内容説明
激しく揺れ動く世界と、巨大な歴史のうねりを、その中に生きる一人ひとりの人間の喜び、不安、勇気、生そして死を通して描いたアーニー・パイル。つねに前線の兵士と行動を共にし、“タコ壼”から「戦争とは何か」を問い続けたアーニー・パイル。ピュリッツァー賞に輝く記事を中心に編み直されたパイルのベストコラムに、スタッズ・ターケルの序文を付した第一級の読み物。
目次
英国
北アフリカ
シチリア
イタリア
フランス
太平洋戦争
アーニー・パイル略歴
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
schole
2
WW2中にアメリカの従軍記者として活躍し、その一部をまとめたもの。1940年のイギリスから銃に倒れる終戦数か月前の沖縄まで、戦いの前線で兵士たちと生活を共にし、本国に生の声を伝えた。パイルはいわゆる素人の兵が経験を積んでやがて敵を殺戮することに何も感じなくなっていく姿を記す。「銃後にいる方たちはお分かりにならないだろうが」と前置きをして、敵を排除することが戦争を終わらせることなのだ、という(武器を放棄するのではなく)。戦いがない時には普通の男であることもまた書かれ、正義のために戦う不条理さを感じる。2015/09/16
Ted
0
'90年1月刊。◎欧州戦線から沖縄で戦死するまでに新聞に掲載されたコラム集。ノルマンディー上陸作戦ではキャパとも行動を共にしている。某映画の冒頭シーンは間違いなくこのルポを意識している。ドイツ戦線の記事で一躍有名になり国民的従軍記者のような存在となったがその結果、今度は海軍の強い要望で本人は望んでもいないのに太平洋戦線へ赴くことになる。沖縄行きはわざわざ死にに行ったに等しくパイルも半ば予感していたらしいがそれに抗えないのが運命の皮肉。記事は素晴しいのだが日本人が虫けら扱いされている描写が何とも不快。2022/05/22