内容説明
苦難を重ねる世紀に、情念と理知の合一をさぐる。詩語が伝える生の鼓動、言語の光の舞踏。「ヴォルガのマラルメ」アイギは、生命の深い根、20世紀人の傷み絡んだ生の根に、ことばの光を注入する。稀に見る生命維持装置と言える詩群、初の翻訳紹介。
目次
冬まぢかのレクイエム
海彼の鳥
カジミール・マレーヴィチ
ヴルタヴァ河畔でのKの幼年時代
森の散歩
窓=睡り
朝焼け―夢のきれぎれに
冬まぢかのレクイエム、ふたたび
そして―薔薇は咲きおおせる
夢―野への道〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
99
緊密に組み立てられた言葉から硬質な詩情が漂ってくる素晴らしい詩集。アイギはロシアの詩人で「ヴォルガのマラルメ」と言われたそうだ。ここに収められた詩の意味は理解するのは容易ではない。意味よりも、鮮やかなイメージを積み重ねて、現実に対抗しうる言葉の宇宙を創りだしている気がする。傷、雪、白、光、薔薇という言葉が繰り返し使われるところが印象的だ。この詩人は人間の存在の中に刻み込まれた傷を凝視することで、光を見出そうとしているのだろうか。2016/07/02
かもめ通信
14
ノーベル賞候補にも挙がったことがあるというロシアの詩人が、先日読んだ『シェニヤル村の子どもたち』の著者エヴァ・リーシナのお兄さんだと知って、詩集を読んでみた。正直なところ詩集として堪能するには、読解力が及ばなかった。それでも、心地よい時間を過ごせた気はしている。2022/07/10
t78h1
1
アイギの詩は朗読に向いていると思う。2011/02/24