海の深み―ステフィとネッリの物語〈3〉

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  • サイズ B6判/ページ数 267p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784880083964
  • NDC分類 949.83
  • Cコード C8097

内容説明

ウィーンのユダヤ人姉妹、ステフィとネッリがスウェーデンへきて4年目の春。母国の両親はテレジン収容所へ送られ、連絡も途絶えがちに…。そんな状況の中、ステフィは将来を夢み、イェーテボリの女子中学で学ぶ。だが、島に残るネッリは実の両親を思いやることができない…。離れ離れで心の通わない妹を気にしながら、高校進学をめざすステフィ。家族、友情、民族、戦局の行方…。さまざまなことを思い、悩みながら、大人への階段をかけあがる。異国の地で、多くの人々とふれあいながら、姉妹はそれぞれ、たくましく成長する。コルチャック賞受賞「ステフィとネッリの物語」シリーズ第三作。

著者等紹介

トール,アニカ[トール,アニカ][Thor,Annika]
1950年、スウェーデン第二の都市イェーテボリのユダヤ人家庭に生まれる。映画制作関係者の養成機関である国立映画学校(Dramatiska Institutet)卒業後、図書館員やフリーライターを経て、1996年、『海の島―ステフィとネッリの物語』で作家デビュー。“ステフィとネッリの物語”のシリーズ三作目にあたる『海の深み』で、1999年にスウェーデン図書館協会よりニルス・ホルゲション賞を、シリーズ四部作全てに対して2000年にポーランドのヤヌシュ・コルチャック賞を、また1997年に『ノーラ、12歳の秋』(小峰書店)でスウェーデン出版社協会よりアウグスト・ストリンドベリ賞を受賞。さらに全業績に対して、1999年に欧米学校図書館員協会賞、2000年にアストリッド・リンドグレーン賞、2005年にマリア・グリーペ賞を受賞。ストックホルム在住

菱木晃子[ヒシキアキラコ]
1960年、東京都生まれ。慶應義塾大学卒業後、スウェーデンのウプサラでスウェーデン語を学ぶ。現在、スウェーデンのものを中心に絵本、児童文学、YA小説の翻訳に活躍。横浜市在住(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ぶんこ

45
イェーテボリに来て4年が経って、ステフィは高校進学を実現するために飛び級を狙う。医師になるとの目的を持っていて、協力してくれる人たちに恵まれていました。ネッリは両親に手紙を出さず、ひたすら養家の娘になる事を願い、精神的に不安定でステフィには反抗的。ウイーンに残った両親がアメリカへ向かう直前、母の急病で頓挫。収容所行きとなり、そこで母は病死、父はポーランドの収容所へ移送となる。戦争の残酷さ、キリスト教とユダヤ人の事。日本人には到底理解できない。母の死でネッリとステフィが寄り添い始めたのが救い。2016/09/25

七色一味

30
読破。シリーズ3巻目。ステフィとネッリがスウェーデンに来て4年。ヨーロッパ全土に拡大した戦争の影響で作品全体が重苦しいです。そんな中目標に向かって勉強に励むステフィと、島に残ったネッリとの間に溝が。ドイツ語を忘れていくネッリに苛立ちを覚えるステフィ。彼女はまた、もはや手紙だけが唯一の繋がりである両親に対するネッリの態度にも苛立ちをつのらせていく。このまま姉妹の心がバラバラになってしまうのかと、読んでいてハラハラ。でもネッリにはネッリなりの思いがあって、なんだか切なくなります。2017/04/08

ぱせり

14
ネッリもステフィも、自分が何者なのか、彼女たちなりに考え始める。宙ぶらりんの辛さが生々しいです。大人への成長途上の少女たちの姿がリアルで、異常な状況が痛々しかった。父母からのはがきの30語制限の語数いっぱいに、娘への愛を篭めた言葉に胸がいっぱいになる。2010/01/07

kangaroo

10
ステフィとネッリがスウェーデンにやってきて早4年。前2作は主にステフィに目が向いたが、今回は難しい年齢にさしかかったネッリ、ステフィのユダヤ人の友人ユディス、島からの友人ヴェーラなど、ステフィのまわりの少女たちの思いや、悩みにも目が向く。ステフィの口から語られる「あたしは、だれなの?いったい、だれになるつもりでいるの?」という問いの答えを、それぞれが必死で探しているのが伝わってくる。彼女たちのその後が気になります。2010/11/02

つきと

10
自分が誰かに否定される人種である事への疑問、人種に関わらず家族、性別、階級等、人ならば誰でも考える葛藤や不安等、前二作に比べ深みがある。戦争の犠牲者であるということ、その事への怒り、神の愛を説きながら祈りだけで解決させようとするその不条理さ。誰かの悲しみを他人が真に理解し共有することはできない。それが当然であるとしても、共感してもらえない事への絶望は深い。2009/10/10

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