出版社内容情報
アルゲダスの40代半ばから最晩年までの作品11編を収録。大空にコンドルが舞うアンデスの町で繰り広げられる愛と官能、死と再生、激情と悲哀の物語。連作「愛の世界」収録
内容説明
大空にコンドルが舞うアンデスの町で繰り広げられる愛と官能、死と再生、激情と悲哀の物語!ペルーを代表する作家アルゲダスの40代半ばから最晩年までの作品11編を収録。彼を苦しめつづけた幼い日の歪んだ性愛を綴った連作「愛の世界」も収録。
著者等紹介
アルゲダス,ホセ・マリア[アルゲダス,ホセマリア][Arguedas,Jos´e Mar´ia]
1911年にペルー南部のアンデスのまちに生まれ、少年時代を先住民インディオたちとすごした。アンデスの伝統文化と押しよせる外来文化の攻防を描いた『ヤワル・フィエスタ』や、インディオの精神世界を情感豊かに描いた自伝的長編『深い川』が代表作。ふたつの文化のはざまで苦悩しつづけた作家として、少年時代の切ない日々をふり返り、滅びゆく人びとの怒りや哀しみを、一群のみごとな短編に織りあげた。1969年に自ら命を絶った
杉山晃[スギヤマアキラ]
1950年、ペルー・リマ市生まれ。東京外国語大学卒業、同大学院修了。清泉女子大学教授
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感想・レビュー
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きりぱい
4
インディオの人々を描いた短編集。農場主がいじめていた下男から聞かされる夢の話「下男の夢」が、夢にかこつけた批判といっていいのか、わかりやすくて面白い。ラテンアメリカと言えばマジックリアリズムという気がするけれどちょっと違う。ぺルーだからリョサが近いのだろうけれど、それらのラテンアメリカ文学のブームが来る前の作家で、ちょうどその頃、私とともに一つの時代が終わったとピストル自殺しているのが哀しい。2017/03/10
cochou
2
話や語り口は様々だが、その中ではインディオが主人公の話が面白い。ネイティブの文化と信仰、カトリック、マチスモ、血と暴力、聖女と娼婦等南米の香はあるももの、それほど濃厚ではない。インディオにも白人社会にも馴染めなかった作者の立場が反映しているのかも。 説明描写が少ないのが良いところである一方、短編の割りに筋を追うのが難しかった。2019/12/15
okadaisuk8
1
南米の先住民族の文化、植民、筆者が幼少時に受けたとみられる性的虐待…色々な濃い要素が混ざるが、あくまでさらりと書き、読ませ、唯一無二の個性を持つ。作家生活前期の作品集が気に入り、後期の作品集もようやく読破。その後のおどろおどろしいマジックリアリズムの作家に比べたら知名度は低いんだろうが、それでも日本語訳で主立った作品が読めるようなので、今後も読んでいこうと思います。 2016/11/16