出版社内容情報
本書は、弊誌『BIOINDUSTRY』2000年1・2月号の特集「21世紀における再生医療の役割 (Part 1)」「21世紀における再
生医療の役割 (Part 2)」を単行本化したものです。内容は雑誌の転載となっております。
執筆者一覧(執筆順)
井 上 一 知 京都大学 再生医科学研究所 再生医学応用部門 教授
堅 尾 和 夫 通商産業省 基礎産業局 生物化学産業課 課長
千 葉 敏 行 藤沢薬品工業(株) 研究本部 主席研究員
中 村 晃 忠 国立医薬品食品衛生研究所 療品部長
辻 隆 之 東京大学大学院 新領域創成科学研究科 教授
中 西 喜 彦 鹿児島大学 農学部 家畜繁殖学 教授
丹 羽 仁 史 大阪大学大学院 医学系研究科 分子防御医学講座 助手
宮 崎 純 一 大阪大学大学院 医学系研究科 分子防御医学講座 教授
塚 田 敬 義 大阪歯科大学 法学教室 専任講師
田 畑 泰 彦 京都大学 再生医科学研究所 助教授
黒 柳 能 光 北里大学大学院 医療系研究科 医用材料工学 助教授
藤 沢 章 京セラ(株) バイオセラム・プロジェクト開発部 部長
福 永 篤 志 慶應義塾大学 医学部 脳神経外科 助手
内 田 耕 一 慶應義塾大学 医学部 脳神経外科 講師
高 橋 政 代 京都大学大学院 医学研究科 視覚病態学
若 林 良 明 東京医科歯科大学 医学部 整形外科
四 宮 謙 一 東京医科歯科大学 医学部 整形外科 教授
伊 藤 聰一郎 東京医科歯科大学 医学部 整形外科
河 本 宏 京都大学 再生医科学研究所 再生免疫学分野
桂 義 元 京都大学 再生医科学研究所 再生免疫学分野
福 田 恵 一 慶應義塾大学 医学部 心臓病先進治療学
雨 宮 浩 国立小児病院 小児医療研究センター センター長
絵野沢 伸 国立小児病院 小児医療研究センター 実験外科室長
大河原 久 子 東京女子医科大学 総合研究所 研究部 助教授
宮 本 正 章 京都大学 再生医科学研究所 器官形成応用分野 助教授
森 元 良 彦 京都大学 再生医科学研究所 器官形成応用分野
野 澤 由 香 京都大学 再生医科学研究所 器官形成応用分野
王 文 敬 京都大学 再生医科学研究所 器官形成応用分野
許 宝 友 京都大学大学院 医学研究科 腫瘍外科
瀬戸山 博 京都大学大学院 医学研究科 腫瘍外科
川 上 義 行 京都大学大学院 医学研究科 腫瘍外科
岩 田 博 夫 京都大学 再生医科学研究所 組織修復材料学分野 教授
構成および内容
Ⅰ 総 論 編
第1章 再生医療の果たす役割とは 井上一知
1. はじめに
2. 再生医学とは
3. 再生医学研究の現状
4. 再生医療の果たす役割
5. 再生医療の様式
6. 再生医療の課題と将来展望
7. おわりに
第2章 バイオ関連産業政策の現状と展望 堅尾和夫
1. バイオテクノロジーの重要性
1.1 将来性
1.2 バイオテクノロジーの特徴
2. 日本のバイオ産業の現状と課題
3. 今後のバイオ産業育成の方針
4. おわりに
第3章 再生医療は新規医療産業の柱になり得るか 千葉敏行
1. はじめに
2. 生産型医療
3. 生産型医療を起こすために
3.1 テーラーメード医療:新しい医療サービスの提供
3.2 生産型医療産業の立ち上げに必要なもの
4. ニーズ
4.1 各方面からのニーズ
4.2 テーラーメード医療に求められるもの
4.3 再生医療の臨床研究開発に求められるもの
4.4 再生医療をビジネスとするために
5. 人
6. 物
6.1 テーマ
6.2 特許, Know-How
7. 金
7.1 研究費
7.2 バイオベンチャー企業の役割
7.3 バイオベンチャー企業への投資
7.4 ベンチャー企業育成のための国の役割
8. 再生医療を新しい医療産業の柱とするには
9. おわりに
第4章 細胞・組織の再生医療への利用における品質, 安全性確保 中村晃忠
1. はじめに
2. ヒト組織細胞の利用について
3. ヒト組織細胞利用の規制枠組み案
4. ヒト組織細胞の利用に関する基本要件(案)
4.1 一般的要件
4.2 培養細胞の利用に関する要件
4.3 人工材料とヒト培養細胞の併用に関する要件
5. 動物由来細胞 (異種細胞) の利用について
5.1 異種細胞医療用具ガイドラインの必要性
5.2 異種細胞医療用具の現行の分類と異種移植との安全性上の相違点
5.3 ドナー動物について
5.4 異種細胞医療用具の加工製品化
5.5 臨床適用に関する事項
5.6 残された問題
6. おわりに
第5章 組織, 細胞供給源としてミニブタの再生医療に果たす役割 辻 隆之, 中西喜彦
1. はじめに
2. ミニブタの現状
2.1 国際的状況
2.2 わが国の現状
3. ミニブタの特徴
4. 遺伝子組換えミニブタの作出
5. 遺伝子組換えブタによる異種移植研究の動向
6. 体外肝灌流 (ECLP:extra corporeal liver perfusion)
7. 異種組織移植
7.1 細胞移植
7.2 ハイブリッド人工膵臓
7.3 凍結組織保存
8. 人畜共通感染症
9. おわりに
第6章 ES 細胞を用いた移植治療の展望 丹羽仁史, 宮崎純一
1. はじめに
2. ES 細胞の発生学
3. ES 細胞から特定の分子細胞を得るには
3.1 選択的分化誘導法
3.2 選択的増殖法
3.3 選択的排除法
3.4 ES 細胞の生体内での分化誘導
4. ES 細胞を用いた細胞移植実験の現状
4.1 血液細胞移植
4.2 心筋細胞移植
4.3 グリア細胞移植
5. my ES -クローン技術の応用による自家移植-
6. では今なにが問題か?
6.1 どの程度の種類の細胞が ES 細胞から作成可能か?
6.2 現在樹立されたヒト ES 細胞は, これまで解析に
用いられてきたマウス ES細胞と相同なものとみなしうるか?
6.3 ヒト ES 細胞は, 必要に応じて樹立しうるのか?
6.4 ES 細胞以外に移植可能な細胞は存在しないのか?
6.5 このような治療は倫理的に認められるか?
第7章 社会的見地から見た再生医療の役割 塚田敬義
1. はじめに
2. 再生医療の成立
3. 再生医療の範疇と方向性
4. 同種移植について
5. 組織移植についての課題
6. 異種移植の実施について
7. クローン問題について
8. おわりに
第8章 生体適合材料と再生医療 田畑泰彦
1. はじめに
2. 生体適合材料とは
3. 生体適合材料の分類
4. 生体適合材料の再生医療における役割
5. おわりに
Ⅱ 各 論 編
第9章 皮膚を標的とする再生医療の役割 黒柳能光
1. はじめに
2. 培養表皮
2.1 自家培養表皮
2.2 同種培養表皮
3. 培養真皮
3.1 自家培養真皮
3.2 同種培養真皮
4. 培養皮膚
4.1 自家培養皮膚
4.2 同種培養皮膚
4.3 複合型培養皮膚
第10章 硬組織を標的とする再生医療実用化への課題 藤沢 章, 井上一知
1. はじめに
2. 現在の人工関節, 人工骨の課題
2.1 関節摺動面の摩擦摩耗の改善
2.2骨と人工間接との固定性
3. 細胞工学, 組織工学的手法の応用
4. おわりに
第11章 中枢神経系および脳を標的とする再生医療の役割 福永篤志, 内田耕一
1. はじめに
2. 神経幹細胞 (neural stem cell)
2.1 神経幹細胞の特徴
2.2 神経幹細胞の分類
2.2.1 成人型神経幹細胞 (adult neural stem cell)
2.2.2 胎児型神経幹細胞 (embryonic neural stem cell)
2.2.3 神経上皮型幹細胞 (neuroepithelial stem cell)
2.3 神経幹細胞の分化
3. 神経上皮型幹細胞をドナーとした移植
4. 神経幹細胞移植による脳再生医療へ向けて
5. おわりに
第12章 網膜を標的とする再生医療の役割 高橋政代
1. はじめに
2. 網膜の再生を必要とする疾患
3. 中枢神経系の再生
4. 神経系幹細胞
5. 神経系幹細胞の移植
6. 神経系幹細胞の幼若網膜への移植
7. 神経系幹細胞の成体網膜への移植
8. 移植細胞の機能
9. 網膜由来神経系幹細胞
10. おわりに
第13章 運動神経を標的とする再生医療の役割 若林良明, 四宮謙一, 伊藤聰一郎
1. 運動神経の損傷と治療の限界
2. 脊髄の再生
3. 運動神経 (末梢神経) の再生
4. 合成ピリミジン化合物の神経再生効果
4.1 方法・結果
5. 人工神経の開発
5.1 方法・結果
6. 運動神経再生に関する最近のトピックス
第14章 血液・リンパ系を対象とする再生医療 河本 宏, 桂 義元
1. はじめに
2. 造血幹細胞と造血
2.1 幹細胞は自己複製機能をもっているか
2.2 造血における系列決定の過程
3. 現行の造血再生の医療
3.1 治療のための血液再生
3.1.1 増殖因子の利用
3.1.2 治療的な幹細胞移植
3.2 がん治療補助としての血液再生
4. 血液系を対象とした再生医療の将来の可能性
4.1 造血幹細胞の体外での増幅
4.2 分化の進んだ前駆細胞を用いた再生的医療
4.3 ES 細胞を用いた方法
5. おわりに
第15章 心臓を標的とする再生医療の役割 福田恵一
1. はじめに
2. 心臓領域における発生学研究の進歩
3. 心筋細胞再生の戦略
4. 骨髄間質細胞を用いた心筋細胞の分化誘導
4.1 骨髄細胞における末分化幹細胞の位置づけ
4.2 心筋細胞の誘導
4.3 骨髄間質細胞由来の心筋細胞の特徴
5. 心筋細胞移植の現状と課題
6. おわりに
第16章 肝臓を標的とする再生医療の役割 雨宮 浩, 絵野沢 伸
1. はじめに
2. 肝機能の再生医療
3. 再生医療としての肝移植
4. 再生医療としての肝細胞移植
5. 肝再生をとりまく諸現象
5.1 肝の増殖制御
5.2 肝細胞に働きかける因子
6. ハイブリッド人工肝
7. 劇症肝炎に対する自己肝再生の試み
8. おわりに
第17章 バイオ人工膵島と再生医療 大河原久子
1. はじめに
2. バイオ人工膵島
3. ディフュージョンチャンバー型バイオ人工膵臓 (島)
3.1 免疫隔離膜
3.2 膵島:膵内分泌細胞
3.3 培養床 (マトリックス)
3.4 移植
3.5 臨床応用にあたって
3.6 安全性
4. 21世紀に向かって
第18章 膵臓を標的とする再生医療の役割
宮本正章, 森元良彦, 野澤由香, 王 文敬, 井上一知
許 宝友, 瀬戸山博, 川上義行, 岩田博夫
1. はじめに
2. バイオ人工膵の現況
2.1 同種膵島移植におけるバイオ人工膵
2.2 異種膵島移植におけるバイオ人工膵
3. 皮下膵島移植の可能性
4. 膵島再生因子の検討
4.1 Islet cell-like clusters (ICC)
4.2 Reg (Regenerating Gene) 遺伝子
4.3 アクチビン
4.4 その他の増殖因子
5. おわりに
内容説明
ごく最近、細胞を積極的に利用、活用することにより組織・臓器の機能再生や再構築をめざそうとする学問が、急速な拡がりをみせるようになってきた。これが再生医学であり、再生医学研究の成果が実用化に至った医療が再生医療である。本書では、21世紀の再生医療の果たす役割と展望について、まとめられている。
目次
1 総論編(再生医療の果たす役割とは;バイオ関連産業政策の現状と展望;再生医療は新規医療産業の柱になり得るか;細胞・組織の再生医療への利用における品質、安全性確保 ほか)
2 各論編(皮膚を標的とする再生医療の役割;硬組織を標的とする再生医療実用化への課題;中枢神経系および脳を標的とする再生医療の役割;網膜を標的とする再生医療の役割 ほか)