出版社内容情報
☆ 携帯電話・パソコン等の軽薄短小化により急伸する,ビルドアップ多層プリント配線板とそのキーテクノロジー,マイクロビア技術の現状と将来を展望!!
☆ マイクロビア技術とビルドアップ多層プリント配線板にの工法,工法と基板材料の関係,ビヤ穴あけ技術と層間接続技術など技術,量産技術の課題を詳述!!
<はじめに>
パソコン、携帯電話、インターネット、TVゲーム機、デジタルカメラなどが広く普及している。これらの電子機器の軽薄短小化は,携帯性の向上のみならず、情報をデジタル化して処理・記録されるためデジタル機器間の情報交換や制御が行われるのが特徴である。とくに携帯電話は多機能化が進んでおり,次世代機ではすべての情報交換が携帯電話を通じて行われるようになると見られている。
携帯電話をはじめとする,電子機器にこれらの機能を付与して軽薄短小化を図るための要素技術としてマイクロビヤ技術(プリント回路板の第一層と他の層の間を電気的に層間接続する直径0.1mm以下の導電路形成技術)とマイクロビヤ基板を低コストで生産するための逐次ビルドアップ多層プリント配線板製造技術がある。
携帯用電子機器のボード面積が小さくなり、BGA、CSPなど高I/O(高入力/出力端子)の部品が実装されるようになってマイクロビヤ技術によるビルドアップ多層プリント配線板の需要は爆発的に伸びつつある。
高密度配線回路板とその基板を低コストで生産するには,マイクロビヤ技術による逐次ビルドアップ多層プリント回路の製造技術が必要とされている。この方法では両面回路板または多層プリント配線板をコア(芯材)として,その両面または片面にマイクロビヤ技術によって層間接続されたビルドアップ層を付加させる。表層に形成されるノンスルーホールのマイクロビヤ接続は基板を小型化するのみならず,高ピンカウント,微小ピッチの半導体パッケージを実装して,チップからプリント配線板へ回路を再分配することができる。
IPCは「プリント配線板上の穴径0.15mm以下のビヤ穴をマイクロビア」と定義している。マイクロビヤ接続には幾つかの特徴がある。
(1)マイクロビヤはスルーホール接続よりパッド径を小さくすることができるのでボードの寸法と重量を減少させることができる。
(2)マイクロビヤは小面積のボードに多数の半導体チップを搭載することができ,回路の低コスト化ができる。
(3)マイクロビヤではビヤ径とビヤ長さを小さくできるので寄生容量など電気特性が向上し,インダクタンスは小さくなる。
*Gonzales C.G. IEEE Trans Adv.Packag 22 385 (1999)
Burger L.W. Printed Circuit Feb.,21(3) 25(1998)
Tech Search International 社の最近の調査によれば,マイクロビヤ基板の市場は2000年には1兆6千億ドルと推定している。
現在,世界全体で約75社がマイクロビヤ基板を生産している。日本はマイクロビヤ基板製造のトップリーダーで,世界のマイクロビヤ基板製造の50%以上を生産している。ヨーロッパはマイクロビヤ生産の2番手で,これに続いてアジア/太平洋地域が3番目となっている。
マイクロビヤ基板を使用する電気・電子機器は移動型電話機,ノートブック型パソコン,ASIC,その他のハンディ製品となっている。アメリカで2000年以後までマイクロビヤ基板を多量に生産する予定がないのは,アメリカの電気・電子機器メーカーはワークステーション・サーバー・ネットワークシステムなどの高付加価値製品を重点的に開発しようとしているからである。
マイクロビヤ技術の開発は,このように携帯電話の軽薄短小化によって推進されてきたが,今後ビルドアップ多層プリント配線板がBGA,CSP,MCMなどのアレイパッケージの基板の需要が伸び,これらのデバイスがメインボードにフリップチップ接続されるようになると現在のBGA基板の接続密度100~150リード/cm2から200~300リード/cm2が要求されるようになる。
こうした次世代の基板の製造には,現行のマイクロビヤ工法,基板材料,ドリル穴あけ技術,層間接続技術などに限界があって,量産レベルでこれを実現するにはいくつかの課題が残されている。ローエンド製品へ市場を展開するにはさらなるコストダウンも要求されている。
本書はこうした背景の中のマイクロビヤ技術とビルドアップ多層プリント配線板の現状と将来について,その工法・工法と基板材料の関係・マイクロビヤ製造のキーテクノロジー(特に材料技術・ビヤ穴あけ技術・層間接続技術)の特長と限界など,量産技術のファンダメンタルズともいえる技術の課題について重点的に追求し,併せて将来の市場を展望した。関係各位のご参考となれば幸いである。
2001年7月 英 一 太
構 成 お よ び 内 容
1 マイクロビヤ技術―ビルドアップ多層プリント配線板の層間接続技術― ・・・・・・・・・1
2 マイクロビヤ技術は携帯用電子機器の軽薄短小化を支持する
2.1 デジタルカムコーダー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.2 移動電話 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3
2.3 パソコン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
2.4 BGA,CSP,MCM ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4
3 マイクロビヤの構造と種類
3.1 マイクロビアの種類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7
(1) ブラインドビヤ
(2) 埋込みビヤ
(3) スルーホールビア,貫通穴
(4) 非貫通穴
4 マイクロビヤの穴あけ技術
4.1 NCドリル穴あけ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
4.2 レーザー穴あけ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
4.2.1 CO2レーザー
4.2.2 YAGレーザー
4.2.3 エキシマレーザー
4.3 レーザー穴あけ法の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・14
5 レーザードリル穴あけ用材料
5.1 レジンコーテッド銅はく ・・・・・・・・・・・・・・・・・・17
5.2 熱硬化性樹脂(液状,ドライフィルム) ・・・・・・・・19
6 フォトビヤプロセス
6.1 フォトビヤ工法によるマイクロビヤのビルドアップ ・・・22
6.2 ビルドアップ回路製造におけるめっき技術 ・・・・・・・・24
6.2.1 アディティブめっき
6.2.2 サブトラクト回路形成
6.3 ビルドアップ基板用材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
6.4 銅めっきの接着力 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26
6.5 ビルドアップ用絶縁材料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27
6.6 感光性ソルダーマスク材料のビルドアップ基板への応用 ・・・・27
6.6.1 感光性ソルダーマスクの化学
6.6.2 新しい光画像形成型エポキシ樹脂液状ソルダーマスク
(1) ソルダーマスクへの応用
(2) 新しい用途への展開
6.7 感光性樹脂を使用するフォトビヤ法がビルドアップ回路の高密度設計を可能にする ・・・・・31
6.7.1 フォトビヤ法の特徴
6.7.2 光画像形成型絶縁材料法
7 湿式および乾式エッチングによるマイクロビヤ穴加工
7.1 穴あけ技術の比較 ・・・・・・・・・・・・・・・・・36
7.2 導電性インクで形成されるビヤ ・・・・・・・・36
8 ビヤホールの埋込み技術―接続法と加工法の問題点―
8.1 IVHによる層間接続 ・・・・・・・・・・・・・・・・・39
8.2 埋込みビヤ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39
8.3 アートワークの作製法 ・・・・・・・・・・・・・・42
8.4 ビヤホール加工法の概要 ・・・・・・・・・・・43
8.5 ビヤホールの問題点 ・・・・・・・・・・・・・・・44
9 UV硬化型液状ソルダーマスクによる穴埋め加工法 ―テンティングから穴埋め加工法へ―
9.1 穴埋め加工法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
9.2 穴の寸法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・48
10 マイクロ基板の材料と加工技術
10.1 ビルドアップ層を形成する絶縁材料―ソルダーマスク材料のビルドアップ工法への応用 ・・51
10.1.1 ソルダーマスクの画像形成
10.1.2 画像の位置,寸法精度と解像度
10.1.3 UV硬化型ソルダーマスク
10.1.4 感光性液状ソルダーマスク
10.1.5 カチオン硬化型感光性エポキシ樹脂
10.1.6 フォトビヤ法による多層回路基板のビルドアップ工法への応用
10.1.7. 液状レジストはランドの寸法を小さくすることができる
11 ビヤホール層間接続のためのメタライゼーション技術
11.1アディティブめっき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・63
11.1.1 アディティブ法の特長と問題点
(1) アディティブ法の特長
(2) アディティブ法の問題点
11.1.2 アディティブ回路製造法
(1) 積層板の表面処理
(2)積層板表面の活性化
(3)積層板表面における選択的な無電解銅の析出
(4) 展延性の大きいち密な導体回路の析出
11.1.3 アディティブ回路形成と基板技術
(1) 膨潤-エッチング法
11.2 マイクロビヤ,スルーホール穴の無電解銅めっきのカバレッジに影響する要因 ・・・68
11.2.1 スミヤの除去とエッチバッグ
11.2.2 活性化
(1)パラジウム-錫系アクチベータ
(2)Pd-Sn系アクチベータによるガラス繊維のカバレッジの向上対策
(3) 無電解銅めっき液の保守管理チェックリスト
(4)無電解めっき析出速度
(5) 無電解めっき銅の品質
(6) 使用済み無電解めっき浴の廃水・排水処理
11.3多層成形-レジンコーテッド銅箔とコア基板の積層成形 ・・・・・・・・80
11.3.1 多層成形条件
11.3.2 プリプレグの要求特性と管理
(1) プリプレグの樹脂含有量
12 今後のマイクロビヤ基板の製造技術―レーザービヤかフォトビヤか,液状エポキシかレジンコーテッド銅箔か―
12.1 エポキシ樹脂のコーティング ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 85
12.2 レジンコーテッドフォイル法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86
12.3 生産量とマイクロビヤ工法の関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・86
13 日本のマイクロビヤ基板の生産状況
13.1 富士通 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89
13.2 イビデン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89
13.3 東 芝 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89
13.4 日立化成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・89
13.5 IBM野洲 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
13.6 日本ビクター(JVC) ・・・・・・・・・・・・・90
13.7 松下電器 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
13.8 NEC ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
13.9 日本CMK ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・90
14 日本のマイクロ基板用材料の開発動向
14.1 コア用基板 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・93
14.2 多層セラミックビヤ基板-MCM-C ・・・・・・・・・・93
14.2.1 多層セラミックビヤ形成技術
14.2.2 多層セラミックの製造法
(1) グリーンシートと多層セラミックの製造
(2) 乾式厚膜法
(3) 印刷積層法
(4) テープ積層法
14.2.3 ビヤ形成技術
14.2.4 ビヤの検査
15 マイクロビヤプリント基板―コストは高くつくか?― ・・・・・・・・・・・・・107
16 マイクロビヤ基板の細線回路のパターニングと回路加工
16.1 細線化の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・110
16.2 細線化,高密度化と回路の加工収率の低下 ・・・・・・・・113
16.3 パターンの印刷とエッチング ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・115
16.3.1 画像形成システムの選定
16.3.2 ドライフィルムとスクリーン印刷
16.3.3 ドライフィルムと液状レジスト
16.3.4 溶剤型か水溶性レジストか
16.3.5 加 工
16.3.6 積層接着剤の表面処理
16.3.7 レジストとレジスト積層
16.3.8 露 光
16.3.9 現 像
16.3.10 エッチングとストリッピング
16.4 印刷回路のスクリーン印刷による細線画像転写法 ・・・・124
16.4.1 はじめに
16.4.2 スクリーンの品質に影響する要因
16.4.3 スクリーンフレーム
16.4.4 スクリーンメッシュ
(1) ステンレス鋼スクリーン
(2) 合成繊維スクリーン
16.4.5 スクリーンテンション
16.4.6 温度と湿度に関する問題
16.4.7 ステンシルの使い方
16.4.8 間接製版系の問題
16.4.9 おわりに
17 表面型実装型エリアアレイ(BGA,CSP)―マイクロビヤ基板のインターポーザーへの応用―
17.1 BGA ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・135
17.2 CSP ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・137
17.3 CSPの実装とベア・チップ実装の課題 ・・・・141
18 フリップチップボンディング
18.1 C4の歴史 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・143
18.2 材 料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・145
18.3 アセンブリー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・145
18.4 熱膨張率不整合による信頼性の低下 ・・・・146
18.5 C4の将来の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・147
18.6 SMDのリフローはんだ付け ・・・・・・・・・・・・・147
18.6.1 加熱版による熱伝導方式によるリフローはんだ付け
18.6.2 対流加熱方式によるリフローはんだ付け
18.6.3 赤外線加熱方式によるリフロー
18.6.4 SMDの気相はんだ付けとその信頼性
(1) 気相はんだ付けの方法
(2) 気相はんだ付けの操作
(3) はんだ接続の信頼性
(4) 結 論
19 導電性ペースト-ポリマー厚膜材料
19.1ポリマー ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・161
19.2 導電ペースト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・163
19.3 誘電体ペースト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・164
19.4 抵抗ペースト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・165
19.5 基 板 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・166
19.6 加 工 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・167
19.7 PTFの用途 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・169
19.7.1 プリント配線板の製造
19.7.2 ハイブリッド回路の製造
19.7.3 メンブレンスイッチ
19.7.4 その他の用途
20 電気銅めっき
20.1 電気銅浴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・172
20.2 ピロリン酸銅浴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・175
内容説明
本書はマイクロビヤ技術とビルドアップ多層プリント配線板の現状と将来について、その工法、工法と基板材料の関係、マイクロビヤ製造のキーテクノロジー(特に材料技術、ビヤ穴あけ技術、層間接続技術)の特長と限界など、量産技術のファンダメンタルズともいえる技術の課題について重点的に追求し、併せて将来の市場を展望した。
目次
マイクロビヤ技術―ビルドアップ多層プリント配線板の層間接続技術
マイクロビヤ技術は携帯用電子機器の軽薄短小化を支持する
マイクロビヤの構造と種類
マイクロビヤの穴あけ技術
レーザードリル穴あけ用材料
フォトビヤプロセス
湿式および乾式エッチングによるマイクロビヤ穴加工
ビヤホールの埋込み技術―接続法と加工法の問題点
UV硬化型液状ソルダーマスクによる穴埋め加工法
マイクロビヤ基板の材料と加工技術〔ほか〕