出版社内容情報
訳詩集
著者=オクタビオ・パス(ぱす おくたびお)/訳者=野谷 文昭(のや ふみあき)
装幀=亞令
今日、僕は独りきりでひとつの言葉と闘っている。オクタビオ・パス 決死の飛躍。
女の胎で一羽の鷲が翼を広げ、太陽に向かって飛ぶ。鷲は腹を空かせた希望、無数の存在の海・無名の不在の空へと真っ逆さまに墜落する僕の叫びだ──パスの詩と散文。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
まさむ♪ね
43
詩のような短編小説のようなエッセイのような日記のような、メキシコのノーベル賞詩人オクタビオ・パスの散文集。言葉との飽くなき格闘の軌跡。四肢を切りきざみ、煮て焼いて喰らう。それでも思い描いた場所にはけっして収まらず、自在に跳ねまわる強靭な言葉の欠片たち。地の底をうねるような無限の苦しみは、目玉をくりぬかれるような強烈な光を放つあの太陽目がけて真っ逆さまに落ちてゆく。ただ一羽の自由な鷲となり、青く深い空をどこまでもどこまでも。甘い幻想と塩辛い現実の狭間にたゆたうような『波との生活』が好き。2016/02/02
ぷるいち
16
強かな言葉の連なりに、熱帯的で、ガウチョ的な怠惰やもの悲しさを感じさせる短編小説集、あるいは詩集、あるいはその合間にある作品。ポーまたはカフカような不条理ものもあるが、物語性はどちらかというと希薄で、その意味ではやはり詩集なのかもしれない。メキシコで読了。2016/09/04
魔魔男爵
2
本書のベストセリフ「愛する人よ、閉じてくれ、おぞましい無意味がぎっしり詰まった、その瞳を閉じてくれ」短編小説としか思えない作品も収録されているが、パスは詩集だと主張してますw。パスのモットーはジャンル汚染ww。挑戦的なブンガクですが、抽象的な言葉遊びに思えて青く感じたwww。パスはやっぱ批評家としての文の方が知的興奮するよな。パスのベストは「弓と竪琴」でOK?2009/09/20
cydonianbanana
0
力強く内面を切り開いて開陳される鮮烈なイメージと、詩性を自覚しともすれば虚構の側へと越境する危うさを秘めた無二の作。これはすごい。2017/09/10
すべての
0
若き熱量が濃縮された文体が鈍色に輝いている。2025/05/07