内容説明
欧米、アジア、日本…。文化のアイデンティティが揺らぎを増している20世紀後半、江藤淳、竹内好、吉本隆明、鶴見俊輔という現代日本の代表的な知識人は、それらのはざまでどのように引き裂かれ、葛藤を続けながら、新たな展望を求めてきたのか。「戦後アジアと日本」の先駆的研究者、L・オルソンは、思想、文学、ジャーナリスティックなアプローチを交差させつつ、豊富な滞日経験と敏感な洞察力を発揮して、彼らの実像を世界の視野のなかに置きなおす。クロスカルチャー時代を先取りした画期的著作。
目次
第1部 江藤淳―戦後日本の知識人と文化的アイデンティティの追求
第2部 竹内好―日本における抵抗のヴィジョン
第3部 吉本隆明―知識人と「大衆」
第4部 鶴見俊補―二つの世界で
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoshi41101
1
取り上げられた4人とも様々理念はあれど日本と外国文化の間で揺れて矛盾だらけだ。また、現代の人間も江藤淳が評する漱石作品の登場人物と一緒なんだろう。p69「他人に寄りかかる伝統的な支えを奪われ、自分の行動に他者のおもいやりを当てにできない新しく孤独な時代に、すたれていく修身的世界にもえれず、かといって何らかの「大いなる自由の孤独、苦悩のなかでの自己の選択」に進みでることもできない。みなそれぞれに、しがらみを避けようとして、公共的義務を怠り他人との連帯を拒むが、誰一人成功しない」松岡正剛の本書へ評価も必見。2011/06/11