内容説明
ロシアの歴史を動かした英雄や姫君、その足跡を今にとどめる古い都、そして、町で、森で、生き続ける民衆の生活と信仰。ロシア各地を訪れた体験と、長年の研究成果を、滋味あふれる文章でつづる興味津々の歴史紀行。
目次
1 歴史の中の人びと
2 古都めぐり
3 フォークロアをたずねて
4 人びとの暮らし
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
うぼん
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ロシア中世文学の専門家による、ロシアの歴史・地誌・民話・暮らしに関わるエッセイ。刊行はペレストロイカ後。ロシア(ルーシ)という国体がウクライナ発祥であることの心的複合、ロシア人の樹木信仰、北方の森林地帯への郷愁、地方都市にしか遺されなかった歴史文化への憧憬等、どの話も興味深い。市民大学講座の余談を聴いているような楽しさ心地よさがある。特に第二章「古都めぐり」で訪れるノヴゴロドやヤロスラヴリの旅行記が美しい。街の歴史語りは全く蘊蓄臭くなく、出会う人々の饗しは素朴で人懐っこい。ずっと読んでいたくなる本だった。2024/01/10