出版社内容情報
◆収録作品◆
解説──モデルニズモから魔術的レアリズモまで(野々山真輝帆)
●降誕祭の宴(ルベン・ダリオ)
●聖夜のできごと(ルベン・ダリオ)
●落ちた天使(アマード・ネルボ)
●玉を懐いて(アマード・ネルボ)
●客人( ラファエル・バレット)
●「ブランカ農園」(クレメンテ・パルマ)
●息子(オラシオ・キロガ)
●流されて(オラシオ・キロガ)
●日射病 (オラシオ・キロガ)
●日曜日の授業(フェルナンド・テリェス)
●鏡(マルタ・ブルネット)
●夢(フアン・カルロス・オネッティ)
●ポイント操作係(フアン・ホセ・アレオラ)
内容説明
ボルヘス、マルケスはモデルニズモから生まれた…豊穣なラテンアメリカ文学の生成と発展、多面的な文学空間への招待。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
maja
14
真夏の炎天下、父親の視界は熱気で揺らぐ。続くはずの息子との生活は妄想となって父親を覆う。父の姿が悲しいオラシオ・キロガ「息子」。破産した興行主兼演出家のもとに不思議な女性が自作の上演を依頼してくる。落ちぶれた男優とともに彼女は用意してきてこの奇妙な戯曲を演じるが・・。細部にこだわる依頼主の公演とは。ファン・カルロス・オネッティ「夢がかなう」。どうしてもそこに向かいたいという、汽車に乗りたいという他国の男に駅員風の男は不可思議な応答をし始めるファン・ホセ・アレオラ「ポイント操作係」などがよかった。2023/05/07
秋色の服(旧カットマン)
3
<魔法現実>って何よ、と思って、こっそり読みますた。フアン・カルロス・オネッティ(1909−94年)の「夢がかなう」が特に面白かった。不思議な依頼主が持ち込んだ自作自演の芝居の企画を受けたダメ演出家の呑んだくれ俳優。過去を取り戻す夢をかなえる。夢を現実にする、夢のようなお話。それは演劇人にとっても夢のような舞台であった。いろいろな意味で。死という悪<夢>の結末をみたわけで。2017/11/11
yugamiyousai
3
寺尾隆吉『魔術的リアリズム』で「ペドロ・パラモ」と並ぶ重要な作品として紹介されていたアレオラの「転轍手」が「ポイント操作係」というタイトルで本書に収蔵されていると知り手に取りました。…コルタサルの「南部高速道路」とほぼ同じ話でしたね(あれはフランスの話でしたっけ?)。要は舞台を低開発国にさえすれば文明の歪さが際立って題材が高速道路でも国鉄でも何でもマジックリアリズムになるのでは、と。他の短編ではキローガ先生の三編の殺伐っぷりが強く印象に残りましたが、ストイック過ぎて他の作家の座り心地を悪くしているような。2013/05/25