内容説明
戦争に抗し刻まれた愛と死の輪郭。二度の大戦で息子と孫を失った女性画家―その生涯を描く力作評伝。
目次
画家をめざして―自由の風
『織工たちの蜂起』―連なっていく記憶
『農民戦争』―主題と技法の追求
貧しい人びとの素描―表現主義運動の渦中で
ペーターの戦死―一九一四年十月
カール・リープクネヒト追憶像―悲しみの転換
ポスターの制作―「人民の代弁者」
木版画連作『戦争』―「苦しみは真暗闇だ」
国境を越えて―スメドレーと魯迅
記念碑“父と母”の像―平和の追求
最後の連作『死』―ナチス支配の時代
種を粉に挽いてはならない―孤独と希望と
エピローグ 励まし―日本の人びと
著者等紹介
志真斗美恵[シマトミエ]
1948年、千葉県生まれ。ドイツ文学専攻。出版社勤務の後、大学でドイツ語を教える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どんぐり
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ドイツで生涯をかけて反戦・平和のために歩んできた画家ケーテ・コルヴィッツ(1867-1945)の生涯を線描する学術書。文章はややおもしろさに欠けるが、人となりを知るには読んで損はない。若桑みどりが、その著書『ケーテ・コルヴィッツ』で「彼女は生命を産み出すものとして自分を位置づけ、その立場から戦争を告発したただ一人の画家であった」と指摘しているように、ケーテ・コルヴィッツは、息子を亡くした母親の立場から戦争を追及し、木版画連作『戦争』に「戦争を造形」し、告発した。その絵は、子を失う母親の悲しみと同時に子ども2014/07/31