出版社内容情報
現代の栄光と苦悩に生き、最も20世紀的な聖人と呼ばれるコルベ神父の生涯を女性作家が描く。フランス・アカデミー賞受賞作。・・・・・愛は死よりも強くなければならない。聖性とは、結局、愛の冒険にほかならない。しかし、もっとも美しい冒険、万人がなしうる冒険だ。これこそ、コルベ神父が説いた教えである。 290頁 (004)
内容説明
これは「友のために命を捨てるよりも大きな愛はない」との聖書の言葉を実行した神父の物語である。かつて長崎で6年を過ごしたことのあるポーランド人宣教師の生涯を、女性作家が見事に描き出した名著。フランス・アカデミー賞受賞作。
目次
二つの冠
摂理的な薬剤師
召命の危機
ローマのメッセージ
聖者の学問はどのようにして得られるか
征服の計画と限りない愛
預言者はその国に入れられない
約束は神聖である
グロドノ
偉大な画家と筆
ニェポカラヌフ訪問
桜の花咲く国にて
死は全生涯の実である
マキシミリアン神父の出陣
十字架の道
愛は死のように強い
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ちゃとら
51
昔、長崎の教会で購入。人間はここまで残酷になれるのか。人はここまで神を信じる事ができるのか。悲しいけれど私には再読しても理解はできない。2020/05/09
豆ぽち
24
遠藤周作の作品中で語られたコルベ神父の生涯を綴ったもの。ドイツ軍に捕らえられても、凛とした精神を保つ姿は、人間のなし得る業とは思えず、やはり神は存在するのではないかと考えさせられた。コルベ神父はどんなときもマリア様と共におられ、だから自らの命を他人に捧げることができたのだと思う。恐怖も後悔も何もなく、純粋に神を慕っていたからこその神業。死して尚、「晴れやかな、神々しい顔をして」いたというコルベ神父。コルベ神父こそが神なのかもしれないし、人間が皆、神にならなければ平和な地球にはならないのだろう。2017/01/26
Timothy
5
コルベ神父の本といえばアウシュビッツに大半のページを割いたものが多いが、これは生涯の伝記。修道院にてコルベは宣教に関する新しい意見を多く出し、しばしば疑問視されたが、決して「従順」の誓いを破ることはなかったらしい。正しい考えは、正しいが故に、無理矢理押し通さなくとも自然と受け入れられるものだ、ということだと思う。「聖性は、ぜいたく品ではなく、義務です。(217)」確かに、キリストのように生きるとは、そういうことなんだろうなあ……コルベはまさしくキリストのように生きた人だと思う。2015/06/14
うえ
4
ポーランドの文章下手な神父が、ただただ信仰の為に出した雑誌。借金まみれで出発した雑誌は1927年に5万部、1930年には30万部。1939年には百万部に達する。「ある日神父は汽車の中で、数人の日本人学生に出会った」メダルを彼らに贈ると日本人学生もお守りにしていた小さな像を神父に与えた。ある日、神父は管区長を訪れ、日本へ行って無原罪聖母の園を創立したいと述べた。1930年4月24日、コルベは長崎に上陸する。「雑誌は同情的な、ときには熱狂的な歓迎をうけた」1936年帰国し、1941年アウシュビッツで死去。2015/02/23
Kunio Hanaoka
4
コルベ神父がアウシュビッツで脱走兵のための身代わり(誰かが脱走すると本人ではなく関係ない他人が見せしめのために饑餓刑となる)になった殉職した話は、あまりにも有名であるが、彼は日本にも来ていて布教していたのは、意外と知られていない。それはともかく、人のために命を捨てられるということはどういうことかを考えさせられる。この問題は彼の存在を知った高校時代以来、ずっと抱え続けている。2014/04/24
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