出版社内容情報
立ち上がる歌、不屈な歌、明るさゆえの孤独ただのおおらかさではない。彼女は、失敗者たちをもじっと見つめる。克服してきた自分自身の姿がそこにあるからだ。小さな歌を書く人々は、もちろん弱者たちを描いて優れた歌を紡ぐが、大きさというものはそれをも含むことができるのだ。
特攻の少年兵に かくれんぼの
泣く 仲間は
彼が生命を奪ったであろう 必ず探しだそう
艦上の兵士に 忘れられた子は
泣く 何時までも鬼を待つ
そこが出発点だからであろう。だからこそ、立ち上がる歌があり、不屈な歌があり、明るさゆえの孤独があり、かちえた自由のなかでの戸惑いがある。精神と心の複雑と単純のすべてが表現されて、歌集という総合体となっている。大きな完成である。しかし、その単純と複雑の極をさらに透過して、創作活動は続くと思う。(草壁焔太氏跋文より)
華やかでぐいっと夏空に立つひまわりは、作者の象徴のよう。
ひまわりがゆえの孤独。そこまでの道のりを自分の足で歩き、自分の頭で考え、自分の心で決めてきたのだと感じる。
酒井 映子[サカイ エイコ]
著・文・その他
目次
動こうよ、私
梢の鴉
あっ春
ひまわりの孤独
ざらり
夏の後姿
深々と
大きな笑顔
寂のやすらぎ
湧き水のように
自ら自分自身を創るという豊かさ(草壁焔太)
著者等紹介
酒井映子[サカイエイコ]
1940年10月東京に生まる。1959年都立駒場高校卒業。1963年結婚。現在、五行歌の会同人、東京本郷歌会(代表:柳瀬丈子氏)事務方を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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