目次
第1章 和を以て貴しと為す(和は政治に役だつ;生きている神道)
第2章 ムラが近代的和社会の原形である(生きて行くためにも必要な倫理・道徳;自由と平等)
第3章 和の原理(和は正義をこえる;忠誠心;否定される個性;和に堕したとき;和の倫理;イデオロギーとしての和)
第4章 和の成立と機能(和の成立と和を支えるもの;和の機能)
第5章 社会の再生産過程(教育は社会の再生産を目標とする;「いじめ」問題は存在しない)
第6章 政治と決定(祭事としての会議;理性的論争のない決定)
第7章 和の陰に(和を拒否された人びと;和さない者)
第8章 「おおらかさ」を求めて(国家神道―最悪の習合形態;個人主義;自らそなわる品位と威厳)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぼけみあん@ARIA6人娘さんが好き
1
著者は、日本人の社会に和の精神が古来よりいかに深い影響を与えて来たかを指摘し、外国でも和は理想だけど、そもそも「和集団」の形成が難しく、日本のように所与として与えられてはいるわけではないと言う。それが日本人の問題点でもあるので、和をよいものとばかり捉えないところが本書の優れたところだ。「和のイデオロギー」という捉え方もなかなか秀逸だし、また、和集団では友情は成立しないとの指摘は鋭い。それは、著者の言う和集団が機能集団だからだ。20年以上前の本なので古さは否めないが、日本人論としても悪くない内容だと思う。2012/06/17