出版社内容情報
フランスで高い評価を受けた著書『カミュの作品における沈黙』の日本語訳に、書き下ろしの「『最後の人間』沈黙の物語」を加えたカミュ論。アルベール・カミュ作品における沈黙のあらゆる諸相を分析し、作家の全貌に迫った異色の評論集。
「三野氏は、おそらく、アルベール・カミュの『かたくなな沈黙』をいくらか共有していたのだ。彼は、いずれにせよ、『真の芸術作品は(…)本質的にもっとも少なく語るものであり』、声高に叫ぶかわりにそっと耳を傾けさせるものであり、『高い堤防』によってみずからを取り巻くものであるという確信において、カミュとあい通じていたのである。彼は、自分のものである日本の文化のおかげで、かくも慎み深い芸術家と特権的な関係を結ぶことができたのだと、私は思った。」(ポール・ヴィアラネー・クレルモン=フェラン大学名誉教授)
内容説明
アルベール・カミュ作品における沈黙のあらゆる諸相を分析し、作家の全貌に迫った異色の評論集。
目次
第1章 母親の沈黙
第2章 自然の沈黙
第3章 沈黙の桎梏
第4章 神の沈黙
第5章 災禍のなかの沈黙
第6章 沈黙の時代
第7章 ことばの転落
第8章 沈黙への回帰
第9章 証言
付論 『最初の人間』沈黙の物語