感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
保山ひャン
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フランス外務省の事務次官だったサン=ジョン・ペルスは、1940年にアメリカに亡命。本書に収められた「風」は1945年に出された。「それは世界の全面に吹く大いなる風であった」ではじまる詩で、風は吹きつけ、吹き飛ばし、吹き渡り、また人は風に抗する。彼は1957年にフランスに帰り、その2年後に本書収録のもう1つの詩作品「時を編む(クロニック)」を書く。「大いなる歳月よ」のよびかけが繰り返される本作では、われら、大地、創世といった言葉で綴られるが、歴史と時代に翻弄されたペルス自身の人生が反映していると思わせる。2016/05/21