出版社内容情報
1936年2月26日の雪の積もった朝、目の前で父が凶弾に倒れるのを見た9歳の少女がたどった半生のものがたり。後に彼女は修道者となり、岡山の地で女子教育に全霊を注ぎます。9歳の少女とは後の渡辺和子ノートルダム清心学園理事長、その人です。
「神は決してあなたの力に余る試練は与えない」。どんなに苦しい時でもキリストの言葉を信じて生きてきた渡辺理事長が紡ぐ言葉は、困難に面したとき、悩みで人生の指針を失ったときこそより心に響きます。
本書は、山陽新聞朝刊で「強く、しなやかに 渡辺和子と戦後70年」と題し、2015年2月26日から同年11月29日まで朝刊に連載した企画の単行本化。本にまとめるにあたり、ノートルダム清心女子大学学報「Bulletin」に渡辺和子理事長が綴った随想20本も併せて収録しました。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
それいゆ
67
これまでは断片的な知識しかなかった渡辺和子さんの生い立ちを初めて知ることができました。二・二六事件、ノートルダム清心女子大学長就任、マザー・テレサ来岡時の通訳などの個々の出来事が一つにつながって渡辺さんがより身近になってきました。皇后美智子さまとの出会いの話を読んでいるときにふと感じましたが、写真を見ると若い頃の渡辺さんと美智子さまは雰囲気がよく似ていますね。2016/07/17
つたじゅん
8
置かれた場所で咲きなさい、の由来とか壮絶な生きざまが詳しく書かれていてよかった。最後のほうの学校向けのエッセイも心にしみる。2017/06/13
しびぞう
4
感動の読了を迎えるかと思いきやそれを阻んだのは巻末にあった渡辺氏ご本人が書いた文章だった。「人だけが特別」という考えが私はどうしても苦手で、例えば、動物は人が理解できる意思疎通の方法を持っていないから言葉を持たないなどとはどうしても考えられないでいる。同じような、というか、遺伝子の配列が違うだけで体を構成している物質が同じである動物と人間の不平等は許され、人間のみ平等に扱うべきみたいな考え方も受け入れられない。ためになる本ではあったが、共感はできなかった。2016/05/13
Butterfly
1
何かを出来る幸せを、改めて感じた。2019/06/03
コギー
0
三度目の再読。「目に見えない大切なもの」ということが、近年では失念されがちになってしまっている。その成れの果てが、日本の政治であり、首相を始めとした日本の政治家が手がける外交であり、安全保障政策であり、教育や治安の政策である。そうして、日本はどんどん、世界の中で取り残されてしまっている。陸軍大将や教育総監まで勤め上げ、陸軍の幹部でありながら反戦を説いた渡辺の父、錠太郎が遺したものが失われぬよう、渡辺にはまだ、元気でいてほしかった。2020/06/26
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