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内容説明
ポーランドの南西部、国境地帯にあるとされる架空の村プラヴィエク。そこに暮らす人々の、ささやかでありつつかけがえのない日常が、ポーランドの20世紀を映しだすとともに、全世界の摂理を、宇宙的神秘をもかいま見させる―「プラヴィエクは宇宙の中心にある。」2018年ノーベル文学賞受賞作家トカルチュクの名を一躍、国際的なものにし、1989年以後に書かれた中東欧文学の最重要作品と評される傑作、待望の邦訳刊行。
著者等紹介
トカルチュク,オルガ[トカルチュク,オルガ] [Tokarczuk,Olga]
1962‐。ポーランド共和国西部スレフフ生まれ。ワルシャワ大学で心理学を専攻、卒業後セラピストを経て作家となる。『逃亡派』(2007、邦訳:白水社)によってポーランドの権威ある文学賞ニケ賞を受賞するとともに、英訳がマン・ブッカー国際賞を受けた。18世紀欧州が舞台の歴史小説『ヤクブの書』(2014)で再びニケ賞受賞。2018年のノーベル文学賞を受賞
小椋彩[オグラヒカル]
北海道大学文学部卒業、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。現在、東洋大学文学部日本文学文化学科助教。専門はポーランド文学、亡命ロシア文学・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Vakira
56
オルガさん2018年ノーベル文学賞受賞で読んでみたくなり、昨年10月に図書館リクエスト、5ヶ月待ちでやっとMy順番。物語の構成は「昼の家、夜の家」形式。登場する人々による数ページの短編の集合体でプラヴィエクというポーランドの架空の村の物語が出来上がる。軸となるのはミハウ、ゲノヴェファと子らの2世代。それは長閑なイメージの戦前から激動の戦中、そして戦後に渡る。やっぱりリアルマジック、長閑でリアルな生活風景では神様まで登場。ハイルヒトラ~ やがて時代は世界大戦へポーランドはドイツとロシアの最前線。2020/03/20
ヘラジカ
43
激動の時代に揺り動かされながらも、どこか超然とした世界を形作っているプラヴィエク。そのなかで生きる人々の、泥臭くも鈍い光を発する人生で構築されたステンドグラスのような作品。華やかなストーリーよりも雑草の如き"生"を力強い筆力で描いた傑作だった。翻訳者は解説を書いている時にノーベル賞受賞の報せを聞いたとのこと。素晴らしい出版タイミング。小さい出版社でも対応がとてもよかった経験があるので(編集者の木村さんは非常に親切で誠意ある方だった)、大手書店や某ショッピングサイトでは扱ってないけどもっと売れてほしいな。2019/12/05
ケニオミ
23
大晦日、元旦と暇なバイト先で一気読みしました。ポーランドの架空の村プラヴィエクにおいて起こる様々な出来事についてのお話です。登場人物は村人が中心ですが、架空と思われる存在や神まで含まれており、時に哲学的で、時に幻想的で、どこかしら「百年の孤独」を思わせる内容でした。「百年の孤独」ほど登場人物の名前や関係に煩わせられることなく、興味を持ちつつスイスイ読み進むことができました。著者は2018年度のノーベル文学賞受賞者だそうですが、彼女の他の作品も読みたくなりました。お薦めします。2020/01/01
hagen
22
この小説は、複雑な歴史背景を持つポーランドを舞台にした物語である。しかし、大国の狭間で暗鬱な時代を生き抜く家族や共同体を描いているには違いないが、その政治歴史的な側面だけに収まり切らない多くの主題を内包している。それは人間にとって根源的な神の存在と生きている事の本質的な意味を問う事、人が生きる時間に対する畏れと諦観が渦巻き、死の観念の場面が絶えず描かれる。ミシャの死の場面・・「彼女が死の床で見ていたもの。守護天使は本当に大事な瞬間、必ず姿を見せていたのだ」末尾の訳者解説は的を得ていて鋭い叙説だと思った。2020/07/27
慧の本箱
18
ポーランドの架空の村プラヴィエクを舞台に84の断章で描かれています。著者オルガ・トカルチュクお初です。ヨーロッパにおけるポートランドの歴史的、政治的背景も併せ持って、彼女の世界観で満たされている本書は、独特な趣があります。2024/09/06