内容説明
食文化論は至って盛んだが、良い刃物のすばらしい切れ味が問題になることはきわめて少ない。食物の味が文化であれば、はさみの切れ味もまた文化である。私たちは、これまでにも、たくさんの文化遺産といえるすばらしい物を次々と失ってきた。時代の流れとともに、新しいものが生まれ、古い良いものが消える。そうした新陳代謝が起きることは避けがたいが、良質のはさみや刃物類の切れ味がなくなることは非常に耐え難い。
目次
文具ばさみ
ザ・鋏―その美と機能を極める
よい鋏を使うことが文化を創造する
子供たちに必要なのはファミコンよりも鋭い刃物
生命を救う鋏―極微の手術を支える手術用鋏の切れ味
握りばさみの世界〔ほか〕