出版社内容情報
刊行のねらい
世の中は目を見張るばかりのエレクトロニクス技術の進展にともない、私たちの生活は電卓、ワープロ、パソコン、液晶テレビ、携帯電話を初め、電池を使用した製品なしには考えられない時代となっています。 LSI技術と並んでこのモバイル時代の中心的な役割を果たしているのが電池です。 以前はローテク産業の座に甘んじていた電池は、エレクトロニクス機器の発達をリードしながら一次電池から二次電池へと開発が進み、さらに新しい可能性を秘めたポリマー電池が、いまやハイテク産業の先端を変える主役として、熱い視線を浴びてきています。
本書は3編から成り、第1編では電池の歴史から現在に至る経緯の他、電池に関する基礎知識を述べたうえで、第2編で主題であるポリマーリチウム二次電池の基礎と日本及び世界の開発状況について詳述しています。
さらに第3編では、果てしない可能性を抱かせるポリマー電池の未来についての夢を語っています。 このように、電池の基礎から説きおこし、未来のエースと目されるポリマーリチウム電池の可能性についてわかりやすく述べた本書は、電池関連企業の機器設計技術者はもちろんのこと、電池に関心を持つ一般読者、あるいは理工系学生のサブテキストとしてお役立ていただければ幸いです。
本書の著者である植谷慶雄氏は、電池関連業界の要職を歴任され、数々の受賞歴と著書を持つ電池開発の第1人者でしたが、本校の完成直前に急逝され、本書が遺稿となったものです。
内容および構成
第1編 電池に関する基礎知識
第1章 電池とは何か?ポリマー電池とはなにか?
1 電池とは
2 ポリマー電池とは
第2章 電池の歴史とポリマー電池
1 西欧電池の歴史
2 中近東・東洋の事情
3 携帯用電池の登場
第3章 固体電解質からポリマー電解質電池への流れ
第4章 躍進する電池産業
第5章 電池に要求される特性
第6章 電解質のイオン伝導度と使用電流
第7章 二次電池の現状
第8章 リチウムイオン二次電池
1 リチウム二次電池の開発
2 リチウムイオン電池の構成
3 リチウムイオン電池の特性
4 リチウムイオン電池の問題点
第9章 ポリマー電池に対するいろいろな誤解
第2編 ポリマーリチウム二次電池の現状
第1章 真性SPE電池
1 真性SPEの仕組み
2 真性SPE電池の現状
第2章 ゲルSPE電池
1 ゲルについて
1.1 ゲルの定義
1.2 ゲルの分類
1.3 ゲル中の高分子と溶媒の関わり
2 ゲルSPEの仕組み
3 ゲルSPEの構成要素
3.1 ホストポリマー
3.2 可塑剤と電解質塩
3.3 ゲルSPEに要求される特性
4 いろいろなゲルSPEの作り方
4.1 親溶媒隔離層型
4.2 直鎖ポリマー型
4.3 架橋ポリマー型
5 ゲルSPE電池の特性
5.1 Battery Engineering, Inc.
5.2 Yuasa
5.3 Ultralife Battery, Inc.
第3章 導電性高分子正極電池
1 夢と消えたプラスチック電池
2 導電性物質としての再出発
第4章 硫黄系正極のポリマー電池の魅力
1 有機ジスルフィド化合物
1.1 Lawrence Berkeley Lab.
1.2 PolyPlus社
1.3 小山らの研究
2 ポリカーボンスルフィド正極
3 活性硫黄
4 硫黄系正極の放電反応
4.1 有機ジスルフィド化合物
4.2 有機ジスルフィド複合化合物
4.3 ポリカーボンスルフィド
4.4 活性硫黄
第5章 ポリマー電池の安全性
1 過充電特性
2 過酷使用条件での安全性
第3編 無限の可能性を秘めるポリマー電池
第1章 ポリマー電池の形状の展開
1 ゲルSPE電池の状況
2 電池形状はどう展開するか
3 薄型化とエネルギー密度
第2章 技術面からの将来展望
1 ニッケル系正極採用の可能性
2 金属リチウム負極の採用
3 Bipolar電池
4 保護回路はどうなるか
第3章 エネルギー密度向上への筋書き
第4章 市場の展望
文献
内容説明
本書は、電池の基礎から説きおこし、未来のエースと目されるポリマーリチウム電池の可能性についてわかりやすく述べています。
目次
第1編 電池に関する基礎知識(電池とは何か?ポリマー電池とは何か?;電池の歴史とポリマー電池;固体電解質電池からポリマー電解質電池への流れ ほか)
第2編 ポリマーリチウム二次電池の現状(真性SPE電池;ゲルSPE電池;導電性高分子正極電池 ほか)
第3編 無限の可能性を秘めるポリマー電池(ポリマー電池の形状の展開;技術面からの将来展望;エネルギー密度向上への筋書き ほか)