感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
岩巳岳雄(Takeo Iwami/leas201903)
3
この本のみでは「死刑を廃止すべきである」とまで言い切るには論拠が薄弱に思えたが、しかし現行死刑制度にはかなり問題があると感じた。特に刑の執行を決定するプロセスが最終的に法務大臣頼みになっている点は法治国家として大いに問題だと考える。執行停止のモラトリアムを設けることには賛成だが、しかしそれを法務大臣個人の意思に任せては、それこそ人治国家になってしまうだろう。また、nephes(生命)を奪うことがすなわちruath(命)を奪うことにはならないのであれば、逆に死刑制度を擁護する論理にもなりそうだと感じた。2022/03/22