東欧の想像力<br> 敗残者

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東欧の想像力
敗残者

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  • サイズ 46判/ページ数 272p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784879843883
  • NDC分類 993.4
  • Cコード C0397

内容説明

1991年、自国での生活に絶望したアルバニア人が多数、アドリア海を越えてイタリアへ渡った。「新天地」への船出―しかし、出発を間近に控えた乗客の中に、自ら船を下りてしまったひとりの男がいた。彼が思い起こす、「敗残者」としての人生とは。無名の元数学教師ファトス・コンゴリを一躍、アルバニアの最重要作家の地位に押し上げたデビュー小説。

著者等紹介

コンゴリ,ファトス[コンゴリ,ファトス] [Kongoli,Fatos]
1944(1943?)‐。アルバニア中部の工業都市エルバサンに生まれる。アルバニアがソ連と事実上断絶し、親中国路線をとりつつあった時代に高等教育を受け、中国に留学、北京大学で数学を学ぶ。大学卒業後は数学教師を経て、文芸紙誌の編集者として働く。そのかたわら創作を続けていたが、労働党一党体制下では自作を一切公表せず、1992年に初めて小説『敗残者』を発表。国内で大きな反響を呼んだ同書は、翻訳を通じてフランスを中心に西ヨーロッパで高い評価を得る。『敗残者』刊行後は、独裁体制下の社会に潜む不安や狂気を描いた『屍』(1994)、自身の中国留学体験に基づいた『象牙の龍』(1999)などを発表、21世紀に入ってからも精力的に創作活動を続けている

井浦伊知郎[イウライチロウ]
1968年、福岡生まれ。1998年、広島大学大学院文学研究科博士課程後期単位取得退学。1998~2001年、日本学術振興会特別研究員。博士(文学)。現在、福山国際外語学院校長。専門はアルバニア言語学、バルカン言語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ケイ

116
文学とはこういうものだと改めて思う。その中に身を置かされたものに、その中でペンを持つ力のあるものに、こうして書かせるのだと。今年の翻訳大賞に選ばれるといいな。読ませてくれた訳者に感謝。1944年生まれのアルバニア作家。書かれたのは1992年。1991年、アルバニアから大量の難民がイタリアへ脱出した時、船から降りてとどまった男。ナイフを持って相手を殺すことも、自らの命を断つこともできず、しかし権力側におもねることもしない男。どこかに村上春樹を感じたが、カエルくんは出てこない。2020/07/19

燃えつきた棒

39
いかにも僕が親近感を抱きそうな書名にもかかわらず、主人公が美しい女性にしか興味がなさそうで、しかもいとも簡単にそれらを手に入れてしまうあたりから、僕の偏狭さが彼に感情移入することを許さなかった。 当然のことながら、東欧文学といえども、いつもどストライクという訳にはいかない。 僕のための小説ではなかった。2020/07/31

miyu

31
何にもなろうとせず何者にもなれない、つまらぬ男の独白のようではある。しかしアルバニアの歴史や当時の背景を少しでも知っていれば途端にその印象は変わる。昨日までの権力者が一夜にして失脚し追いやられ、人とは思えない生活を強いられ抹殺される。そんな世界で語られるのは『生まれついての敗残者』と自らを嘲笑う男の半生。だが敗残者とは一体なんだろう?力におもね、内なる心を隠してその世その世を巧く渡り歩けばよいのか。蝕まれた精神はいつか何も感じなくなっていく。久しぶりに骨のある作品を読んだ。今はそれだけしか言葉にできない。2020/08/25

かもめ通信

25
多くのアルバニア人が、アドリア海を越えてイタリアへ渡ったその時期に、かの地に留まり続けた作家のデビュー作は、静かに、でも圧倒的な存在感をもって、私の頭の中にも居座り続ける。おそらく、この先もずっと。★★★★★2020/07/09

三柴ゆよし

17
社会主義体制化による抑圧というよりは、隠に籠もったマチスモからの脱落という側面が強く感じられる小説だった。もっと言えば、語り手は産まれたときからおのれのまったくあずかり知らぬ理由によって、負け犬としての生を送ることを運命づけられており、むしろそうした「敗残者」としての型に、諾々と自身をあてはめていくような道を進んでいく。読んでいて相当につらい小説ではあったが、カダレ以来、数年ぶりに読むアルバニア文学、ずしんと響く佳作だった。このひとの作品はもっと読んでみたい。2020/06/16

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