内容説明
如月小春・永井愛に先駆けて小劇場演劇の最前線を駆け抜けた岸田理生。その岸田の出発点ともなった「幻の初期作品」2本を収録。誰よりも深く日本を射抜いた女流。岸田理生追悼戯曲集第1弾。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mark.jr
4
「身毒丸」などの作品を寺山修司と共同で制作した作家の戯曲集。その土俗的な幻想風景は寺山修司譲りながらも、ストーリーの核に女性の業や受難があるのが個性になっています。2023/10/17
島
0
おそらく再読。しかし、だいぶ忘れていた。戯曲じたい読むのは久しぶりで、小説とも詩ともちがう言葉の使い方になつかしさを感じた。収録されていた戯曲はふたつ。表題である「捨子物語」と「火學お七」。どちらも娼家の娼婦たちがメインに繰り広げられる。「捨子物語」は父親の面影を追い続ける娼婦のはなしで、記憶のなかの父親に大正天皇のイメージが重ねられながら進む。登場する狂人たちも、ゆっくりと「大正天皇」になっていくのが面白かった。「火學お七」は八百屋お七を下敷きにして、火事ではぐれた男を探す娼婦のはなしだった。2015/08/21