内容説明
聖書を読んで、だれもが首をひねる問題の一つは、神が選民イスラエルにカナンの先住民を滅ぼさせた真の目的はなんだったかということだろう。著者クレイギは、本書の冒頭で、ベトナム戦争のときに報告された類似の虐殺事件は、戦争犯罪として裁かれることとなったといって、この問題をいまこそ真剣に考えるべきであると訴える。そして、聖書学者であるが、著者は学際的方法で広範な知識を駆使、従来あいまいさを残しがちであった死角を一つ一つ埋め、旧約聖書の教えが、戦争の問題を含め、平和の君なる救い主イエス・キリストの教えに道を備えるものであることを、きわめて明確にしてくれる。
目次
戦争の現代的課題と旧約聖書
旧約聖書の遺産としての戦争
戦士としての神
「聖」戦の問題
殺人の禁止
戦争と国家
戦争における敗北の意味
旧約聖書と平和
おわりに
さらなる研究のために
補遺 古代オリエントにおける戦争と宗教