内容説明
夭折の美術作家・須藤康花の作品のうち、晩年に制作された難解な銅版画に焦点をあて、その作品世界を読み解く。モチーフとなった内外の文学作品、美術作品をたどり、生死の際の美学をつきつめる。カラー図版多数収録。
目次
カラー図版 須藤康花銅版画作品・選
「嘔吐」―自己否定を超えるために
「変身」―愚かさは生一本で正直者だ
「悪夢」―夢の持つ芳香性に誘われて
「昇華」―理屈より衝動こそ大きな原動力
「白夜」「流転」―郷愁を語り描くのは「論理より愛」
「輪廻」―生と死を生きる
「闇歌」―ピアフと詩「鎮魂歌」とバッハ・チェロ組曲
「光の記憶」―失われた時を求めて
「静火」「響」「夜行」―カラマーゾフの兄弟たち
「崩壊前夜」―生と死の衝動が衝突する中で
「彼方」「悠遠」「月光」―空想の帝国はこの世に存在する唯一の彼岸の世界
「夜」「幻葬」生しか描けぬことに疑問を抱いて
「甦生」「抱懐」死してなお生きる
観念を描く人が芸術家と信じて
〈参考〉連作デッサン「黒い絵」