内容説明
地方分権推進委員会によって推進された地方分権改革は、しばしば「第一次分権改革」ないしは「未完の分権改革」であると総括される。問題は、「未完」の中身である。委員会最終報告では、「分権改革の更なる飛躍を展望して」、「地方財政秩序の再構築」、「地方公共団体の事務に対する法令による義務付け・枠付け等の緩和」、「地方分権や市町村の合併の推進を踏まえた新たな地方自治の仕組みに関する検討」、「事務事業の移譲」、「制度規制の緩和と住民自治の拡充方策」、そして「『地方自治の本旨』の具体化」が今後の改革課題として掲げられていた。本書は、この最終報告が言うところの「憲法第八章第九二条の『地方自治の本旨』の内容を具体化し、分権型社会の制度保障を確固たるものにする方策を構想する」ものとなっているのかどうかの視点から、最近の地方自治制度再編論(地方分権改革推進会議および第二七次地方制度調査会などの議論)を分析・検討するものである。
目次
第1章 地方自治制度をめぐる「改革」の論理と憲法の原理
第2章 憲法と組織自治権の保障
第3章 補完性原理と「地方自治の本旨」
第4章 自治体内分権と地域社会
第5章 広域自治体論
第6章 地方自治制度改革の歴史―諸審議会答申に見る地方自治制度改革案
第7章 地方自治制度改革の歴史的課題
第8章 地方自治制度改革の政治パラダイム―地方分権・合併からマクロ制度改革へ
著者等紹介
白藤博行[シラフジヒロユキ]
専修大学法学部教授
山田公平[ヤマダコウヘイ]
名古屋大学名誉教授
加茂利男[カモトシオ]
大阪市立大学大学院教授
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