内容説明
すみきった夜気をふるわす天使の合唱、星をしるべに馬小屋をたずねあてた羊飼いや賢者たちの話は、牧歌的な美しいクリスマスを連想させる。しかしほんとのクリスマスは、ローマの圧政のもと、町はずれのかいば桶を産所とする、ヘロデ王の幼児虐殺の手も迫ってくる、暗い陰に彩られていた。ところがその暗さ、本来のクリスマスの暗さは、人々に深くいい知れぬ慰めと希望をもたらすのである。『クリスマスの短編』はわれわれの世紀末の現実のなかで、今、現に、この力がどのようにその慰めと希望を人々にもたらすかを描いて、見事である。
著者等紹介
中村妙子[ナカムラタエコ]
1923年東京に生まれる。1954年東京大学文学部西洋史学科卒業、翻訳家、津田塾大学講師、訳者
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