内容説明
東大で開催され大反響を呼んだシンポジウムの成果がここに!歴史上、天皇の存在はいかに位置づけられ、継承の法式はいかに変化したのか。また天皇自身、政治や社会の変化にいかに対応しようとしたのか。この「問い」に、通史的・世界史的観点から総力をかけて迫る。
目次
1 譲位の誕生と幼帝の出現―古代の天皇
2 譲位の制度化と中断―中世の天皇
3 朝幕関係と皇位継承―近世の天皇
4 二つの憲法と皇位継承―近代の天皇
5 アジアの君主とその表徴
6 ヨーロッパの王政と王位継承
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
9
各時代の皇位継承と、参考事例として海外の君位継承についてまとめた論集。藤田覚論考の、短命の天皇が相次ぐなど、意外に近世の皇位継承が順調に行われず、それが女帝後桜町天皇の即位につながったということや、皇位継承から改元までは1~2年の間が空くのがままあったという指摘を興味深く読んだ。また河西秀哉論考が戦後の退位論を追っているのも面白い。2019/03/07
Toska
7
天皇制のセールスポイントにして泣き所でもある「継承」という要素に的を絞った論集。中国の王朝にはない生前譲位、女帝、幼帝+摂政、「家職」の観念などが日本の王権ならではの特色か。本書は昭仁天皇の退位宣言をきっかけに編まれたもので、改めて重大な歴史的イベントだったのだと感じる。本来なら、この辺りについて深く突っ込んだ研究がもっとたくさん現れてもよかったはずなのだが、いつの間にかブームも過ぎ去ってしまった…2023/03/05
秋津
3
古代から近現代までの歴史だけでなく、アジやとヨーロッパの君主制の比較も含め、非常に広い視点から「天皇とは」について論じられている。譲位(退位)や女帝、天皇の意思など、現代においても通用する(課題となる)天皇・皇室を巡る様々な事例に対し、その時々の人々がどのように向き合ったか学ぶことができた。新田論考における「家」の考察、加藤論考における天皇と軍の関係に係る問題提起、河西論考における戦後の昭和天皇退位論の持つ意味合いの変化と象徴天皇の在り方に係る考察を特に興味深く読んだ。2019/04/02
takao
2
ふむ2024/09/17