出版社内容情報
★天然高分子,半合成高分子,合成高分子など数多くの種類が存在し,その用途も幅広い水溶性高分子。その最新技術をまとめた一冊。
★食品,医薬,化粧品,用廃水処理,土木・建築,繊維・染色加工,塗料・インキ製紙・紙加工,エレクトロニクスなどの各分野で活発な応用開発を詳述!
★水溶性フラーレン,クラスターデキストリンなど新規機能性高分子や環境対策への利用など多彩な内容を紹介!
【まえがき】
水溶性高分子は,水の惑星と言われる地球に住むわれわれのまわりで,重要な役割を演じている。
それは,水溶性高分子が,水の関与する系で,分散,凝集,増粘,接着,造膜,湿潤,アルカリ溶解等,幅広い機能を発揮するからであり,その機能は,例えば,食品,化粧品,トイレタリー,繊維製造,用廃水処理,土木建築,エレクトロニクス等の分野で,広く利用されている。用いられる水溶性高分子の種類にも,多くのものがあり,天然由来のデンプン,ゼラチン,半合成のカルボキシメチルセルロース(CMC),メチルセルロース(MC)等のセルロース誘導体から,ポリビニルアルコール(PVA),ポリアクリル酸系ポリマー,ポリアクリルアミド(PAM),ポリエチレンオキシド(PEO)等の合成系の水溶性高分子に至るまで多くのものが知られている。
ファインケミカルシリーズの本書は,1980年に初版が発刊されて以降,数次にわたって改訂を重ねてきた。この間,環境調和,IT,アメニティー等の経済価値が顕著に増大し,また,経済のグローバル化は,水溶性高分子を巡るビジネス・技術環境をも激変させた。
今回は,こうした状況下での水溶性高分子の最近の技術動向を「水溶性高分子の新展開」として取りまとめることとし,従来用途での最新レビューとともに,応用技術編として,いくつかのトピックスを取り上げた。水溶性高分子の用途の裾野が広いだけに,本書が種々の産業分野の第一線で活躍されている技術者の方々の技術課題解決の一助,あるいは新たな技術開発のヒントとなれば幸いである。
2004年5月 監修 野田公彦
【執筆者一覧(執筆順)】
野田 公彦 三洋化成工業(株) 研究本部 研究技術部長
金田 勇 (株)資生堂 マテリアルサイエンス研究センター 主任研究員
川副 智行 (株)資生堂 製品開発センター ヘアスタイリング製品研究所
堀江 誠司 三洋化成工業(株) 繊維薬剤研究部 ユニットチーフ
桑島 輝昭 日本ペイント(株) 樹脂センター 部長
玉岡 貴司 大日本インキ化学工業(株) グラビアインキ技術本部 主任研究員
豊島 利之 三菱電機(株) 先端技術総合研究所 マテリアル技術部 有機材料グループ グループマネージャー
竹下 和宏 サンノプコ(株) 研究部 主任部員
坂井 悦郎 東京工業大学 大学院理工学研究科 材料工学専攻 助教授
堀家 尚文 三洋化成工業(株) 研究本部 環境薬剤研究部 部長
岡本 俊 栗田工業(株) 研究開発本部 企画開発部 研究主幹
横山 昌幸 神奈川科学技術アカデミー 研究室長
磯部 寛之 東京大学 大学院理学系研究科 助教授
中村 栄一 東京大学 大学院理学系研究科 教授
高田 洋樹 江崎グリコ(株) 生物化学研究所 主任研究員
山口 繁 (株)日本触媒 高分子研究所 グループリーダー
勝間 啓太 カネボウ合繊(株) 北陸合繊工場 製造部 技術課 係長
松永 俊明 (株)日本触媒 事業企画室 機能性化学品開発グループ 主任部員
澤山 茂 ハイモ(株) 湘南研究センター 技術研究所 所長
金村 聖志 東京都立大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 教授
佐藤 昌利 京都市産業技術研究所 工業技術センター (旧:京都市工業試験場)
材料技術グループ 無機材料チーム 研究担当課長
守屋 雅文 ミヨシ油脂(株) 環境材料研究所 所長
加藤 忠哉 (財)三重県産業支援センター 三重県地域結集型共同研究事業 研究統括
;三重大学名誉教授
稲垣 靖史 ソニー(株) グローバル・プロフェッショナル・ソリューションズ 環境技術室
シニアエコリサーチャー
【構成および内容】
[I 総論編]
第1章 水溶性高分子概説 野田公彦
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.水溶性高分子の種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.1 天然系の水溶性高分子
2.2 合成系の水溶性高分子
2.2.1 非イオン性水溶性高分子
2.2.2 アニオン性水溶性高分子
2.2.3 カチオン性水溶性高分子
2.2.4 両性水溶性高分子
3.水溶性高分子の機能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8
3.1 水溶性高分子の構造と主な機能
3.1.1 凝集,分散
3.1.2 キレート・吸着除去
3.1.3 接着,固着
3.1.4 湿潤,保水吸水,帯電防止
3.1.5 増粘,レオロジーコントロール
3.1.6 選択的特性変化
3.1.7 分子サイズ効果
4.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
【II 用途編】
第2章 化粧品・トイレタリー
1.化粧品 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 金田 勇
1.1 はじめに
1.2 アセチル化ヒアルロン酸の保湿剤としての応用
1.3 サクシノグリカンの化粧品増粘剤としての応用
1.4 寒天の化粧品への応用
1.5 おわりに
2.トイレタリー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・32 川副智行
2.1 はじめに
2.2 ヘアスタイリング剤
2.3 ヘアスタイリング剤用途の水溶性高分子
2.4 ヘアスタイリング剤の増粘剤に求められる機能
2.5 スタイリング剤に配合されるセット樹脂に求められる機能
2.6 最近の水溶性高分子の開発事例
2.6.1 ヘアジェル用カチオン性増粘剤(ビニルピロリドン/N,N-ジメチルアミノエチルメタクリル酸/
メタクリル酸アルキルエステル共重合体の部分架橋物)
2.6.2 熱反応性セット成分天然多糖カードラン(β-1,3-グルカン)
2.6.3 その他の第三世代樹脂
2.7 おわりに
第3章 繊維・染色加工 堀江誠司
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
2.染色加工業と水溶性高分子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・42
2.1 セルロース用の染料について
2.2 直接染料と反応染料の化学構造と反応機構
2.2.1 直接染料の化学構造
2.2.2 反応染料の化学構造
2.2.3 反応染料とセルロース繊維との反応
2.3 染料固着剤
2.3.1 低分子型染料固着剤
2.3.2 染料固着剤の作用機構
2.3.3 水溶性高分子型染料固着剤の化学構造
2.3.4 水溶性高分子型染料固着剤の応用例
3.繊維工業と水溶性高分子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・50
3.1 PVAの化学構造と特性
3.1.1 PVAの化学構造
3.1.2 PVAの特性
3.2 環境にやさしい繊維
3.3 水溶性PVA繊維による新展開
4.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52
第4章 塗料・インキ
1.塗料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・53 桑島輝昭
1.1 はじめに
1.2 水性塗料用高分子概説
1.3 自動車塗料用水性高分子
1.3.1 ベースコート用水性高分子
1.3.2 中塗り塗料用水性高分子
1.3.3 電着塗料用水性高分子
1.3.4 自動車用水性塗装の新たな展開
1.4 建設建材塗料用水性高分子
1.4.1 低VOC内装塗料用水性高分子
1.4.2 外装塗料用常温硬化型水性高分子
1.4.3 錆び止め塗料用水性高分子
1.5 その他新しい水性塗料用高分子の動向
1.5.1 異種高分子複合水性アクリル樹脂
1.5.2 異種高分子複合乳化重合型エマルション
1.6 おわりに
2.印刷インキ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・68 玉岡貴司
2.1 はじめに
2.2 印刷インキの水性化
2.2.1 水性化の定義
2.2.2 グラビアインキ及びフレキソインキの水生化率
2.2.3 水性化へのアプローチ
2.2.4 分野別水性化の状況
2.3 印刷インキ用水性樹脂
2.3.1 ポリマーの水性化方法
2.3.2 水溶性ポリマーの形態と機能
2.3.3 アクリル系エマルジョン樹脂
2.3.4 ウレタン樹脂
2.3.5 ポリエステル樹脂
2.3.6 ポリミアド樹脂
2.3.7 塩素化ポリプロピレン樹脂
2.4 中和剤
2.5 今後の樹脂検討ポイント
2.6 印刷システムによる水性化促進
2.7 おわりに
第5章 エレクトロニクス工業 豊島利之
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・78
2.半導体開発の背景 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・79
3.回路パターンの微細化とリソグラフィ技術 ・・・・・・・79
4.水溶性高分子材料を用いたレジストプロセス技術 ・・・82
4.1 反射防止技術
4.2 レジスト膜保護技術
5.パターンサイズ縮小技術 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・85
5.1 SAFIERプロセスの概要
5.2 RELACSプロセスの概要
5.3 KrFホールパターンへの適用結果
5.3.1 下地膜の加工性/ドライエッチング耐性
5.3.2 ホールサイズ均一性(リサイズ効果)
5.4 ArFエキシマレジストホールへの適用
5.5 RELACSプロセスの展開
6.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・94
第6章 製紙・紙加工 竹下和宏
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・97
2.サイズ剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・98
2.1 内添サイズ剤
2.1.1 酸性抄紙用内添サイズ剤
2.1.2 中世抄紙用内添サイズ剤
2.2 表面サイズ剤
2.2.1 表面サイズ剤の効果発現機構
2.2.2 表面サイズ剤の代表例
3.紙力増強剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・101
3.1 紙力増強剤の効果発現機構
3.1.1 乾燥紙力増強剤の効果発現機構
3.1.2 湿潤紙力増強剤の効果発現機構
3.2 紙力増強剤の代表例
3.2.1 内添型乾燥紙力増強剤
3.2.2 表面紙力剤
3.2.3 湿潤紙力増強剤
4.歩留・濾水性向上剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・107
4.1 歩留・濾水性発現の機構
4.2 歩留・濾水性向上剤の代表例
5.粘剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111
6.ピッチコントロール剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・111
6.1 ピッチコントロール剤の効果発現機構
6.2 ピッチコントロール剤の代表例
7.塗工紙の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・112
8.顔料分散剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・113
8.1 分散剤の効果発現機構
8.2 代表的分散剤
9.塗工紙バインダー用デンプン ・・・・・・・・・・・・・・・・115
9.1 塗工紙バインダー用デンプンの代表例
10.耐水化剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・116
10.1 耐水化剤のメカニズム
10.2 耐水化剤の代表例
11.保水・流動性改良剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・117
11.1 保水・流動性改良剤の効果発現機構
11.2 保水・流動性改良剤の代表例
第7章 土木・建築 坂井悦郎
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121
2.水溶性高分子の利用 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・121
3.高性能AE減水剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・123
4.分離低減剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・128
5.水中不分離性混和剤 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・130
6.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・131
第8章 用廃水処理
1.廃水処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・134 堀家尚文
1.1 はじめに
1.2 廃水処理に使用される水溶性高分子
1.2.1 高分子凝集剤
1.2.2 有機凝結剤
1.3 おわりに
2.用水処理 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・145 岡本 俊
2.1 はじめに
2.2 スケール障害とその防止
2.3 高分子のスケール防止機能
2.3.1 析出抑制効果
2.3.2 付着防止効果
2.3.3 分散効果
2.4 高分子の分子構造
2.5 高分子の分子構造,化学的性質とスケール防止効果の関係
2.5.1 従来の研究
2.5.2 高分子のスケール析出抑制能,錯形成能およびゲル化能
2.5.3 水質の影響
2.6 種々の水系への高分子の適用
2.6.1 冷却水
2.6.2 ボイラー
[III 応用技術編]
第9章 水溶性高分子とドラッグデリバリーシステム 横山昌幸
1.薬物ターゲティングとその方法論 ・・・・・・・・・・・・163
2.水溶性高分子を用いた薬物キャリヤーシステムのタイプと例・・・・165
2.1 高分子一薬物結合体
2.2 水溶性高分子による修飾
2.3 高分子ミセル
第10章 水溶性フラーレンの可能性 磯部寛之,中村栄一
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・170
2.フラーレン抗ガン剤の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・171
3.フラーレン抗エイズ薬の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・172
4.筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬の開発 ・・・・173
5.遺伝子治療薬の開発 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・173
6.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・176
第11章 クラスターデキストリンとその応用 高田洋樹
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・177
2.クラスターデキストリンの特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・177
3.クラスターデキストリンの応用 ・・・・・・・・・・・・・・・179
3.1 スポーツドリンクへの利用
3.2 味質改良効果の利用
3.3 粉末化基剤としての利用
3.4 物性改良効果と利用
4.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・182
第12章 洗剤ビルダーへの応用 山口 繁
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・183
2.水溶性高分子の洗剤ビルダーとしての機能 ・・・・183
2.1 Ca,Mgイオン捕捉能
2.2 泥汚れ成分(クレイ)分散能
2.3 汚れ成分の再付着防止
2.4 pH緩衝能
2.5 洗剤製造時の高濃度スラリー粘度低下用の分散剤
2.6 水垢沈着防止能
3.各種洗剤ビルダー用水溶性高分子 ・・・・・・・・・・185
4.洗剤ビルダーとしての応用例 ・・・・・・・・・・・・・・・185
5.水溶性高分子の安全性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・186
第13章 極細繊維製造への水溶性高分子の応用 勝間啓太
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・188
2.溶解分割型極細繊維種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・188
3.溶解成分への水溶性高分子(PEG)の応用 ・・・189
3.1 アルカリ水易溶性ポリエステルについて
3.2 アルカリ易溶ポリエステルの組成変遷
3.3 アルカリ水易溶性ポリエステルの性能
3.4 重合反応に関して
3.5 直接連続重合法によるアルカリ水易溶性ポリエステルの製造技術
4.極細繊維の用途と市場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・192
5.今後の展望 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・193
第14消 ポリビニルピロリドンの新規コーティング剤への応用 松永俊明
1.ポリビニルピロリドン(PVP)を用いた親水性/耐水性の両立 ・・・194
2.PVP/メラミン架橋系の改良 ・・・・・・・・・・・・・・・195
3.インクジェット受容層への応用-吸水/耐水両立コーティング剤・・196
第15章 ポリアミジンのインクジェットプリンター用紙等定着剤への応用 澤山 茂
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・199
2.ポリアミジンの合成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・199
3.ポリアミジンの性能 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・200
4.各種低分子カチオンポリマーとの比較 ・・・・・・・・201
5.低分子カチオンポリマーとのインクジェット用紙比較 ・・・202
6.インクジェット用紙用製品の概要 ・・・・・・・・・・・・・203
第16章 ポリマー電池・バッテリーへの高分子電解質の応用動向 金村聖志
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・205
2.活物質としての高分子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・206
3.電解質に用いられる高分子 ・・・・・・・・・・・・・・・・210
4.粘結剤としての高分子 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・213
5.まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・214
第17章 セラミックスの成形における水溶性高分子の応用動向 佐藤昌利
1.セラミックスの成形方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・216
2.水溶性高分子を中心とするセラミックス成形用有機成形助剤 ・・・216
2.1 分散剤
2.2 結合剤(有機バインダー)
2.3 粘結剤
2.4 可塑剤
3.セラミックスの成形において水溶性高分子に求められる性能 ・・・219
4.具体例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・220
第18章 焼却飛灰処理への水溶性高分子の応用動向 守屋雅文
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・223
2.キレート高分子による重金属の固定化 ・・・・・・・223
2.1 キレート高分子
2.2 キレート高分子の基本性能
3.キレート高分子による飛灰処理の実際例 ・・・・・・226
4.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・228
第19章 海洋環境再生のための浚渫による底質土浄化への水溶性高分子の応用 加藤忠哉
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・229
2.海洋土木工事に用いられる水溶性高分子 ・・・・・230
3.浚渫土処理への水溶性高分子の利用 ・・・・・・・・231
4.おわりに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・234
第20章 使用済み樹脂の化学的改質による高付加価値化 稲垣靖史
1.はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・235
2.使用済みポリスチレン(PS)の高分子凝集剤への転換 ・・・236
2.1 使用済みPS樹脂の化学的改質
2.2 PSS凝集剤の特性評価
3.使用済み繊維の高分子脱水剤への転換 ・・・・・・238
【 編集者の声 】
はじめまして,編集部の西出寿士です。今回は私が企画・編集担当致しました『水溶性高分子の新展開』を紹介します。連日のイラク問題に関する報道を見ていると,世の中に兵器が存在すると実感します。日本にいると現実のものとして捉えにくいものですが,こんな話を聞いたことを思い出しました。
何やら,砂糖を使った機雷があったとか。日露戦争後のハーグ条約に接触しないよう,日本は一時間で爆発力を失う機雷を作ったらしいです。砂糖で機雷本体に栓をし,その砂糖が海水に溶けていき,装薬を湿らせてやがては爆発しないようにしたとのこと。
一方,美容・健康食品分野で”最終兵器”と謳って,その効果が宣伝されている,水溶性繊維を使ったダイエット食品などがあるようです。今も昔も「水溶性」
には大きな利用価値があったといえるでしょう。ひどく脇道に逸れましたが本題に移ります。
弊社では,これまで数度,水溶性高分子をテーマとした書籍を発行してまいりました。おかげさまで好評を博し,この度,改訂版を発行することとなりました。
今回,ご監修いただいたのは三洋化成工業(株)研究技術部長の野田公彦先生です。お忙しい中,熱心にご監修していただきました。私の勤務先から三洋化成工業(株)まで電車で1本。数度訪問し,目次打ち合わせを行いました。誤解を恐れず申し上げると,野田先生との目次打ち合わせは楽しいものでした。
私にとって思入れのある本書が,多くの方々にご活用頂ければ幸いです。