感想・レビュー
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nobi
4
新聞でみかけた詩句が気に入って手にとった北島(ペイタオ)詩集。「夜が非のうちどころのないものへと向かい/わたしは言語を漂流する/死を奏でる楽器が/氷に満たされる(『二月』から)」。夜、言語、死といった単語が、思いもよらない言葉と組み合わされ、研ぎ澄まされたイメージとして、漆黒の宇宙の中の彗星のように現れる。彼自身も経験した文化大革命によって生活も文化もずたずたにされた中国から、こんな感性を持った詩人が生まれていることに、救われる思いがした。元々日本語で書かれたのかと思わせるほどの訳(是永駿)も見事。2015/01/31