出版社内容情報
《内容》 肝臓病学は肝炎ウイルスの研究を中心に著しい発展を遂げてきた。しかし、新世紀の肝臓病学を考えるとき、ウイルス学に代わって脂肪肝、自己免疫性肝疾患、薬剤性・アルコール性肝障害など、代謝・免疫生化学的疾患が重要な研究課題となることが予測される。 本書は、代謝肝臓学を基本テーマとして編集された。特に最新の実態を知るため薬剤性肝障害、肝性脳症の全国調査、またこれまで行われた全国集計を取り入れ、肝臓病の地域偏在性までも言及した。日常診療に欠かせない最新情報を提供する必読の好著。 《目次》 1.肝炎「症例」インターフェロン治療6年8カ月後に再燃をきたしたC型慢性肝炎Monoclonal gammopathy of undetermined significanceを合併したC型慢性肝炎の2例「C型肝炎ウイルス感染による肝病態形成とその制御」「肝炎と免疫」C型肝炎ウイルス(HCV)に対する予防的DNAワクチンの試みC型慢性肝炎におけるケモカインIP-10,MIP-1b,MCP-1の臨床的意義C型慢性感染患者における肝炎発症,進展およびその抑制に関与する宿主遺伝子の同定単一リンパ球レベルからみた劇症肝炎患者におけるTh1/Th2-associated cytokine imbalance肝疾患におけるNKT細胞の役割について「肝炎と血液疾患」非ホジキンリンパ腫例におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染に関する検討赤芽球癆を合併した急性ウイルス性肝炎5例の臨床的検討B型肝炎ウイルスhealthy carrierにおける造血器疾患治療の問題点2.薬剤性肝障害「症例」タモキシフェンによるsteatohepatitisとその背景フロン代替物質による肝障害「薬剤性肝障害による全国集計」「実態と時代的推移」薬剤性肝障害の実態 10年間の調査結果薬剤性肝障害の時代的推移 最近10年間の傾向薬剤性肝障害の時代的推移「診断法」薬剤性肝障害における腹腔鏡検査の意義について薬剤性肝障害の診断 フローサイトメトリーによるリンパ球刺激試験(LST)薬剤性肝障害におけるcytochrome P450の遺伝子多型の検討3.肝硬変「症例」ラクツロース抵抗性肝性脳症に対するHelicobacter pylori除菌療法短絡路閉鎖により脳MRI所見の改善を認めた静脈管開存による門脈-大循環系短絡路性脳症の1例「肝線維化」トランスジェニックマウスを用いたTIMP-1の肝線維化過程における役割の解析Fibrolysis亢進による肝線維化改善の試みマトリックスメタプロテアーゼ(MMP)-1強制発現による肝線維化の治療および肝細胞増殖の強制開始インターフェロンの抗線維化作用に関する臨床的ならびに分子生物学的検討「栄養代謝」肝疾患と病態栄養 予防と治療を考える臨床栄養の意義と役割 肝疾患を例としてアミノ酸バランスを感知する新たな細胞内シグナル伝達機構の研究「肝性脳症(全国集計を含む)」20歳未満で診断された先天性門脈-体循環シャント症例の臨床像についてがラクトース血症マス・スクリーニングで発見された門脈大循環シャント成人発症II型シトルリン血症非肝硬変性脳症の全国調査とその分類肝性脳症を呈した特発性門脈圧亢進症の病態 脳症非合併例,肝硬変脳症との対比4.肝腫瘍「症例」自然経過により壊死,消失した肝細胞癌の1部剖検例肝不全で発見された若年乳癌のびまん性肝類洞内転移の1例「肝癌治療の合併症とその対策」肝細胞癌に対する肝動脈塞栓術の効果と合併症の検討亜区域肝動脈塞栓術における肝機能への影響と合併症の検討肝細胞癌に対する経皮的エタノール注入療法と経皮的高周波熱凝固療法の合併症の比較検討5.わが国における肝臓病の地域偏在性とその要因首都圏における肝疾患の実態長野県における肝疾患の成因別頻度京都地区の一肝臓外来の肝疾患の実態香川医大第三内科における肝疾患の成因別実態沖縄県における肝疾患の実態劇症肝炎における地域偏在性について本邦におけるアルコール性肝障害の実態と変遷わが国における自己免疫性肝炎(AIH)の地域偏在性 厚生省全国調査による実態解析の試み6.これからの肝臓病 将来への展望TNF-aにより誘導される肝細胞アポトーシスとシグナル伝達B型慢性肝炎に対するワクチン療法の可能性ハイブリッド型人工肝臓補助システム前臨床動物実験ヒト肝癌における生存シグナルの検討Retro-Tet systemを用いたマウス肝癌発達過程におけるVEGFの作用およびFlk-1の役割の解析マーカー遺伝子導入細胞を用いた肝癌転移メカニズムの解明と活性化ナチュラルキラー細胞による免疫治療アデノウイルスベクター二重感染法による肝癌特異的自殺遺伝子治療肝疾患研究における呼気生化学的アプローチ
-
- 和書
- 夜の白昼夢