内容説明
小説『バラの名前』『フーコーの振り子』のミリオンセラーで著名なウンベルト・エコは、本職の記号論の世界でも、長年にわたり革新的・生産的な論理を展開し、常に国際学界をリードしてきた。本書では、サンパウロ大学の講議録がもとになっているだけに、記号論・意味論・テクスト論が新しい観点から一般読者に判り易く提示されている。
目次
第1章 記号。記号の機能
第2章 解釈項
第3章 意味部門の構造、および意味素分析
第4章 成分分析のモデル
第5章 意味論モデルの練り直し―意味論的百科事典の概念
第6章 モデル“Q”と無限の記号過程
第7章 形態意味素からテクストへ
第8章 テクスト内容の現働化
付録(『パリならではの通俗劇』;『テンプル騎士団員たち』)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
5
パースの記号論とイエレムスレウの形態意味論を統合し、構造意味論の階層構造を紹介した本書は、著者の記号論に関する専門的な著作に関するダイジェストのようだ。換喩と提喩の区別の曖昧さについては、アルファンス・アレーのコメディで考察し、ソシュールの経済学からヒントを得たシニフィアン/シニフィエ概念につきまとう誤解については、カントをベースとしたパースの直接的対象/力動的対象の区別を念頭に概説される。無限の記号過程にあるテクストを意味論的百科事典に譬える本書を読むと、サイバー空間での記号論の可能性が垣間見えてくる。2019/01/20
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