こどもと出会い別れるまで―希望の家族学

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こどもと出会い別れるまで―希望の家族学

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  • サイズ B6判/ページ数 2冊/高さ 20cm
  • 商品コード 9784880491332
  • NDC分類 367.3
  • Cコード C0036

出版社内容情報

ぜひ、親としての大人に、また、子どもと関わる人々に、そしてできれば子どもたちにも、読んでほしいと願っています。とりわけいま、家族の問題と直面している人々、家族のことで悩んでいる人々が、問題から脱出する糸口をこの本から見つけ出していただけるなら、本望です。(石川憲彦)

はじめに   1

第1話 まもる家族   13
人間は弱さを抱えた存在だから、たがいに守りあうために「家族」が生まれた

白血病の女の子とおばあちゃん   14
守ろうとして失われたもの   17
「公園デビュー」に身構えて   20
三人のお母さんの意見   22
「親が原因」という空気   27
統計の嘘   32
わが子の最期のことばで悟ったこと   36
「家」という囲い   40
魔法が起きるとき   41
1+1の答えは2だけじゃない   47
一直線に進むという幻想   50
弱さを引き受けあっていく   53

第2話 はぐくむ家族   55
育つとは、混沌とした循環系のなかに生き、周囲とともに変化していく過程

海の記憶   56
懐かしい「おうちの匂い」  60
嗅覚と「許す」という感覚   63
「見る」というのは、「区別し」「選別する」こと  64
親がこどもを見失うとき   69
「早く・ちゃんと・きちんと」では命は育たない   75
学校に行かない子に大人があわてるわけ   78
16歳の少女の叫び   82
体臭を消そうとする若者   88
チックの少年の恐れと怒り   91
見張りあう社会 44

 家族というものをイメージしたとき、まっさきに頭のなかに浮かぶ光景があります。
 20年近く前、私は障害をもつこどもたちが暮らす、ヨーロッパのいくつかの施設を見学して歩いていました。ある日の夕方、旧ユーゴスラビアの海辺の町を散歩していると、浜辺に停めた1台のキャンピングカーの横で、食事をしているドイツ人の家族と出会いました。父親と母親、そして学齢期に達していそうな2人の姉妹。聞けば9歳と8歳だといいます。
 あれ、学校はお休みのシーズンでもないのに、と興味をひかれてたずねると、2人の入学を延期して家族で世界一周旅行をしている途中だ、とお父さんは答えました。
 こどもたちはもう、学校へ行く年齢になってしまった。この地球上でせっかく家族として出会ったのに、学校へ行ったら今までのようにこどもと自由にすごせない。それが悔しいから、こどもたちを学校へやる前にキャンピングカーを買って世界旅行に出発したとのこと。
 特別、裕福な家庭ということではないようでした。お金が尽きたらそこでストップするつもりで、そのためにお父さんとお母さんは仕事もやめてきたといいます。
 おどろいている私に、彼らは夕食の席を用意してくれましの家族観が新鮮に響いたのでしょう。
(「はじめに」より一部抜粋)

目次

第1巻(まもる家族―人間は弱さを抱えた存在だから、たがいに守りあうために「家族」が生まれた;はぐくむ家族―育つとは、混沌とした循環系のなかに生き、周囲とともに変化していく過程;わかつ家族―別れるということは出会い、それも痛みをはらんで出会っていくこと)
第2巻(家族が呼び出すもの―まえおき;「戒律」―混乱にまとまりを与える、いにしえよりの掟;家族療法―崩壊の時代に脚光を浴びた家族をめぐる理論;「殺戮」―事件、テロ、戦争、ふたたび呼び出された私;「希望」―人間はいつも、見失い、破滅し、再生する)

著者等紹介

石川憲彦[イシカワノリヒコ]
1946年、神戸生まれ。73年、東京大学医学部卒業。小児科医・精神科医として主に東大病院で臨床を重ね、そのかたわら障害児や親たちと“医療と教育を考える会”を結成し、活動を続ける。94年よりマルタ大学で2年間研究生活をすごし、現在、静岡大学保健管理センター所長。『ちいさい・おおきい』編集委員
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感想・レビュー

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ポンちゃん

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人は、自分の弱さを受け入れ、破滅して、再生することを繰り返す。人間ひとりひとりの問題を、家族の中にすべてを押し込めて考えるのではなく、社会、風土の中で捉えていく2014/07/15

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