内容説明
戦後の名画蒐集、民芸の人々との交流。絵画盗難事件、そして“大原ルネサンス”の礎を築いた大原総一郎の素顔…。半世紀をともに歩んだ藤田前館長がいま語る大原美術館とっておきの話。
目次
第1章 大原ルネサンスへの道
第2章 拡大する美術館
第3章 蒐集にまつわるエピソード
第4章 二つのハプニング―絵画盗難事件
第5章 二十一世紀へのメッセージ
画商・山本孝さんとの対談
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はまだ
40
じゅうたんは、端までぴったりと敷き詰められているのではなく、少し、たゆんでいるのかと思えるくらい手作り感があった。額はそれほど高いシロモノではなく、丁寧に磨きあげられてもない。光に工夫はなくて、どこか屋根裏のような質感の部屋。そこにかかる数々の名画。ほかの美術館より、絵と絵の間隔が、立て込んでいて、とても、めうつりする。はばひろい圧倒。すこしあとずさる。えええっとつぶやく。くりかえし。そんな美術館である大原美術館の背骨を書いたような本。絵が好きな人はぜひ。楽しかった。また行くよねこれ必ず。★42018/03/01
mayumi225
19
初めて訪れた大原美術館の素晴らしさに興奮冷めやらず,売店で購入して一気読み。今日見たばかりの絵について,蒐集時のエピソードを前館長が語ってくれる。あのヴュイヤールは盗難されて戻ってきたんだ,とか,あのヴラマンクは画商の子供部屋にかかってたんだ,とか,二代目大原総一郎もアカデミックは嫌いなんだ,とか,大原vs石橋(ブリヂストン)の蒐集争いとか・・。これだけの絵を見出して集めて守って見せてくれて,感謝しかないです。旅の最終目的地に大原美術館を選んで正解だった。気持ちが晴れて仕方ない。困ったなぁ,次いつ行こう。2017/09/30
マル
6
日本で好きな美術館の一つであるここ。 どの様な考えで作られていったか、どの様に美術品が集められていったかが良く分かる。工芸品のコーナーは何?と思っていたがそんな歴史があったとは。 同時に、他の美術館の話も垣間見れて楽しい。 2019/12/21
槙
2
2代目館長であった著者が大原美術館50年の歩みをまとめたもの。この本だけ読むと???という感じだが、昨年実際に大原美術館を訪れ、お気に入り作品の鑑賞メモをとってた身からすると、それらの購入エピソードや評価を知ることができて楽しい。ガイドが話していた盗難エピソードにも触れられていて、田舎ゆえののんびりとした空気みたいなのも感じ取れる。画商との対談で、大原 vs 石橋 の作品購入におけるライバル関係があったという記述は興味深かった。アーティゾン美術館にもそのうち行ってみたい。2020/02/27