出版社内容情報
宮廷画を通してスペインの歴史を語る独特の著作第3弾。イサベル女王の娘にしてカール五世の母。夫の死後、29歳から75歳の死まで幽閉され「狂女」と呼ばれた女王の真相。
内容説明
イサベル女王の娘にして、神聖ローマ皇帝カール5世の母…。「狂女」と呼ばれ、「女王」でありながら46年間の幽閉生活を送ったフアナの歴史的真相。
目次
第1章 フアナ誕生
第2章 フアナの結婚・ふたつの宮廷
第3章 王位はフアナに
第4章 イサベル女王の死
第5章 フェリペの身に何が
第6章 フアナ伝説
第7章 到達点
第8章 忘れ去られた日々
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Nat
26
前から興味があって購入したが、何となく読み進められずに積読本になっていた。思い切って読み始めると、中々面白く読めた。元々聡明だったフアナが、結婚を契機に周囲の思惑などに翻弄されて別人の様になってしまう。兄のフアン王子が早逝しなかったら、また、母のイサベルや夫のフェリペ美公がもう少し長く生きていたら、もしかしたら少し運命が変わっていただろうか。祖母が狂気により幽閉されていたことから、元々センシティブな気質をもっていたのかもしれない。文体が気になったが、系図や地図やコラムなどがあったのは良かった。2024/11/10
遊未
5
この時代のスペインについては、レコンキスタによりムスリムとユダヤ人が追放されたこと、新大陸のこと、王位継承のこと、全てが今日のスペイン、あるいはイベリア半島に繋がっています。経済という分野はキリスト教では認められなかった分野でした。そして、成長した娘は短期間のうちに人生も価値観も全く異なってしまい、夢中になっている男は・・・とこのまま今も起きている問題です。2015/09/09
ねこまる
4
ファナ様は狂っていたのかも知れない。でも当時にあっては、長生きしているので、幽閉生活が身体的には悪くは無かったのか?歴史なんてしょせんは、勝ち組に都合のいいことを書き連ねたもの。都合の悪いことが事実っぽい、何てことを考えるのは、楽しい。ひとつ発見があった。当時の埋葬は、エジプトばりに色々処理をしていた事。そのままじゃ腐敗臭が強すぎて、棺桶運べないよ〜と悩んでいたので、ナルホドね。2016/04/12
ゆめどら
4
美しいが弱い一人の女の生き様。彼女の母にして偉大なる女王、イサベルが好きなもので、母娘の諍いエピソードに関してはどうしても母のほうに肩入れしてしまう。2012/12/10
ぺるる
3
フェリペ二世と併せ再読。好きな時代なので楽しく読んだ。国別の系図も便利。教皇や他国王室とのエピソードも多く、横の繋がりがよく分かる。こうして繋がると歴史はどんどん面白くなる。 著者が所縁の地を訪ねて感動する様子がコラムで載っており、フアナ愛が伝わってくる。道理で本書は歴史書というより物語風で、作者の創作も入っていそうだ。 語尾が「〜なんです、〜したんです」連発なのが少々気になった。また、一箇所カルロス五世となっていたのにビックリ。カルロス一世=カール五世とは別人なので、そこは気をつけて欲しい。2017/09/10
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- 和書
- 遺言未満、 集英社文庫