内容説明
唐の都洛陽の西の門の下に、ぼんやり空をあおいでいる、一人の若者がありました。若者は名を杜子春といって、もとは金持ちの息子でしたが、今は財産をつかいつくして、その日の暮らしにも困るくらい、あわれな身分になっているのです。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
44
娘さん、杜子春デビュー。母も久々に芥川節を読みました。いや、声に出すのは初めてかも。「お母さん」をお母さんが読むのは少し照れ臭いものですねえ…。2023/06/09
ntahima
40
日本語授業の音読教材。前に読んだのはいつの頃だろうか。学生の反応は「杜子春の人生を弄ぶ鉄冠子仙人が嫌い!」、「最後に田舎の小さな家を貰ってもしかたがない!!」等など。確かに、そう言われればそうだね。(笑)個人的には一面桃の花咲く泰山の麓にある一軒家と畑のイラストが気に入った。インターネットと酒があれば晴読雨読の日々も悪くないと思うと答えておいた。『水準別 日本語 多読 ライブラリー 杜子春』より2010/07/25
ヒラP@ehon.gohon
27
莫大な富を、杜子春はどうして活かせないのか、厳しい試練のなかで、どうしてそこまで耐えられたのか、どちらも極めて人間的ではないと思うのですが、最後には人間らしく生きたいと悟る杜子春に考えさせられました。とても哲学的なテイストです。2020/12/06
myunclek
25
小さい頃感激した思いが忘れられずにいました。新たに読むと、恐ろしげな地獄の様子や愛情溢れた親の気持ちに心が揺さぶられたんだろうなって冷静に思えます。そんな子供の頃の一途な思いが懐かしくあると共に、すっかり大人の目になってしまった自分に幻滅^_^2014/12/05
紅花
14
私の好きなお話。難しい言葉遣い、特に峨眉山の場面は難しい表現が多いけど、絵にかなり迫力と、ちょっと怖い物見たさ的な雰囲気も重なって、子どもたち吸い込まれていく。2017/04/20