内容説明
古代ギリシャからの長い時間。時代とともに変るものがあり、変らないものもある…どこまでも青い空。過剰なほどに朝ぐ陽光。その下で人々の生きること。賞讃者のまなざしで綴るギリシャ案内。
目次
アテネ物語
ギリシャ 夏
ギリシャ 冬
トロイゼンからの道
エーゲ海の島々
サントリニ紀行
都市の星座
イスタンブールにはじまる
蜂の旅人
デルフィに帰る
著者等紹介
池澤夏樹[イケザワナツキ]
1945年生れ。カヴァフィス詩翻訳、アンゲロプロス映画の字幕や文学全集の個人編集など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
H2A
7
ギリシャのガイドブックにはならないけれど、池澤色に染まったユニークなギリシャ(地中海)エッセイ集。「幸福のトラウマ」と喩えてしまえるぐらいにその土地は特別なものだった。手触りが柔らかく本としての作りも素晴らしい。2023/09/22
geromichi
5
一家に1冊の名著です。しかし、書肆山田の本を持ち歩いているとなんか楽しくなる。手触りなどが良いのだと思います。2020/08/15
角
5
著者がかつて滞在したギリシャについてのエッセイ集。抑制された筆致にギリシャに住まうことの多幸感が溢れていて、読んでいる側にもその喜びがしみこんでくる。人にこのような文章を書かせてしまうギリシャという土地、その溢れる光、美味な食事、地中海、空気……できれば一度味わってみたい誘惑に駆られる。2018/12/16
バーベナ
5
増補新版を読んだのですがまだ登録がないようなのでこちらで。池澤さんが3年間過ごしたギリシャ。白い陽射しに照らされて神話や古代の記憶が立ち上がってくる。遠くばかりを見つめるのではなく、人々のそのままの暮らしもきちんと受け止められるのは、市場で買った魚を自分で捌ける池澤さんの視線ならでは。だからちょっと難しいところがあっても、かみ砕くようにしっかり読みたくなる。2018/06/13
hasegawa noboru
3
70年代二年半にわたってギリシャに住んだという筆者による幸福感溢れる紀行エッセイ文集。〈どんな土地のどんな風景の中で暮らしていれば最も本来の姿に近い人間が見られるか、それを知るにはギリシャに行くほかなかった。〉〈ギリシャはぼくに人間とはなにかを教えた。〉とまで言い切る。〈人は、古代へ旅行するようなつもりでこの町へ来て、石の遺跡だけを見、早々と帰ってゆく。〉そういう仮面の一端をなでるだけの観光客の一人となって、アテネへ行ってきます。2019/08/30