内容説明
熊野山村の盛衰―。死者と生者が寄り添って生きる山の日常―。古道を踏むといつしか出会う異形の世界。巡礼路にある善根宿を営むおえん。那智の近くの山中の集落を廻る山の郵便脚夫岩次郎。栗の壺杓子屋晃太郎。修験者の最後の宿坊を守る五郎。力作中篇の4作。民俗伝奇小説集第4弾!
著者等紹介
宇江敏勝[ウエトシカツ]
1937年三重県尾鷲市の炭焼きの家に生まれる。1957年、和歌山県立熊野高校を卒業。紀伊半島の山中で林業労働にたずさわるかたわら、文学を学ぶ。現在、作家・林業・熊野古道語り部。文芸同人誌『VIKING』同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ワッピー
2
日本近世から近年にいたる紀州の山奥の生活。一時産業が開かれ、人でにぎわった時代もあれば、歳月の移り変わりとともにさびれていく山村の中で、人は変わらず生きていく。異界と隣り合わせで、たゆまず、あせらず、しめやかな山の日常のありさまが魅力的に感じられますが、実際の生活には耐えられないだろうなともわかっています。オオカミ好きのワッピーには最終話「鬼の哭く山」に登場するオオカミ研究家斐太氏のエピソードは面白く感じられました。2014/11/03
ソフィ
1
宇江敏勝④ 時代が昭和・平成に入るものがあったからか、熊楠や前鬼のゴローさんなど有名人が登場するからか、読みやく感じた。「仏さんを拝むことは誰にでもできるが、この地にしっかりと根づいて生きることにおいて、二人とはいない人物だった」。自伝的要素があるように感じた『栗の壺杓子』も◎。2020/02/18
(まだない)
1
役行者の弟子・前鬼義覚に連なる大峰山脈奥駆け道の宿坊「小仲坊」を守ってきた最後の主「前鬼のゴローさん」の生涯を描く表題作の他、熊野の山村を舞台にした短編3編を所収。 高校山岳部でテント泊をした前鬼で見た満天の星を思い出した。(2014/11/04読了)☆2.50点2014/11/04
hirame tarami
0
山友さんに紹介していただいた本です。 作者の宇江氏は熊野古道の語り部をされています。 山を題材にしたエッセイも多く書かれているみたい。 これは短編小説集でした。 どれも熊野の山を舞台にしています。 山での暮らしがとても丁寧に書かれていました。 怪奇小説あり、ロマンスあり。 すてきな本でした!2015/07/08
こんな本を読んだよ
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熊野・紀伊半島を知る良書。僕は中上より好き。 1納札のある家 2亡者の辻 3栗の壺杓子 4鬼の哭く山2014/10/30