丸山和則
1.1 はじめに
1.2 PNLCDの特徴
1.2.1 PNLCDの作製方法
1.2.2 PNLCDの動作原理
1.2.3 PNLCDの反射率(白さ)
1.2.4 駆動電圧
1.3 PNLCDを用いたペーパーライクディスプレイ
2.コレステリック液晶ディスプレイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・134 高見 学
2.1 はじめに
2.2 コレステリック液晶ディスプレイの歴史と概要
2.3 コレステリック液晶の光学的性質(波長選択反射)
2.4 コレステリック液晶の動作原理(双安定性)
2.5 パネルの構造
2.6 液晶材料の調整
2.6.1 ネマティック液晶の調整
2.6.2 カイラル剤の調整
2.7 駆動方法
2.7.1 スタティック駆動
2.7.2 階調方法
2.7.3 ダイナミック駆動
2.7.4 温度補償
2.8 おわりに
3.有機ELフィルムディスプレイ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・146 土田正美
3.1 はじめに
3.2 有機ELフィルムディスプレイの構造
3.3 素子の外側の保護膜
3.4 樹脂基板
3.4.1 バリア膜
3.4.2 防湿性能の改善
3.5 フルカラーパネルの試作例
3.6 まとめ
第Ⅳ編 応用展開
第6章 応用製品化の動向
1.Σブック-読書専用端末の開発- ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・159 加賀友美,越知達之
1.1 はじめに
1.2 読書端末に必要な条件
1.3 読書端末としての要件を満たす表示装置
1.4 著作権保護機能
1.4.1 読書端末への著作権保護機能の実装
1.4.2 セキュアなコンテンツ配信環境の整備
1.5 次期表示装置に対する期待
1.6 おわりに
2.ソニーの進める電子書籍プロジェクト-LIBROプロジェクト ・・・・168 宇喜多義敬
2.1 プロジェクトの概要
2.2 電子ペーパーの出現
2.3 LiBRIe誕生
2.4 出版データを安全に読者に届け,その対価を公平に分配する仕組み
2.5 コンテンツを紙の出版にあわせて電子化する共通基盤
2.6 まさに始まる電子出版ビジネス
3.E-ink電気泳動ディスプレイの応用展開 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・177 桒田良輔
3.1 はじめに
3.2 電子書籍
3.3 電子辞書
3.4 ビュアー(Viewer)
3.5 ラジオペーパー
3.6 応用例-ICカード
3.7 セグメントタイプの公共表示ディスプレイ
3.8 時計,クロック
3.9 電子値札
3.10 POP用ディスプレイ
3.11 おわりに
第7章 電子書籍普及のために 嵩 比呂志
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・187
2.市場に現存する不安要素の洗い出し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・188
3.魅力あるコンテンツが数多く,安心して市場投入されるには・・・189
4.電子書籍をどこでも読める環境が整うには ・・・・・・・・・・・・・・・194
第8章 電子新聞の動向
1.産経新聞「新聞まるごと電子配達」の挑戦 ・・・・・・・・・・・・・・・・196 小林静雄
1.1 はじめに
1.2 「電子配達版」の経緯と展開
2.表示技術者から見た電子新聞への期待 ・・・・・・・・・・・・・・・・・197 川居秀幸
2.1 はじめに
2.2 電子新聞の意義
2.2.1 ユーザーとして
2.2.2 開発者として
2.3 電子新聞の将来像
2.4 おわりに
3.未来の新聞はどうなるか ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・208 橋場義之
3.1 はじめに
3.2 新聞とはなにか
3.2.1 ニュース媒体の主役だった新聞
3.2.2 主役の座の交代
3.2.3 新聞の特性
3.3 デジタル化が新聞にもたらすもの
3.3.1 新聞と新聞社にもたらしたもの
3.3.2 ニュース接触の変化
3.4 未来の新聞
第9章 ユビキタス社会の到来と電子ペーパー 宮代文夫
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・218
2.ユビキタス社会の到来 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・218
2.1 「ユビキタス」とは何か?
2.2 現在考えられているユビキタスネットワークの概念
2.3 あるべき姿のユビキタスネットワークと電子ペーパー
2.4 ユビキタス社会は本当に到来するのか?
3.ユビキタスネットワークの主役としての電子ペーパー ・・・・・・・222
3.1 電子ペーパーの備えるべき条件と仕様
3.2 仕様を満足させるための要素技術開発の必要性
4.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・225
第10章 「本の未来」はほんとうにくるのか
-電子ペーパーが超えなければならないもの- 歌田明弘
1.電子ペーパー発展の必然性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・226
2.ナノテク技術と「本の未来」 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・227
3.電子ペーパー端末の問題点 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・228
4.アーカイヴ型電子書籍の可能性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・231
5.専用端末はただで配るしかない? ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・231
6.本を超えて ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・233
内容説明
電子ペーパーの最新動向と今後の見通しについて、複数の観点から整理し、電子ペーパーの全貌を解説。現状のみならず将来への見通しについても一定の見解を示している。
目次
第1編 総論(電子ペーパーへの期待)
第2編 電子ペーパーのヒューマンインターフェース(読みやすさと表示媒体の形態的特性に関する検証実験;ディスプレイ作業と紙上作業の比較と分析)
第3編 表示方式の開発動向(新規表示方式の最新開発動向;液晶とELの最新開発動向)
第4編 応用展開(応用製品化の動向;電子書籍普及のためには;電子新聞の動向;ユビキタス社会の到来と電子ペーパー;「本の未来」はほんとうに来るのか―電子ペーパーが超えなければならないもの)
著者等紹介
面谷信[オモダニマコト]
東海大学工学部応用理学科光工学専攻教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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