内容説明
20世紀初頭、狂気を称揚する表現主義的表象に疑いのまなざしを向けた作家・作品を読みなおし、「正常」と「異常」の境界を攪乱するオルタナティブの狂気イメージを探る。
目次
序章 ドイツ語文学における「狂気」表象の変遷―モダニズムの時代まで
第1章 表現主義文学とナチス・ドイツ―「精神疾患」イメージの類似性
第2章 アルトゥル・シュニッツラー『闇への逃走』における精神医学批判―「体系」へ逃走する精神医学
第3章 シュニッツラーの医学テクストにおける「健康」と「病」―クラフト=エビングとロンブローゾへの懐疑的見解
第4章 アルフレート・デーブリーン『たんぽぽ殺し』と精神医学―理解可能の「精神疾患者」と理解不可能の「健常者」
第5章 シュテファン・ツヴァイクの枠物語とフロイトの精神分析―話を聴く語り手
終章 無謬の解は存在するか
著者等紹介
籠碧[カゴミドリ]
1990年愛媛県生まれ。2018年京都大学文学研究科研究指導認定退学。博士(文学)。専門は近現代ドイツ語文学。2022年度より津田塾大学専任講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。