内容説明
モネが描いた「囲む」構図による駅。ゴッホの気持ちと合った「反対色」の効果。広重の描いた「領地」で表す日本橋の威厳。名画の謎を解く20のメソッド。
目次
構図の基本(中心型;囲む型 ほか)
画面要素の基本(三景;マチエール―マチエールは心の深くから生まれる ほか)
配色の基本(トーン―明色はかげりのない陽気さを表す;バルール―バルールが合い画面に緊張感がある ほか)
視覚スケール―意識下の感情を翻訳する
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
trazom
106
「人物画の基本」に続く内田広由紀さんによる「風景画の基本」。いつも視覚デザイン研究所の美術本は、私のような素人でも分かったような気にさせてくれる。本書でも、構図/遠近法/画面要素(視点他)/配色など風景画の基本事項が、具体的な作品を示して説明されている。「画家は、構図やモチーフは変化するが、マチエールは生涯変わらない」など、さり気なく添えられたコメントも興味深い。ユトリロが頻度高く登場する。ユトリロは、デッサンは崩れているのに、トーンの温かさやリピートの面白さなど風景画の魅力を凝縮しているのかもしれない。2023/06/02
kaz
1
名画のどこに魅力があるのかは、よくわかる。図版があまりにも小さいのが残念。図書館の内容紹介は『風景画の巨匠に、構図・画面要素・配色の極意を学ぼう! ブリューゲル「バベルの塔」、歌川広重「東海道五拾三次」、ユトリロ「モンマルトルの三つの風車」などを題材に、画家目線の分析で真の傑作誕生の仕掛けに迫る』。 2024/07/03
お抹茶
1
名作を少し加工した「凡庸な」絵を並べることで,名作を名作たらしめる技術が浮かびがってくる。説得力のある構成。風景画が好きな人なら,絵画技術を知らなくても十分楽しめる。構図や配色の違いで絵の迫力が大きく変わる。葛飾北斎の赤富士は,中心から少しずれていることで,華やかさや力強さを保ちつつも,威圧感を消している。樹木などで四方を囲めば,安心感のある内向的な気分が表れる。ローアングルは見る人の心に深く迫る内向的な視点。ユトリロ「雪のサン・リュスティック通り」は,灰色の重苦しいトーンに点在する明るい色がアクセント。2023/09/21