出版社内容情報
1973年9月11日、南米チリで起きたクーデター。今なお80万の人々が精神的治療の必要があるとされる。本書はチリの「歴史」と拉致被害者家族の「証言」で構成。
内容説明
ピノチェトによるクーデター(1973年9月11日)は17年もの長きに亘る軍政を敷いた。拉致・行方不明者、処刑者、拷問の被害者など、多くの犠牲を人民に強いた。また、いまなお多くの人びとが精神的な治療の必要ありとされている。軍政は1990年に終わった。だが、その後も軍は力を有し、軍政時代における人権侵害者への罪の追及は遅々として進まない。軍政が終わっても、人権侵害の問題は終わってはいないのだ。著者は1997年から「失踪者」に関する研究調査を開始し、2000年9月から約半年、首都サンティアゴとパラルで失踪者を持つ家族に取材。そこから、行方不明者の家族における「こころ」の問題を探り、まさに「いま」の問題として提起する。
目次
第1部 チリ小史(独立以前(~一八一八年)
独立以後から世界恐慌まで(一八一八~一九三二年)
保守派と軍人のライバル意識
自由のなかの革命(一九六四~一九七〇年)
アジェンデ政権の誕生―チリ、社会主義への道(一九七〇年) ほか)
第2部 証言集(オリビア・サソ・ガンボア;イネリア・エルモシージャ;アナ・サエス;ドリス・メニコーニ・ロルカ;フリア・ガルターノ・エスコバール ほか)
著者等紹介
中王子聖[ナカオウジキヨシ]
1967年静岡県生まれ。関西大学社会学部卒業後、ペルーとメキシコで日本語教師に。その後、筑波大学大学院修士課程を終え、2001年より京都大学大学院に在籍し、精神医学と精神分析学の知見に基づき、人類学的立場から研究を進めている
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