内容説明
超絶的なロマン主義者の理想もやがて歴史の中に組み込まれ、多元主義的に展開していく。19世紀アメリカの作家たちの肖像を、新しい市場社会との関わりで描き出す本書は、彼らの果たす知的オデッセイとしての役割を浮き彫りにする。アメリカ文化を歴史的に統合して理解しようとする者にとって待望の翻訳書。
目次
1 エマソン―つきまとう商品
2 『ウォールデン』と「商売の呪い」
3 ホーソーン、メルヴィルと民主的大衆
4 市場で語る―『緋文字』論
5 芸術家と市場―『七破風の館』論
6 首を売る―『モビー・ディック』論
7 「書記バートルビー」と経済の転換
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Ecriture
9
80年代以降のアメリカ文学批評は「軸を取りつつ十分に目配せすること」を目指すようになったが、本書は「軸の取り方」を刷新した名著である。市場経済に愛憎半ばする思いを抱えていたロマン派作家像を浮き彫りにし、150年近くにわたって蓄積されてきた研究をさらりと塗り替えていく。ドゥルーズやアガンベンのバートルビーよりも断然ギルモアのバートルビー。この本はマシーセンやチェイスらの代表作と並んでアメリカ文学批評の読まれるべき古典ランキングのトップ10に入れていいんじゃないかと思う。2011/01/05
MsFuji
0
「心臓を貫かれて」のマイケルギルモアかと思った。 内容はちょっと難しかった。文学部とかではなく、ただの本好きの僕にはヘビーだ。2011/05/25