出版社内容情報
☆歴史,分類,栄養基準,表示方法などペットフードの概要を1冊に集約!
☆応用開発の動向を豊富な図表や臨床データを使って詳述!
☆国内の市場動向,約10年ぶりに実施された「動物愛護に関する世論調査」の結果,ペット産業先進国アメリカの市場規模などを掲載!
刊行のねらい
近年ペット動物は,獣医療とくに予防医療の発達や残飯ではない専門食への依存が進んだことなどにより老齢化が進み,人と同じように成人病,肥満,代謝疾患などが問題となっている。コンパニオン・アニマルと呼ばれ家族同様の存在となった今,日頃の栄養管理,療法食の開発はペットフードの開発において最重要課題とされている。そこで本書では,多様化するペットフードの研究開発に関わる最新情報を紹介した。くわえて第1編ではペットフードの総論を,第3編では市場をまとめ,本書を通覧すればペットフードの全体像がみえてくるはずである。
ペットフードの研究開発者のみならず,治療過程の一環で食餌の指導をされる獣医師の方,またはペット産業に新規参入を考えている方,企画あるいはマーケティングに携わる方など,さまざまなニーズをお持ちの方に必携の書としてお役立ちいただければ幸いである。
執筆者一覧(執筆順)
大木 富雄 日本ペットフード(株) 取締役執行役員 研究開発部長
金子 武生 日本畜産技術士会 情報技術部長
阿部 又信 麻布大学 獣医学部 教授
大野 和彦 ペットフード公正取引協議会 事務局長
大島誠之助 (株)ナルク 代表取締役社長
堀田 三郎 日本畜産技術士会 副会長
田代 靖人 明治製菓(株) 新素材事業部
磯貝恵美子 北海道医療大学 歯学部 口腔衛生学教室 助手
磯貝 浩 札幌医科大学 医学部 実験動物研究施設 助教授
古瀬 充宏 九州大学大学院 農学研究院 動物資源科学部門 教授
朱宮 正剛 東京都老人総合研究所 実験動物部門 研究部長
深田 恒夫 岐阜大学 農学部附属家畜病院 教授
内野 富弥 (株)動物エムイーリサーチセンター センター長
礒部 禎夫 磯部技術士事務所 所長
高畑 能久 日本ハム(株) 中央研究所 研究員
仲村 州夫 ウエンガー社日本代表・パシフィックサイエンス㈱
構成および内容
第1編 総論編
第1章 ペットフードの歴史と変遷 大木富雄
1 はじめに
2 欧米における歴史
3 M&Aの動き
4 国産化の歴史と我国ペットフードの変遷
5 国内流通チャネルとフードの内容
6 ペットの動きとフードの変遷
7 栄養基準の変遷
8 ペットフードの規制と動向
9 ペットフードを取巻く環境の動向
第2章 ペットフードの分類 金子武生
1 はじめに
2 フードの形態による分類
(1)ドライタイプ
(2)ウエットタイプ
(3)セミモイストタイプ
(4)その他のタイプ
3 ペットのライフステージによる分類
(1)ほ乳期用フード
(2)離乳期用フード
(3)成長期用フード(グロース)
(4)成犬期用・成猫期用フード(メンテナンス)
(5)高齢期用フード(シニア)
4 フードの目的による分類
(1)総合栄養食
(2)間食
(3)その他の目的食
5 フードの内容による分類
(1)手作りフード
(2)スタンダードフード
(3)プレミアムフード
(4)療法食
6 その他の分類
(1)ドッグフードの細分類
(2)フードの包装形態による分類
(3)犬用,猫用以外のペットフードの分類
第3章 ペットフードの栄養基準 阿部又信
1 はじめに
2 ペットフードの品質保証
3 NRC飼養標準
3.1 犬
3.2 猫
3.3 問題点
4 AAFCOの養分基準
4.1 ドッグフード
4.2 キャットフード
5 ペットフード取引協議会の栄養基準
第4章 ペットフードの表示について 大野和彦
1 ペットフードの表示
2 ペットフードの表示に関する公正競争規約
2.1 表示の基本
2.2 ペットフードの定義
2.3 必要表示事項
2.4 表示の文字
2.5 「総合栄養食」について
2.6 不当表示について
第2編 応用開発編
第1章 犬猫の健康と必須脂肪酸 大島誠之助
1 はじめに
2 脂肪酸とは?
3 必須脂肪酸とは?
4 必須脂肪酸の分類
5 必須脂肪酸の種類
(1)リノール酸
(2)α-リノレン酸
(3)アラキドン酸
(4)γ-リノレン酸
(5)ジホモ-γ-リノレン酸
(6)エイコサペンタエン酸とドコサヘキサエン酸
(7)共役リノール酸
6 犬の必須脂肪酸要求
7 猫の必須脂肪酸要求
8 犬猫の必須脂肪酸欠乏事例
9 ω-3系列とω-6系列脂肪酸の摂取バランス
10 おわりに
第2章 微量ミネラル原料 堀田三郎
1 ミネラルの定義と分類
2 微量ミネラルの機能と栄養基準
2.1 微量ミネラルの機能
2.1.1 鉄(Fe)
2.1.2 亜鉛(Zn)
2.1.3 銅(Cu)
2.1.4 マンガン(Mn)
2.1.5 ヨウ素(I)
2.1.6 セレン(Se)
2.1.7 その他の微量ミネラル
2.2 微量ミネラルの栄養基準
2.2.1 二つの基準
2.2.2 上限値
2.2.3 AAFCOの基準で要求量レベルを増加させたもの
3 微量ミネラル添加物
3.1 微量ミネラル添加物の種類
3.2 有機態微量ミネラル添加物
3.3 キレート態微量ミネラル添加物
3.4 ミネラル酵母
3.4.1 セレン酵母
3.4.2 クロム酵母
4 ペットフード製品の微量ミネラル表示
5 微量ミネラルの給与試験成績
5.1 キレート亜鉛給与犬のZn吸収と貯留
5.2 犬の被毛の成長,被毛中Zn含量に及ぼす亜鉛源の影響
5.3 犬の繁殖,被毛中ミネラル含量に及ぼすミネラル源(Zn,Cu,Mn)の影響
5.4 犬に対する各種亜鉛源の生物学的利用性の比較
5.5 雌猫の繁殖能力に及ぼす銅源の影響
第3章 オリゴ糖と腸内細菌 田代靖人
1 オリゴ糖とは
2 ペットの腸内細菌
3 オリゴ糖のペットの腸内細菌に対する影響
(1)犬の腸内細菌叢に対する影響
(2)猫の腸内細菌叢に対する影響
4 オリゴ糖のペットの便臭・尿臭に対する効果
(1)犬の糞便臭に対する効果
(2)猫の糞便臭に対する効果
5 今後のペットフードで期待されるオリゴ糖の効果
第4章 茶抽出エキスの歯周病予防効果 磯貝恵美子,磯貝 浩
1 植物由来の抗菌機能性物質
2 お茶とポリフェノール
3 動物の緑茶への対応
4 ペット(イヌ,ネコ)の口腔疾患
5 歯周病
6 茶抽出物含有ペットフードの歯周病予防効果
7 う蝕
8 歯周病以外への緑茶抽出物含有ペットフードの期待される効果
9 最後に
第5章 肥満と疾病とフード 古瀬充宏
1 はじめに
2 肥満の判断
3 肥満の種類
4 肥満の成因
5 肥満から併発する疾病
6 肥満の予防と改善に対するペットフード
第6章 高齢動物の栄養 朱宮正剛
1 はじめに
2 高齢ラットの蛋白質とエネルギー要求量
2.1 蛋白質とエネルギーに関する基礎的検討
2.2 低蛋白低エネルギー飼料による生涯飼育試験
2.3 低蛋白低エネルギー飼料の製品化試験
2.4 市販低蛋白低エネルギー飼料の飼育試験
3 高齢犬猫の栄養要求量
3.1 エネルギー要求量
3.2 蛋白質要求量
4 老齢動物用飼料と給餌法
5 おわりに
第7章 老齢犬における栄養と腸内細菌叢 深田恒夫
1 はじめに
2 老齢犬の定義と老齢動物への食餌管理目的
3 加齢に伴って生じる生理的変化
4 犬および猫の正常腸内細菌叢について
5 加齢と腸内細菌叢の関係について
6 栄養素と腸内細菌叢の関係について
(1)蛋白質
(2)脂質
(3)炭水化物
7 老齢犬において腸内細菌叢から見た必
要な栄養
8 老齢犬における栄養と腸内細菌叢
9 まとめ
第8章 高齢化と疾病とフード 内野富弥
1 はじめに
2 イヌ・ネコの高齢化現象の要因
(1)イヌ・ネコの動物病院への来院理由
(2)イヌ・ネコの飼育場所
(3)イヌ・ネコのフードの変化
(4)イヌ・ネコの年齢分布の推移
3 イヌ・ネコの10歳以上の疾病発生状況
(1)イヌ・ネコの高齢とは何歳か
(2)イヌの発生状況
(3)ネコの発生状況
4 高齢動物とフード
(1)イヌの高齢化とフード
(2)ネコの高齢化とフード
第9章 療法食としてのペットフード開発の動向 礒部禎夫
1 はじめに
2 犬・猫の療法食とは
3 犬・猫の療法食の流通状況
(1)犬・猫療法食の流通額推移
(2)主な犬・猫用療法食の銘柄と流通
4 主な疾病別栄養管理と療法食の適用
4.1 癌・腫瘍の栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)癌・腫瘍の栄養管理に用いられる療法食
4.2 回復期・重症医療の栄養管理(栄養支持)
(1)栄養管理の特徴
(2)回復期・重症医療(栄養支持)に用いられる療法食
4.3 成長期・妊娠期・授乳期の栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)子犬・子猫,妊娠犬・猫,授乳期の犬・猫に用いられる療法食
4.4腸管の栄養管理-胃腸障害,大腸炎,下痢の栄養管理-
(1)栄養管理の特徴
(2)腸管の管理に用いられる療法食
4.5 肥満の栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)肥満の栄養管理のための療法食
4.6 血糖・糖尿病の栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)血糖・糖尿病の栄養管理にもちいられる療法食
4.7 炎症の管理-アレルギー性皮膚疾患並びに食餌性アレルギー-
(1)栄養管理の特徴
(2)炎症の管理用療法食
4.8 口腔衛生の管理
(1)栄養管理の特徴
(2)口腔衛生のための療法食
4.9 下部尿路疾患の栄養管理
4.9.1 ストルバイト尿石症の栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)犬・猫のストルバイト尿石用の療法食
4.9.2 シュウ酸カルシウム結石などの栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)シュウ酸カルシウム結石などの療法食
4.10 腎疾患の栄養管理-慢性腎不全,尿毒症-
(1)栄養管理の特徴
(2)腎疾患,慢性腎不全,尿毒症用の療法食
4.11 肝臓病の栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)肝臓病の栄養管理として用いられる療法食
4.12 心臓病の栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)心臓病管理のための療法食
4.13 高齢期の栄養管理
(1)栄養管理の特徴
(2)高齢期の栄養管理用療法食
5 主な療法食一覧表
6 近い将来,療法食として開発される素材
(1)プロバイオテックス(Probiotics)
(2)有機酸フマル酸やクエン酸の療法食としての応用
第10章 ペットフードの添加物 大木富雄
1 はじめに
2 法的規制と関係法および規則
(1)飼料添加物との関係
(2)食品添加物との関係
(3)毒物及び劇物取締法との関係
(4)国により制限が異なる例
3 添加物の分類
(1)栄養バランスを整えるための栄養強化剤
(2)品質保持のための品質保持剤
(3)食欲増進のための嗜好性向上剤
(4)見栄え向上のための添加剤
4 栄養添加物とその劣化について
(1)犬用缶詰のビタミン劣化例
(2)犬用ドライフードのビタミン劣化例
(3)猫用缶詰のビタミン劣化例
(4)猫用ドライフードのビタミン劣化例
5 品質保持のための添加物例
(1)酸化防止剤
(2)防かび剤,保存料
6 添加物と表示
第11章 畜産副生物のペットフードへの利用 高畑能久
1 はじめに
2 畜産副生物による「グルメ化」への対応
3 畜産副生物による「高齢化」への対応
4 おわりに
第12章 ペットフード製造機器の動向について 仲村州夫
1 はじめに
2 押出機について
3 ペットフードの製造工程
4 押出機の構成
5 一軸押出機
6 ダイとナイフ
7 乾燥機,油脂添加装置,クーラー
8 二軸押出機
9 押出機の選択
10 押出機の自動化
11 押出機のスケールアップ
12 押出機の製造能力
13 押出機の新しい傾向
14 押出機の展望
15 おわりに
第3編 市場編
1 ペットフードの市場
1.1 ペット関連市場について
1.2 ペットフード市場の推移
1.3 流通からみたペットフード市場
1.4 アメリカのペットフード事情
2 ペット関係費
2.1 家庭におけるペット関係費の動向
2.2 ペットへの支出金額
2.3 ペット飼育の世論調査から
3 犬猫の飼育頭数
3.1 犬猫の飼育頭数の変遷
3.2 地域別飼育状況
4 普及の変遷と現況
4.1 ペットフード普及率の変遷
4.2 プレミアム化するペットフード